2019-09

歯ブラシの持ち方

歯ブラシの持ち方を見せていただくと、色々なことがわかります。手をグーのように握った状態で歯ブラシを持つ方、鉛筆を持つように歯ブラシを持つ方、また独自の持ち方をしている方もいます。


歯科衛生士の専門学校では歯ブラシをグーの手で握るような持ち方を掌握状(しょうあくじょう)、鉛筆と同じような持ち方を執筆状(しっぴつじょう)と呼び指導しています。呼び方が難しいので、一般の患者さまへの指導時には歯ブラシを握るように持ってください、とか鉛筆を持つように歯ブラシを持ちましょう、とお伝えします。

幼稚園や保育所などの指導ではまだ鉛筆持ちが難しいことがあるので、「歯ブラシをグーで握ってみましょうね。」とお話ししています。
歯ブラシの毛先がこちらを向いている時、「こんにちはの持ち方」、毛先が見えず柄の後ろ側しか見えていない状態を「さようならの持ち方」と伝えるとわかりやすいようです。
家族に小さなお子様がいる方は是非そのように伝えてみてください。

就学児童になると鉛筆で細かな字を書くことに慣れているので、鉛筆の持ち方で歯ブラシを持つように指導します。また手の不自由な方や高齢の方は、鉛筆の持ち方より握るように持っていただくこともあります。

主に二つの持ち方を挙げましたが、どのような違いがあるのでしょうか。
握るように歯ブラシを持つときは、いくらか力が大きく伝わる特徴があります。手のひらで歯ブラシを押しつけるように動かすからです。
また腕全体が大きく動くので、細かなブラッシングには不向きだと言えます。力を入れてこの持ち方で歯磨きをすると歯の根元が削れてきたり、しみてきたりなどの症状が現れることがあります。さらに食いしばり、噛み締め、スポーツの習慣 などで頬の筋肉が張っていたりする方は、さらにそこに力が加わり歯に過度な摩擦が起きてしまうので注意が必要です。

一方鉛筆持ちは指先だけで持つので、力が大きくは伝わりにくい特徴があります。
また字や絵を描くため小さな動きに慣れている持ち方なので、小さなお口を磨くのに適していると言えます。手首までの動きで済むので力や動きも小さく省エネ型のブラッシングと言えるかもしれませんね。

歯や歯ぐきは実はとてもデリケートです。
ゴシゴシと磨く歯磨きは歯ぐきが下がってしまったり、傷をつけてしまうなどデメリットが多いものです。柔らかな歯ぐきに、人体で一番硬い歯が生えているために磨きにくいのですが、出来れば柔らかくデリケートな歯ぐきに注目してケアをしてほしいと思います。ちょっと磨く力が強いと言われた方や、歯がしみやすいと思う方は歯ブラシの持ち方もチェックしてみてくださいね。

2019-09-20 | Posted in デンタルニュースComments Closed