2025-03
歯間ブラシで隙間があく?!正しい使い方やフロスとの違いも解説
日本橋の歯医者「日本橋グリーン歯科」デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。
「歯間ブラシを使ったら隙間が広がった気がする」
「歯間ブラシの使い方は合ってる?デンタルフロスとは何が違うの?」
歯間ブラシを使い始めてみたけど、隙間が以前より広くなったと感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実際に私もそのような相談を受けたことがありますし、インターネット上の質問・相談サービスのYahoo!知恵袋などでも、歯間ブラシによる歯の隙間についての投稿がたくさんされています。
歯間ブラシを使うことで、本当に歯の隙間があくのでしょうか?
結論からいうと、正しい使い方で使用すれば、歯間ブラシが原因で隙間は広がりません。
ただし、元々歯ぐきが腫れている場合や間違った使い方をしている場合は、隙間が広がったように感じたり、実際に隙間が広がってしまう場合もあります。
この記事では、歯間ブラシで隙間があくと感じる原因や、歯間ブラシの正しい使い方について解説しています。
歯間ブラシを使って隙間があいたとお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
隙間があく理由
①歯ぐきの健康回復で隙間があく
歯ぐきの炎症が引いた
歯周病で歯ぐきに炎症が起きていると、歯ぐきが腫れてブヨブヨと盛り上がった状態になっています。
そこに歯間ブラシを使用することで炎症が治まり、歯ぐきが引き締まります。
そうすると、歯ぐきの腫れがなくなるため、歯と歯の間の隙間が広くなったように感じることが多いでしょう。
しかし、これは歯ぐきが本来の位置に戻った良い状態なのです。
詰まっていた汚れが取れた
今まで歯と歯の間に詰まっていた歯垢や食べかすなどの汚れが取れると、歯と歯の間が広がったような違和感を感じる場合があります。
しかし、汚れが詰まったままにしておくと、虫歯や歯周病の進行や悪化に繋がってしまいます。衛生的な状態をキープできるよう歯間ブラシでのケアを続けることが大切です。
②間違った使い方で隙間があく
サイズが合っていない
隙間が狭いところにサイズの大きい歯間ブラシを使用すると、歯ぐきが傷つき退縮してしまうことがあります。
隙間に合った正しいサイズの歯間ブラシへ変更が必要です。
力任せに使用している
歯間ブラシを通す際に、力任せに通していたり間違った角度で通している場合も、歯ぐきが傷つき下がる原因になってしまいます。
サイズの適した物であれば、ゴシゴシと動かさなくてもスッと通ります。優しく動かすようにしましょう。
また、慣れないうちはなかなか歯間ブラシをスムーズに通すことは難しいです。正しい角度で挿入できているか、鏡を見ながら使用すると良いでしょう。
歯間ブラシの正しい使い方
①正しいサイズの選び方
サイズの種類
歯間ブラシは、メーカーにもよりますが、4S・3S・SS・S・M・L・LLのサイズに別れているものが多いです。
歯と歯の間の隙間によってそれぞれ適したサイズは違うので、隙間ごとに何種類か使い分けが必要な場合も多いです。
歯間ブラシを無理に挿入すると、歯や歯ぐきに負担がかかります。スムーズにスッと挿入できるサイズを選ぶ必要があります。
歯ぐきの状態が健康であれば、そこまで大きく隙間は広がっていないので、小さめサイズの4S〜3Sサイズから試してみると良いでしょう。
歯間ブラシを入れた際に、すぐに曲がってしまったり折れてしまうようであれば、サイズが大きすぎる可能性があります。
歯の隙間によっては一番小さなサイズでも入らないところもあるので、そのようなところには無理に通さず、デンタルフロスを使用しましょう。
また、歯と歯の隙間の大きさは年齢などにより変化していくので、大量の買いだめは避けましょう。
歯科医院で聞く
歯間ブラシのサイズ選びに自信がない場合は、クリーニングや検診の際に歯科医院で聞いてみると良いでしょう。
隙間によっては歯間ブラシの通し方が難しいところもあります。
自己流で間違ったサイズの使用や通し方を続けていると、歯ぐきを傷つけたり、隙間を広げる原因にもなるので、歯科医師や歯科衛生士からアドバイスをもらうのがおすすめです。
②正しい使用方法
動かし方
歯間ブラシを歯と歯の隙間に入れて、前後に動かします。この時に力を入れすぎないよう、優しく数回往復させましょう。
歯の面にピッタリと沿わせながら動かすことで、しっかり歯垢が取れます。
管理方法
使用後は、歯間ブラシをしっかり洗いましょう。
また、保管する際、細菌が繁殖しないよう風通しの良い場所に置くようにしましょう。
歯間ブラシの使用頻度によりますが、10日程度での交換がおすすめです。
歯ブラシにも言えることですが、特に壊れておらず使用できそうでも、使用の目安をすぎると歯垢の除去率は大幅に下がってしまいます。
長くても1ヶ月以内には交換した方が良いでしょう。
歯間ブラシとデンタルフロスの違い
歯間ブラシと似たようなものでデンタルフロスがあります。
歯間ブラシとデンタルフロスを同じものと思われている方も多いです。
どちらも歯と歯の間を清掃するものですが、隙間のサイズによって適しているものが違うので、使い分けが必要です。
①作りの違い
歯間ブラシの作り
歯間ブラシはプラスチックの持ち手の先にブラシがついたもので、ワイヤーに毛がついているタイプやゴムのタイプがあります。
私の今までの経験上、ゴムのタイプはワイヤータイプよりも歯垢が取りきれないように感じます。
実際にゴムの歯間ブラシを通してもらった後に磨き残しの染め出しをすると、磨き残しが残ったままでした。食べかすなどの大きい汚れは取れますが、歯にこびりついている歯垢は落ちにくいようです。
ワイヤータイプが歯ぐきに刺さりそうで怖い、苦手という方は、ゴムのタイプで練習してからワイヤータイプを使用してみると良いでしょう。
デンタルフロスの作り
デンタルフロスは、ブラシではなく「糸」です。
糸だけの指に巻きつけて使うタイプのものもあれば、プラスチックの持ち手がついたホルダータイプのものがあります。
一般的に「糸ようじ」と言われているものは、このホルダータイプのことを指します。
②適した対象者と使用部位
歯間ブラシの対象・部位
歯と歯の隙間が広いところは、歯間ブラシが適しています。
歯周病で隙間が広くなってしまった部位や、加齢に伴って歯ぐきが痩せて隙間ができてきた方は、歯間ブラシの使用で効率よく歯垢が落とせます。
デンタルフロスの対象・部位
歯と歯の隙間が狭いところは、デンタルフロスが適しています。
比較的若い方や、歯と歯の隙間が狭い部位へは、歯間ブラシは入らないためデンタルフロスを使用しましょう。
以前私が歯科衛生士を目指す前、フロスと歯間ブラシの使い分けなどの知識もないまま、「何か歯ブラシ以外でも歯のお手入れをしよう」と、歯間ブラシを無理に通していたら歯ぐきが傷ついてしまいました。
ただ「歯ブラシ以外の用品を使えば良い」というわけではなく、正しい使用方法や適した部位をきちんと確認して使うことが大切です。
③選び方のポイント
隙間のサイズの確認
前述したように、歯と歯の隙間によって、歯間ブラシを選ぶのかデンタルフロスを選ぶのか変わってきます。そのため、それぞれの歯の隙間のサイズを確認する必要があります。
もし、自分でチェックするのが難しい場合は、歯科医院で相談してみましょう。
使い分けをする
一人のお口の中でも、歯と歯の隙間が広いところと狭いところがある場合、歯間ブラシとデンタルフロスの両方を使用する必要があります。
まずはデンタルフロスを使用してみて、明らかに隙間が広いところや食べかすが詰まりやすいところには歯間ブラシの細いサイズのものから試してみると良いでしょう。
歯と歯の隙間の大きさがそれぞれ大きく違う場合は、何種類かのサイズの歯間ブラシを使い分けると、より綺麗に磨けます。
まとめ
歯間ブラシを正しく使用していれば、歯の隙間について心配する必要はありません。
しかし、間違った使用方法は隙間があく原因になってしまうので、歯科医院でのメンテナンスで正しい使用方法を指導してもらうと良いでしょう。
歯間ブラシやデンタルフロスなどの清掃道具は、歯垢を落とすのに必要不可欠です。
歯ブラシのみで落とせる歯垢は、60%程度と言われています。ところが、歯ブラシと併用して歯間ブラシを使用すると、85%の歯垢を落とすことができると言われています。
健康なお口の中を保つためにも、正しい使用方法で毎日のケアに歯間ブラシを取り入れましょう。
歯に着色しやすい食べ物は?原因と対策
日本橋の歯医者「日本橋グリーン歯科」デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。
「以前より歯が黄色くなってきた気がする」
「歯に着色しやすい食べ物ってあるの?」
鏡を見た時に、誰もが一度は自分の歯の色が気になったことがあるのではないでしょうか。
歯が黄ばむ原因は、食べ物などの外部からの影響によるものと、年齢や薬の影響などの内部からによるものがあります。
その原因によって歯を白くする方法も変わってくるので、原因に合った対策が必要です。
この記事では、歯の着色の原因と、着色を防ぐための対策について詳しく解説しています。
歯の黄ばみが気になっている方は参考にしてみてください。
歯の着色の原因
歯の着色は、様々な原因が考えられます。
外部から摂取した食べ物や飲み物などの影響による外因性のものと、加齢や薬の影響で内部から起こる内因性のものがあります。
①外因性のもの
色素の着色
色素の濃い食べ物や飲み物を摂取すると、歯の表面に色素が付着し着色しやすいです。
一般的な歯の黄ばみの原因は、この色素の着色であることが多いでしょう。
着色しやすい食べ物としては、カレー、ケチャップやトマトソースなどの料理、醤油、キムチ、ベリー系の果物などが挙げられます。
着色しやすい飲み物としては、コーヒー、紅茶、赤ワイン、お茶、コーラなどが挙げられます。
また、着色を助長する食品として、アルコール飲料、炭酸飲料、スポーツドリンク、柑橘類などがあります。これらは単体では着色を起こしませんが、お口の中を酸性にする作用があり、酸性になることで歯の表面を溶かします。その状態で色素の濃いものを合わせて摂取することで、着色しやすくなります。
以前、歯科検診に来院した子供の歯にオレンジ色の着色があり、保護者の方に尋ねたところ、野菜ジュースを良く飲むとのことでした。野菜ジュースは、お茶やコーヒーなどの着色しやすい代表的な飲み物ではないですが、酸性度も高く色も濃いので、毎日習慣化して摂取することで、着色しやすくなるのかと感じました。
また、タバコのヤニも着色しやすいものとして有名です。喫煙者の方は、ほぼ必ずと言って良いほど着色してしまいます。
詰め物の劣化
歯科治療の詰め物が劣化すると、変色し、黄ばんできます。
自費のセラミックの材料は変色することはありませんが、保険で使用されるレジンという材料は、歯科用のプラスチックで吸水性があるため、色素が染み込んで黄色っぽく変色してしまいます。
表面的な変色は研磨することで落とすことができますが、内部まで変色している場合は、詰め物をやりかえる必要があります。
虫歯
初期虫歯の場合、歯の表面が茶色っぽく変色してきます。
この段階でしっかり磨くことで、虫歯の進行自体を抑えることは可能です。しかし、虫歯の進行が抑えられても茶色くなってしまった部分が白く戻ることはないので、色がどうしても気になる場合は削って詰める必要があります。
②内因性のもの
加齢
年を重ねると、どうしても歯が黄ばんで見えてきます。これは、年齢とともに歯の内部にある象牙質の色が黄色くなるためです。それに加え、歯の表面のエナメル質が薄くなり、内部の象牙質が見えやすくなるので、より黄色く見えます。
この黄ばみは歯を磨いても落ちるものではないので、歯医者でのホワイトニングが効果的です。
抜髄
抜髄とは、歯の神経(歯髄)をとる治療のことです。
抜髄をすると、徐々に歯が黒ずんでしまいます。
これは歯の神経をとると、血液の循環がストップしてしまい、歯の内部に血液の
成分や変色したコラーゲンが残ってしまうためです。
この場合、白くするには「ウォーキングブリーチ」と呼ばれる歯の内部からのホワイトニングを行うか、上から白い被せ物をする方法があります。
抗生物質
テトラサイクリン系の抗生物質の影響で、歯が黄ばむことがあります。
歯が作られる時期(0〜12歳頃)にテトラサイクリン系の抗生物質を服用することで、副作用として歯が変色してしまうためです。
ホワイトニングの処置で白くすることが可能ですが、症状の度合いによっては均一に白くすることが難しい場合もあり、その場合は歯の表面にセラミックを貼り付ける「ラミネートベニア」という方法があります。
着色を防ぐための対策
①日常生活の注意
食事のバランス
前述した着色しやすい飲食物の摂取の頻度を控えめにすることで、着色しにくくなります。
また、着色しやすい飲食物以外にも、酸性度の高い食品の摂取を控えめにすることで、着色するリスクを減らすことができます。
ストローの使用
着色しやすい飲み物を飲む際に、ストローを使用することで、飲み物が直接歯に触れにくくなります。
食後のうがい
着色しやすい飲食物を摂取した後、すぐにうがいをしたり水を飲んだりすることで、色素が洗い流され着色しにくくなります。
②歯磨き
歯磨きのタイミング
毎食後の歯磨きを必ず行うようにしましょう。
酸性度の高いものを摂取した後は、すぐに歯を磨くことで歯の表面を傷つけてしまう可能性があります。炭酸飲料や柑橘類などの酸性度の高いものを摂取した後は、食後30分を待ってから歯磨きすると良いでしょう。
歯磨き粉
市販の歯磨き粉にはそれぞれ効能があり、着色を落とすことに特化したものもあります。
ホワイトニング効果を謳っている歯磨き粉には、着色を落とす成分が含まれている場合が多いです。
ポリリン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ハイドロキシアパタイトなどの成分が含まれているものは、歯の着色を落としたり、着色しにくくするのに効果的なため、購入の際にチェックしてみてください。
また、フッ素には歯の表面を修復し滑らかにする効果があるため、フッ素入りの歯磨き粉を選ぶことも着色しにくくするために役立ちます。
以前、私がクリーニングを担当していた患者様で、ある時から急に着色しやすくなった方がいらっしゃいました。どうやら歯磨き粉をジェルのものに変更した影響で、着色しやすくなってしまったようです。
ジェル状の歯磨き粉は、研磨剤が含まれていないものが多いです。歯を傷つけにくいという面では良いのですが、その患者様のように着色しやすくなって困ってしまう場合は、研磨剤の含まれている歯磨き粉を使用した方が良いでしょう。
③歯医者でのケア
プロフェッショナルクリーニング
日常的な歯磨きでは落としきれない着色は、歯医者のクリーニングで落とすことができます。
また、歯医者のクリーニングで歯の表面を滑らかにすることによって、新たな着色しにくくなります。
ホワイトニング
歯医者のクリーニングでは、歯の本来の白さよりも白くすることはできません。
しかし、ホワイトニングの処置を行うことによって、歯の本来の白さ以上に白くすることができます。
着色ではなく歯全体の黄ばみが気になっている方は、ホワイトニングがおすすめです。
とは言え、自分の歯の黄ばみが着色なのか、歯そのものが黄色くなっているのか、なかなか見極めるのは難しいと思います。
その場合は、まずは歯医者のクリーニングを受けてみて、それでも歯の黄ばみが気になるようであればホワイトニングを行うと良いでしょう。
「歯の色が気になるからホワイトニングをしたい」と来院された方でも、歯医者のクリーニングを受けて、ホワイトニングの処置をせずとも歯の本来の白さに満足される方も多いです。
まとめ
着色を絶対にしないようにすることは難しいですが、着色しやすいものの摂取を控えたり、毎日の少しの対策で着色しにくくすることは可能です。
また、歯医者での定期的なクリーニングを受けることで、着色を落とすことや、着色しにくい状態にすることができます。
虫歯や歯周病などの健康面だけでなく、歯の美しさを保つためにも定期的にプロのケアを取り入れましょう。
ドライマウスの原因は?治し方も紹介
日本橋の歯医者「日本橋グリーン歯科」デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。
「最近口の中が乾燥する」
「もしかしてドライマウスかも?」
ドライマウスとは、お口の中が乾燥してしまう病気です。
ドライマウスになると、お口の中が乾燥する不快感だけでなく、乾燥によって細菌が繁殖しやすくなり、虫歯や歯周病にもなりやすくなってしまいます。
また、お口の乾燥は口臭も引き起こします。
乾燥がもっとひどくなると、ヒリヒリと痛みを感じたり、喋りにくくなったり、口内炎や感染症のリスクも高まります。
私は以前シェーグレン症候群でドライマウスの方のメンテナンスを担当していたことがありますが、とても綺麗にセルフケアされているのに、歯ぐきから出血がしやすかったです。
お口の乾燥は、歯ぐきの炎症を引き起こしてしまいます。
このように、お口の乾燥を放っておくと、乾燥の症状以外にも様々な弊害があります。
ドライマウスは生理的なものや病気が原因の場合もありますが、生活習慣によって引き起こされている場合もあるので、生活習慣を改善することによって治る場合もあるのです。
この記事では、ドライマウスの原因と、治し方についても紹介しているので、お口の乾燥が気になる方は参考にしてみてください。
ドライマウスの原因
ドライマウスになるには、いくつか原因が考えられます。
また、一つの原因だけでなく、いくつかの要因が合わさって関係していることも多いです。
①生理的な原因
脱水
水分摂取が不足していると、ドライマウスの原因となってしまいます。
体の中の水分量が不足し、唾液腺から十分な唾液量が分泌されなくなることで起こります。
日常の水分摂取不足以外にも、発熱時や下痢・嘔吐の症状で起こる場合もあります。
加齢
年を重ねることによって、唾液腺の機能が低下したり萎縮し、唾液の分泌量が減ります。
さらに、長年にわたり歯を使ってきたことで、若い頃より歯の本数が少なくなっている方も多いです。歯が少なくなると、当然噛む力も減少してしまうため、唾液の分泌量の低下に繋がります。
また、女性は更年期の女性ホルモンの関係によっても、唾液の分泌量の減少が起こりやすいです。
このような理由などから唾液の量が減って乾燥し、ドライマウスの原因となってしまいます。
口呼吸
口呼吸を行っていると、お口の中が乾燥し、ドライマウスになりやすいです。
鼻炎などで鼻呼吸ができない方や、歯並びの関係でお口が閉じにくくなってしまっている方は注意が必要です。
②疾患からくるもの
病気によるもの
糖尿病や腎臓病、シェーグレン症候群などの全身疾患が原因で、お口の中が乾きやすくなることがあります。
薬・治療の副作用によるもの
高血圧やアレルギーの薬、抗ヒスタミン薬、抗うつ薬、抗不安薬など、様々な薬の副作用で唾液の分泌が抑制されてしまいます。治療で長期間に渡って服用していると、ドライマウスのリスクが上がってしまいます。
また、頭頸部への放射線治療によっても、唾液腺が影響を受けドライマウスの症状が起こることがあります。
③生活習慣によるもの
喫煙・飲酒
タバコのニコチンによる血管収縮や、粘膜への刺激、交感神経の影響などで、唾液の分泌が減少します。
アルコールには利尿作用があるため、過剰摂取することで、水分が減りドライマウスを引き起こす可能性があります。
ストレス
ストレスを感じると、自律神経の作用により唾液の分泌が減ってしまい、口が乾きやすくなります。
何か重要な面接時などに、緊張で口が乾いた経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
一時的なストレスであればそこまで影響はないものの、日常的にストレスや緊張を感じやすい人はドライマウスになりやすいです。
食生活
食事をよく噛むことで、唾液の分泌は促進されます。
しかし、柔らかい食べ物や、あまり噛む必要がないものばかり食べていると、唾液の分泌される量が減少してしまいます。
特に現代の食生活では、ファーストフードなどの柔らかいものが増え、噛む回数が少なく済んでしまう食事が多いです。
会話の減少
現代は、メールやメッセージアプリ、SNSの普及などから、実際に会話する機会が減りつつあります。
また、新型コロナウイルスの影響で、リモートワークを行う方も増え、必然的に日常の会話が減ってしまっているのではないでしょうか。
会話が減ることで、お口の周りの筋肉を使わなくなり、唾液の分泌が減ってしまいます。
ドライマウスの治し方
生活習慣の影響を受けてドライマウスになってしまっている方は、ご自分の日常的な対策でドライマウスの症状を改善させることが可能です。
専門家の元でご自分がドライマウスになっている原因を調べ、ご自分の原因に合った対策をすることが大切です。
①原因療法
生活習慣の改善
日頃から水分摂取が足りてない方は、まずは水分をとることから始めましょう。
飲み物を飲んでいるつもりでも、カフェインやアルコールが含まれていると利尿作用が働いてしまうため、摂取する飲み物の種類にも注意が必要です。コーヒーや緑茶などは利尿作用があるので、水や麦茶で水分摂取をしましょう。
また、禁煙やストレスをためないようにすることも大切です。
口呼吸の改善
日頃から口呼吸になってしまっている方は、意識して鼻呼吸を心がけましょう。
歯並びの関係でどうしてもお口が閉じにくい方は、これを機に矯正治療を考えてみても良いかもしれません。
薬物の調整
ドライマウスの原因となっている薬がある場合、薬の量や種類の変更は可能か、医師に相談してみると良いでしょう。
②対処療法
保湿
薬局では、乾いたお口の中を潤すための口腔保湿剤が市販されています。ジェルタイプ、スプレータイプ、リンスタイプなど、様々なテクスチャーのものがあります。
ジェルタイプは長時間止まりやすく潤いが長続きしやすい、スプレータイプは即効性があり持ち運びもしやすい、リンスタイプはお口の中に満遍なく行き渡らせることができるなど、それぞれ利点があります。試してみてご自分で使いやすいものを選ぶと良いでしょう。
食事・生活の工夫
しっかりとよく噛んで食事をすることで、唾液腺が刺激されるため、唾液の分泌が良くなります。
なるべく歯ごたえのある食材を選んだり、一口30回を意識して噛むと良いでしょう。
また、ガムを噛むことも唾液腺の分泌に効果的です。
あまり水分をとる習慣がない方は、こまめな水分補給を意識して生活しましょう。
また、日頃から加湿器を使用しましょう。
私は部屋に湿度計を置いていますが、冬はかなり乾燥しやすく、加湿器を使用しないとすぐに30%を切ってしまいます。適切な湿度は40〜60%と言われているので、冬場は必ずと言って良いほど加湿器を使用した方が良いでしょう。
唾液分泌の促進
唾液腺マッサージを行うことで、唾液腺が刺激され、唾液の分泌が促進されます。
唾液腺は3つあるので、それぞれに対しマッサージを行うと良いでしょう。
耳下腺:耳の手前の頬部分を後ろから手前に向かって指で押します。
舌下腺:顎の下部分を指で押します。
顎下腺:顎の骨の内側部分を、骨に沿って5箇所ほど押します。
まとめ
以上のように、ドライマウスは様々な原因によって引き起こされます。
「もしかしてドライマウスかも?」と思う症状がある場合は、歯医者で相談をし、原因となっていることに対し適切な対策をすることが大切です。
また、すでにドライマウスになっている場合は、虫歯や歯周病などのお口のトラブルが起きやすい状態なので、歯医者で定期的なメンテナンスを受けましょう。
ドライマウスは、生活習慣が原因で起こることもあるので、高齢や病気の方だけでなく、若い健康な方も誰もが起こりうる病気です。
お口の乾燥が気になる場合は、生活習慣の見直しから始めてみましょう。