2024-10

歯磨き粉の正しい量はどのくらい?

毎日のブラッシング時にほとんどの方が使用している歯磨き粉。歯磨き粉を使用することで、歯垢(プラーク)を落としやすくする効果があります。

みなさんは正しい歯磨き粉の使用量についてご存知でしょうか?
昔と比べ、歯磨き粉に含まれるフッ素量の変化などから、適切な歯磨き粉の量も変わってきています。

この記事では年齢別に適切な歯磨き粉の量と、歯磨き粉の選び方について解説します。

フッ化物配合歯磨剤の年齢別使用量

◾️歯が生えてから2歳まで
この時期の歯磨き粉の適切な量は、フッ化物が900〜1000ppm配合されている歯磨き粉を米粒(1〜2mm)程度です。
歯が生え始めたら赤ちゃん用の歯ブラシと歯磨き粉を使用し、就寝前を含めて1日2回の歯磨きを行いましょう。

歯磨き粉を大人の方と同じ感覚でつけてしまうと、つけ過ぎになってしまいます。
必要量はごく少量のため、つけすぎないよう注意しましょう。

また、誤飲を防ぐためにも、歯磨き粉は子どもの手が届かないところで保管しましょう。

◾️3〜5歳
この時期の歯磨き粉の適切な量は、フッ化物が900〜1000ppm配合されている歯磨き粉をグリーンピース(5mm)程度です。

この時期は乳歯が全て生え揃い、子供が歯ブラシを持って「自分みがき」を始める時期です。まだ上手に歯磨きができない時期なので、仕上げ磨きをしてあげましょう。

仕上げ磨きは永久歯が生え揃う10〜12歳ぐらいまで行うのが理想です。

子どもが歯磨き粉の量を適切につけられない場合は、保護者の方がつけてあげましょう。

◾️6歳〜成人
永久歯が生えてくる6歳以上からは歯磨き粉の適切な量は、フッ化物が1400〜1500ppm配合されている歯磨き粉を歯ブラシ全体(1.5〜2cm程度)となっています。

フッ素の効果を得るためにも、うがいは少量の水で1回のみ行うことが推奨されています。
泡立ちのいい歯磨き粉を使用すると、しっかり磨けていないのにゆすぎたくなってしまったり、何回もうがいをしたくなってしまうことがあります。

歯磨き粉は泡立ちにくい低発泡のものを使用しましょう。

歯磨き粉の選び方は?

歯磨き粉は、中に含まれている薬用成分によって効果が異なります。
ご自身のお悩みに合った薬用成分が配合されているものを選びましょう。

虫歯の予防

虫歯の予防には、フッ素が配合されている歯磨き粉を選びましょう。
フッ素には、歯を丈夫にする、虫歯菌の繁殖を抑える、初期の虫歯を改善する、という3つの効果があります。

歯周病予防

歯周病の予防には、殺菌効果のあるIPMP(イソプロピルメチルフェノール)、CPC(塩化セチルピリジニウム)が配合されている歯磨き粉を選びましょう。

知覚過敏対策

知覚過敏の症状がある方は、硝酸カリウム、乳酸アルミニウムが配合されている歯磨き粉を選びましょう。
硝酸カリウムは、歯の神経へ刺激が伝わることをブロックして、痛みの伝達を防いでくれます。

乳酸アルミニウムは、象牙細管と呼ばれる歯の神経に繋がる小さな穴を封鎖して歯がしみるのを防ぎます。

歯を白くしたい

歯の表面に着色汚れなどがついてしまい白くしたい場合は、TTP(ポリリン酸ナトリウム)が配合されている歯磨き粉がおすすめです。
TTP(ポリリン酸ナトリウム)には、歯の汚れを分解して除去する効果があります。また、汚れの再付着を予防する効果もあります。

まとめ

歯磨き粉の量は、たくさんつけたからと言って効果が大きいというわけではなく、年齢に適した量を使用する必要があります。

たくさんつけすぎることによって、しっかりと磨けた気分になってしまい磨き残しが残りやすくなってしまいます。

また、歯磨き粉は使用することによって歯垢(プラーク)を落としやすくなりますが、ご自身のお悩みに適した薬用成分が含まれている歯磨き粉を選ぶことによって、より効果的に使用することができます。

ぜひ歯磨き粉を使用する際の参考にしてみてください。

4学会合同のフッ化物配合⻭磨剤の推奨される利⽤⽅法【普及版】
(参考:2024-10-7)

2024-10-27 | Posted in デンタルニュースComments Closed 

 

歯のセラミックって?歯科医がおすすめする理由

歯科医院で虫歯治療をする際に、一昔前は金属を詰める治療が一般的でしたが、現在はセラミックを選ぶ方が増えてきています。

みなさんも今までに歯科医院でセラミック治療を勧められたことがあるのではないでしょうか?

セラミック治療にはたくさんのメリットがあります。

この記事では歯科医がセラミックをおすすめする理由について解説します。

セラミックをおすすめする理由

①自然で美しい歯にすることができる

セラミックは天然の歯のような色味、透明感、光沢感を再現できます。
ご自分の周囲の歯に合わせて色味を調節することができるので、どの歯を治療したかわからないほど周囲になじみ、綺麗な仕上がりになります。

また、綺麗に仕上がることで口元に自信が持てるので、食事や会話をストレスなく楽しむことができます。

②耐久性が高い

保険診療で使われるプラスチックの材料の場合は、吸収性があり数年使用していると変色してしまうリスクがありますが、セラミックは長期間使用しても変色の心配がありません。

また、硬い材料を使用しているため耐久性が高く、綺麗な状態のまま長く使用することができます。

③虫歯が再発しにくい

虫歯は、詰め物や接着の材料が経年劣化し、歯と詰め物の間に隙間ができ細菌が入り込むことによって再発します。
セラミックは歯にピッタリとフィットし強固な接着ができるため、歯とセラミックの間に隙間ができにくいという特徴があります。
また、劣化しにくく金属のような変形が起こらない素材のため、虫歯が再発するリスクを抑えることができます。

④金属アレルギーが発症するリスクがない

金属が長期間お口の中にあると金属イオンが溶け出し、体の中に蓄積されます。
そのため、ある日突然金属アレルギーを発症するというリスクがあります。
また、溶け出した金属により歯ぐきが黒ずむことがあります。
その点、セラミックは陶器であるため、金属を使用していません。
身体に優しく、歯ぐきが黒ずむ心配もありません。

⑤細菌が付着しにくい

セラミックは表面がツルツルしていて、汚れがつきにくくなっています。
また、硬い材料のため表面に傷がつきにくく、細菌が付着しにくいという特徴があります。

細菌が付着しにくいことで、虫歯や歯周病を予防する効果が期待できます。

セラミックのデメリットは?

前述の通りセラミック治療にはメリットがたくさんありますが、デメリットもゼロではありません。

セラミック治療で起こり得るデメリットを紹介していきます。

①健康保険が使えない

セラミック治療は健康保険が使えないため、保険適用の治療と比べるとどうしても費用が高額になってしまいます。
セラミックの種類によっても料金が変わってくるので、治療前に確認しておきましょう。

②割れることがある

セラミックは耐久性があり硬い材料ですが、強い力がかかることで割れる場合があります。
奥歯など、強い力がかかる部位の場合は、セラミックの中でもより丈夫なジルコニアがおすすめです。

③一生物ではない

セラミックが割れる可能性や、治療したところが虫歯や歯周病になってしまい、再治療しなければならない場合もあります。
そのようにならないよう、一度治療したら終わりではなく、その後のセルフケアやメンテナンスもしっかりと行いましょう。

まとめ

歯科医院でセラミックがおすすめされる理由は、見た目が綺麗だからだけでなく、長く使用でき、お口の中の健康を保つことに適しているからです。

しかし、セラミックが金属や歯科用プラスチックに比べて虫歯や歯周病になりにくいと言っても、毎日のケアを怠っていれば虫歯や歯周病になる可能性も十分あります。

セラミックを長持ちさせるためには、歯科医院のメンテナンスや毎日のセルフケアにしっかり取り組むことが大切です。

2024-10-19 | Posted in デンタルニュースComments Closed 

 

歯の神経を抜くとどうなるの?

歯科医院で「歯の神経を抜く」という言葉を耳にしたことがある方は多いと思います。
歯科の治療で「歯の神経」と言われているものは、一般的に「歯髄」のことを言います。
歯の神経は、歯に栄養を運んだり、歯の異変を知らせる役割をしています。

では実際に歯の神経を抜くとどうなってしまうのでしょうか?
歯の神経を抜いた後に起こる症状と、歯の神経を抜く必要がある症状について解説します。

歯の神経を抜いた後に起こる症状とは?

①感覚がなくなる

歯の神経があることによって、歯に異変が生じた際に、痛みや刺激を感じるようになっています。
そのため歯の神経を抜くと、痛みを感じなくなります。
一見メリットのように感じますが、痛みがなくなってしまうことで、虫歯などのトラブルが起きた時に気付きにくくなってしまいます。

②歯が脆くなる

歯の神経には血管が入っており、歯に栄養を供給しています。歯の神経がなくなると、歯に栄養が行かなくなり脆くなります。
神経のある健康な歯と比べて、割れたり、折れる可能性も高くなるため、被せ物で保護する必要があります。

③歯が変色する

神経を抜いた後の歯は、時間の経過とともに黒く変色していきます。
神経を抜くことで、歯の内部への血液の循環がなくなり、残っている血液の成分や、古いコラーゲンが代謝されず、そのままになってしまうためです。

内部から変色してしまった歯は、ブラッシングや表面のホワイトニングでは白く戻すことはできません。
白く戻すためには、内部からのホワイトニング(ウォーキングブリーチ)や被せ物で対応する必要があります。

歯の神経を抜く必要がある症状とは?

①歯髄炎が起きている

歯髄炎とは、歯髄が炎症を起こして痛みが出ている状態です。
虫歯の細菌によって感染したり、噛み合わせが高い被せ物が当たる刺激や、知覚過敏の刺激などが伝わり続けることで歯髄炎が起きます。

そのまま放置していると次第に痛みは消えますが、歯の中では神経が壊死しており、細菌の住処になってしまいます。痛みがなくなってもそのままにせず、歯科医院で治療を受けましょう。

以下の症状に当てはまる場合は、歯髄炎が起きている可能性があります。
•何もしていなくてもズキズキと強い痛みがある
•噛むと痛い
•熱いもの、冷たいものがしみる

②歯の神経の壊死

事故や怪我などによって歯が外傷を受けた場合、その強い刺激により歯の神経の壊死が起きてしまうことがあります。
外傷後、痛みがなくても知らず知らずのうちに神経が壊死してしまい、歯が黒ずんでくることがあります。
その場合は神経を抜く処置をする必要があります。

また、前述したように歯髄炎を放置した場合も歯髄壊死が起こります。

③歯茎から膿が出ている

歯茎から膿が出ている場合、根尖性歯周炎の可能性が考えられます。
根尖性歯周炎とは、大きな虫歯により神経が細菌感染し、根っこの先まで感染が広がり炎症が起きている状態です。
根尖性歯周炎になると、根っこの先に膿が溜まり、歯茎におできのような膿の出口ができることがあります。
放置すると悪化してしまい、最悪の場合抜歯する必要が出てきてしまいます。

まとめ

歯の神経を抜くと、感覚がなくなる、歯が脆くなる、歯が変色するなどの症状が起きます。
歯の寿命を延ばすためにも、歯の神経は極力抜かない方が良いですが、状況によっては抜かなければならない場合もあります。
神経を抜いた歯はご自分で異変に気づくことが難しくなるため、歯科医院での定期的なメンテナンスで管理する必要があります。

また、日頃から定期的にメンテナンスを受けることで、虫歯の早期発見・早期治療に繋がり、神経を抜く必要がない小さな虫歯のうちに対処することができます。

定期的なメンテナンスを受け、少しでも気になる症状がある場合は歯科医院を受診しましょう。

2024-10-15 | Posted in デンタルニュースComments Closed 

 

口臭の原因とは?自宅で行える対策

口臭の原因のほとんどが、口の中にあります。主に、歯周病や舌苔がその大部分を占めると考えられています。
口臭は誰もが起こり得る可能性があります。自分で気づくことが難しいため、無自覚にしている人が多いのです。
当記事では、口臭の原因と自宅でできる対策を紹介します。


口臭の原因

①生理的なものが原因

生理的な口臭とは、生活していく上で誰にでも発生する口臭のことを言います。
起床時、空腹時、緊張時には、唾液の分泌量が低下しお口の中の細菌が増殖するため、口臭が発生します。
その他にも、月経や妊娠によるホルモンバランスの乱れや、加齢によっても唾液の分泌量が低下することから口臭が発生します。

②お口のケアが原因

•舌苔(ぜったい)の付着
口臭の原因としてもっとも考えられるのが、舌苔です。
舌苔とは、舌の表面についている白いもののことで、歯垢と同じく、細菌のかたまりです。しかし、舌苔は病気ではありません。舌の全体に薄くついている分には正常の範囲です。

舌苔は自宅でケアすることが可能です。舌は傷つきやすいので、舌ブラシや柔らかめの歯ブラシで、優しく行いましょう。

•歯周病
歯周病の細菌が発生させるガスが、口臭となります。
歯周病とは、細菌感染によって歯肉に炎症が起き、歯の周りの骨が溶けてしまう病気です。

口の中のネバネバ感や、歯肉の腫れ・出血、歯と歯の間に食べものが詰まりやすい、歯が浮いたような感じがする、歯が揺れているなどの症状が徴です。

•虫歯
虫歯になり歯に穴があくと、その中に食べカスが入ったり細菌が繁殖するため、口臭の原因となります。

•入れ歯の清掃不良
入れ歯のお手入れを怠っていると、入れ歯の隙間に溜まった汚れなどから細菌が繁殖し、口臭が発生しやすいです。

③全身疾患が原因

鼻・のどの病気、呼吸器系・消化器系の病気、糖尿病などの病気によって、口臭が発生する場合があります。

④飲食物・嗜好品が原因

にら、ねぎ、にんにくなどの匂いが強い食べ物を食べた後や、タバコやアルコールを摂取すると、口臭として匂いが残ります。時間の経過とともに口臭は減少します。

⑤心理的なものが原因

実際に口臭が発生していなくても、「自分には口臭があるのではないか」と思い込んでしまうことを、心理的口臭と言います。

自宅でできる対策

①丁寧なセルフケア

食後にしっかり歯磨きをすることが大切です。
フロス、歯間ブラシ、舌ブラシ、洗口液などの補助的な清掃用具も使用しましょう。ご自分に合った清掃用具がわからない方は、歯科医院でのブラッシング指導を受けましょう。

②よく噛んで食事をする

しっかりと噛んで食べることで、唾液の分泌量が増えて口臭の予防に繋がります。
ガムを噛むことも効果的です。

③水を飲む

適度に水を飲むことで口の中の乾燥を防ぎ、唾液の分泌が促されるため、口臭予防になります。

④ポリフェノールを摂取する

ポリフェノールには、口臭を抑える効果があります。緑茶や紅茶、リンゴなどに含まれており、それらを摂取することで口臭の対策に繋がります。

⑤健康的な生活をする

緊張やストレスを感じていたり、睡眠不足の状態だと、唾液の分泌が低下し口臭が発生しやすくなってしまいます。また、朝食を抜いたり、食事を簡単に済まそうとすると、きちんと噛むことができず口臭に繋がります。

緊張やストレスを溜め込まないようにする、睡眠をしっかりとるなど、規則正しく過ごしましょう。

歯科医院でできる対策

①虫歯や歯周病の治療

セルフケアで改善しない場合、虫歯があったり歯周病にかかってしまっている可能性があります。歯科医院を受診し、治療しましょう。

②定期的なメンテナンス

定期的に歯科医院でのクリーニングを受診することで、歯周病予防や、虫歯の早期発見にも繋がります。

③ブラッシング指導を受ける

正しいブラッシング方法の指導を受けることで、ご自分のお口の中の状況に合ったセルフケアを身につけることができます。

④入れ歯のお手入れ指導を受ける

正しいお手入れ方法を取り入れることで、入れ歯を清潔に保てます。
長く使用している場合、破損していたり、お口に合わないまま使用していることもあるため、歯科医院で定期的にチェックしてもらいましょう。

まとめ

口臭の原因は、口の中によるものが大部分を占めます。歯科医院に通い、自宅でしっかり対策すれば解決できるものがほとんどです。

口臭が気になっている方や、口臭の原因について心当たりがある場合は、取り入れられるものから始めてみましょう。

2024-10-08 | Posted in デンタルニュースComments Closed