デンタルニュース

インプラントが壊れる本当の原因? 〜歯ぎしり・食いしばりの恐ろしい破壊力〜

日本橋の歯医者「日本橋グリーン歯科」デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。

歯を失ったあとの治療としてインプラントを選ぶ方は年々増えています。

しっかり噛めるようになり、見た目も自然なことから多くの方が満足している治療でもあります。

ただ、インターネットなどで調べていると「インプラントが壊れた」「インプラントにトラブルが起きた」といった言葉を目にして、不安になる方もいらっしゃるかもしれません。

実際に歯医者で働いていると、インプラント自体が突然壊れてしまうケースは多くありません。

しかし、ある共通した原因によってトラブルが起きやすくなることがあります。それが歯ぎしりや食いしばりです。

歯ぎしりや食いしばりは、多くの方が無意識のうちに行っています。

特に睡眠中は自分では気づきにくく、想像以上に強い力が歯にかかることがあります。

この力は天然の歯だけでなく、インプラントにも影響することがあります。

この記事ではインプラントに大きな負担をかける歯ぎしりや食いしばりの力についてと、インプラントを守るために大切なナイトガードについても解説していきます。

これからインプラント治療を考えている方や、すでに治療を受けている方の参考になればうれしいです。

破折したインプラント

インプラントが壊れる原因とは?

①インプラント自体はとても丈夫

人工歯根はチタンでできている

インプラントの土台となる人工歯根は、チタンという金属で作られています。

チタンは強度が高く、医療の分野でも広く使われている素材です。

顎の骨としっかり結合する性質もあるため、長く安定して使えることが大きな特徴です。

実際、適切に使われていれば長期間問題なく機能しているケースも多くあります。

そのため、普通に食事をしているだけでインプラントが壊れるということは、あまり多いことではありません。

問題になるのは「過剰な力」

インプラントにトラブルが起きるとき、多くの場合は強い力が繰り返しかかっていることがあります。

噛む力は人それぞれ違いますが、歯ぎしりや食いしばりがある場合は通常の食事よりもはるかに強い力が歯に加わることがあります。

この力が長期間続くと被せ物が欠けたり、ネジがゆるんだりすることがあります。

場合によってはインプラント周囲の骨にも影響することがあります。

②歯ぎしり・食いしばりの力は想像以上

睡眠中は体重に近い力がかかることも

歯ぎしりや食いしばりは、思っている以上に強い力を生み出します。

研究によっては、睡眠中の噛む力が体重に近いほどになることもあるといわれています。

例えば体重60キロの方であれば、それに近い力が歯にかかる可能性があるということです。

しかも、この力は長時間続くことがあります。

食事のように短い時間ではなく、何分も続くことがあるのです。

横方向の力が歯に負担をかける

食事のときの噛む力は、基本的に上下方向の力が中心です。

しかし歯ぎしりの場合は、歯を横にすり合わせる動きが多くなります。

この横方向の力は歯やインプラントにとって大きな負担になります。

歯科医院でも歯ぎしりの強い方は歯の表面がすり減っていることがあります。

こうした力がインプラントにもかかることで、トラブルにつながることがあります。

歯ぎしり

インプラントと天然の歯の違い

①クッションの役割が少ない

天然の歯には歯根膜がある

天然の歯には「歯根膜」というクッションのような組織があります。

歯根膜は、歯と骨の間にある薄い組織で噛む力をやわらげる役割があります。

噛んだときの衝撃を吸収することで、歯や骨への負担を減らしてくれます。

また、力の強さを感じ取るセンサーのような働きもあります。

インプラントにはこのクッションがない

インプラントは骨と直接結合するため、歯根膜のようなクッションがありません。

そのため、強い力がかかったときの衝撃が直接伝わりやすいといわれています。

もちろん治療の際には噛み合わせを調整しますが、それでも歯ぎしりなどの強い力が続くと負担になることがあります。

②気づかないうちに負担がたまる

自覚症状がないことも多い

歯ぎしりや食いしばりは、自分では気づいていないことが多いです。

歯科医院で「歯ぎしりしていますか」と聞くと、多くの方が「自覚はないです」と答えます。

しかし実際には、歯のすり減りや顎の筋肉の状態から、歯ぎしりの可能性が見えてくることがあります。

ご家族に「夜ギリギリ音がしている」と言われて初めて気づく方もいらっしゃいます。

インプラントだけでなく歯にも影響

歯ぎしりはインプラントだけでなく、天然の歯にも影響します。

歯が欠けたり、詰め物が取れやすくなったりすることがあったり、顎の筋肉が疲れやすくなることもあります。

そのため歯ぎしりのケアはお口全体の健康にとっても大切です。

睡眠中に歯ぎしりをする男性

ナイトガードが大切な理由

①歯ぎしりの力を分散する

マウスピースで衝撃をやわらげる

ナイトガードは、寝ている間に装着するマウスピースです。

歯ぎしりや食いしばりのときに、歯に直接力がかかるのを防ぎ力を分散させる役割があります。

衝撃をやわらげることで、歯やインプラントへの負担を減らすことができます。

インプラント治療を受けた方には、ナイトガードの使用をおすすめすることがあります。

被せ物の破損予防にもつながる

歯ぎしりの力は、被せ物や詰め物にも影響します。

ナイトガードを使うことで、こうした修復物の破損を防ぐことにもつながります。

実際に歯ぎしりのある方でナイトガードを使い始めてからトラブルが減ったというケースもあります。

②オーダーメイドで作ることが大切

歯医者で作るナイトガード

ナイトガードは歯医者で型を取り、患者さんのお口に合わせて作ります。

市販のマウスピースもありますが、噛み合わせに合わない場合もあります。

歯医者で作るものは、歯並びに合わせて調整されているため、より安定して使うことができます。

違和感が少なく、長く続けやすいというメリットもあります。

定期的なチェックも必要

ナイトガードは使い続けると少しずつ摩耗します。

そのため、定期的に状態をチェックし、必要に応じて調整や作り直しを行います。

歯医者でのメンテナンスと合わせて確認していくことが大切です。

こうしたケアを続けることで、インプラントを守ることにつながります。

ナイトガード

インプラントを守るためにできること

①噛み合わせのチェックを受ける

定期メンテナンスの重要性

インプラントを長く使うためには、定期的なメンテナンスがとても大切です。

噛み合わせは時間とともに変化することがあります。

歯の摩耗や歯並びの変化によって、力のかかり方が変わることもあります。

定期チェックでは、こうした変化を確認しながら必要な調整を行います。

小さな変化を早めに見つける

メンテナンスでは、被せ物の状態やインプラント周囲の歯ぐきもチェックします。

小さな変化に早く気づくことで大きなトラブルを防ぐことができます。

歯科衛生士としてメンテナンスを担当していると、定期的に通っている方は状態が安定していると感じることが多いです。

②歯ぎしりのサインを見逃さない

歯のすり減りや顎の疲れ

歯ぎしりのサインとして、歯のすり減りや顎の疲れがあります。

朝起きたときに顎がだるいと感じたり、歯の先端が平らになっていたりする場合は歯ぎしりが関係していることもあります。

気になる症状がある場合は、歯医者で相談してみると安心です。

早めの対策が大切

歯ぎしりは完全に止めることが難しいこともあります。

そのため、ナイトガードなどを使って歯への負担を減らすことが大切になります。

早めに対策をすることでインプラントや天然の歯を守ることにつながります。

嚙み合わせのチェックを受ける男性

まとめ

インプラントはとても丈夫な治療ですが、強い力が続くとトラブルにつながることがあります。その大きな原因のひとつが歯ぎしりや食いしばりです。

特に睡眠中は無意識のうちに強い力がかかるため、気づかないうちに歯やインプラントに負担がかかることがあります。

ナイトガードは、こうした力から歯を守る大切な役割を持っています。

インプラントを長く快適に使うためにも、歯ぎしりの対策はとても重要です。

もし歯ぎしりや食いしばりが気になる場合は、一度歯医者で相談してみてください。

インプラントだけでなく、お口全体の健康を守るための対策を一緒に考えていくことができます。

この記事を監修した人

医療法人社団周優会 常務理事 笠原幸雄

医療法人社団周優会
常務理事 笠原幸雄

所属学会

東京シティー日本橋ロータリークラブ会員
お江戸日本橋歯科医師会選挙委員会 委員長
一般社団法人 日本橋倶楽部会員
東京科学大学歯学部 東京同窓会参与

略歴

私立開成高校卒業
早稲田大学理学部卒業
東京医科歯科大学歯学部卒業
東京医科歯科大学病院勤務
笠原歯科医院 蔵前開設
医療法人社団寿幸会 笠原歯科医院 人形町開設
医療法人社団周優会 日本橋グリーン歯科 常務理事
医療法人社団寿幸会 笠原歯科医院 六本木開設