2025-05

歯石がつきやすい人の原因と対策

日本橋の歯医者「日本橋グリーン歯科」デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。

「毎日しっかり歯を磨いているのに、気がつくとまた歯石がついてしまう…」

という経験はありませんか?

月に何回も歯医者でクリーニングするわけにもいきませんし、正直困ってしまいますよね。

歯石の正体は、歯磨きで落としきれなかったプラークが、唾液の中の成分でカチカチに硬くなったものです。そのため、十分な歯磨きができていないと歯石はつきやすいです。

でも実は、十分に磨いていても、歯石がつきやすいタイプの方もいます。

歯磨き以外にも、私たちの普段の生活習慣など、色々な理由が複雑に関わって、歯石がつきやすくなることがあるんです。

今回は、歯石がつきやすい原因から、今日すぐに始められる簡単な対策まで、詳しくご紹介します。「もしかして、私歯石がつきやすいタイプかも?」と感じている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

歯石の付いた歯

歯石がつきやすい人の特徴

歯石は、お口の中にいる細菌のかたまりであるプラークが、唾液の中のミネラルとくっついて硬くなったものです。

歯石のつきやすさは、単に歯磨きが足りないだけでなく、私たちの体質や生活習慣など、色々な理由が影響しています。

①お口の環境

唾液が多い人

唾液には、プラークを硬くする成分が含まれているため、唾液の量が多いと、それだけ歯石がつきやすくなることがあります。

アルカリ性の唾液の人

唾液の性質がアルカリ性寄りだと、歯石がつきやすい傾向があります。

一方で、酸性の唾液は虫歯になりやすいですが、アルカリ性の唾液は歯石がつきやすい代わりに、虫歯には比較的強いと言われています。

私自身、過去に唾液の検査をした経験がありますが、やや酸性よりで虫歯のリスクが高いという結果でした。思い返せば、虫歯になることはあっても、目で確認できるほどの歯石がついた経験はありません。

どちらの唾液のタイプにも利点と欠点がありますが、「虫歯になりにくいから」「歯石がつきにくいから」と油断せずに、毎日の歯磨きや歯医者での定期検診を怠らないことが大切です

歯並びが凸凹

歯が重なっていたり、デコボコしている歯並びは歯ブラシの毛先がうまく届かない部分を作ってしまいます。

そうすると、そこにプラークが残りやすくなり、時間をかけて硬くなり歯石になってしまいます。

お口が乾燥しやすい

唾液には、お口の中を常に潤して、細菌を洗い流す大切な働きがあります。

しかし、ストレスや薬の副作用、口呼吸などのせいで唾液が減ってしまうと、お口の中が乾燥しやすくなります。

すると、プラークが洗い流されにくくなり、歯の表面に長く留まって、歯石になるリスクが高まってしまうのです。

②生活習慣

普段の生活習慣も、歯石のつきやすさに影響を与えていることがあります。

タバコを吸う

タバコのヤニ自体が歯にこびりつきやすく、そのザラザラした表面はプラークがさらに付きやすい温床になります。

その結果、歯石もどんどんつきやすくなってしまいます。

また、喫煙する人は、無意識のうちに口で呼吸していることが多く、お口の中が乾燥しやすくなることも、歯石のリスクを高めます。

甘いものが好き

甘い食べ物や飲み物には、細菌の大好物である糖分がたくさん含まれています。

これらを頻繁に摂ると、お口の中の細菌がプラークをどんどん作ってしまいます。

プラークが増えれば、当然それを元にできる歯石も増える、というわけです。

体の抵抗力が弱い

風邪をひいたり、疲れていたりして体の抵抗力が弱っていると、お口の中の細菌のバランスも崩れやすくなります。

普段はおとなしい細菌が暴れだしたり、いつもよりプラークがたくさん作られたりして、結果的に歯石もつきやすくなることがあるのです。

プラークが付いた歯

歯石をつきにくくする対策

では、どうすれば歯石がつきにくくなるのでしょうか?

歯石は元をたどればプラークが硬化したものなので、プラークコントロールが一番大切です。

プラークを減らすための具体的な方法について解説します。

もし「歯石がつきやすい」と感じているなら、今日からできる簡単な対策を始めてみましょう。

①自宅での口腔ケアを見直す

自分に合った歯ブラシを選ぶ

歯ブラシのヘッドの大きさや毛の硬さは、人それぞれのお口に合ったものを選ぶことが大切です。かかりつけの歯医者があれば、相談してみるのも良いでしょう。

正しい歯磨き

歯磨きの回数が少なかったり、歯磨きの時間が短いと、お口の中に細菌が長時間留まることになります。

また、何かをしながら磨くのではなく、しっかり丁寧に歯磨きをする必要があります。

歯ブラシの持ち方、動かし方、磨く順番を意識するだけで、プラークの除去率はぐんとアップします。

私は、これまでたくさんの方の磨き残しを染め出しして実際に見てきましたが、多くの場合、プラークが残りやすいのは、歯間と、歯と歯ぐきの境目の部分です。

歯ブラシの毛先を小刻みに動かしながら、歯と歯の間に入れ込むこと、歯と歯ぐきの境目に当てることを意識して、歯を磨きましょう。

歯ブラシ以外のプラスαのアイテム

歯ブラシだけでは、お口の中の汚れの約6割しか落とせないと言われています。

デンタルフロス、歯間ブラシ、タフトブラシなど、ご自身の歯の状態に合わせて、積極的に使用しましょう。

また、マウスウォッシュや舌ブラシなども、お口の細菌を減らすことに役立ちます。

適切な歯磨きのタイミング

睡眠中は唾液の分泌量が減少し、細菌が繁殖しやすい状態になります。

そのため、1日の中で寝る前の口腔ケアをより丁寧に行うことが大切です。

②プロの力を借りる

定期的なメンテナンス

特に歯の痛みなどの自覚症状がない場合でも、定期的に歯医者でクリーニングを受けることをおすすめします。

自分では気づかないうちに歯石がついていたり、クリーニングの際に虫歯などのトラブルが見つかることも多いです。

専用の器具で徹底的に

歯医者のクリーニングでは、専用の器具や材料を使って、こびりついた歯石をしっかり取り除いて、歯の表面をツルツルに磨きます。

特に、歯と歯ぐきの間の溝の歯周ポケットと呼ばれる部分は、日頃の歯ブラシではなかなか清掃が難しい場所です。

一見綺麗に歯磨きできていると思っていても、意外と歯周ポケット内にはプラークや歯石が残っている可能性があるため、歯医者での専門的なクリーニングは不可欠です。

③歯石を自分で取ることはできる?

歯ぐきを傷つけるリスク

市販の歯石取りのグッズもありますが、自分で取ろうとするのはやめましょう。

歯石は見えにくいところにつきやすく、自分で無理にどうにかしようとすると、歯の粘膜や歯自体を傷つけてしまう可能性が大きいです。

うまい具合に一部分が取れたとしても、完全に除去することは難しいでしょう。

歯科医療従事者も自分では行わない

歯石の除去を専門とする私たち歯科衛生士でさえ、自分の歯石を自分で取ることはありません。

私たちも皆さんと同じように歯医者に定期的に通ったり、スタッフ同士で相互にクリーニングを行う場合がほとんどです。

自分一人では裏側の細かい部分までしっかりと確認することは難しく、歯ぐきの内部に触れる処置は、衛生的な観点からも滅菌した器具を使用するべきだと考えています。

④生活習慣を見直す

禁煙チャレンジ

歯石予防だけでなく、健康のためにも禁煙は大きなメリットがあります。

もし喫煙をしている方で、歯石のつきやすさをお悩みの方が居れば、これを機に禁煙を視野に入れてみるのはいかがでしょうか。

甘いものとの付き合い方を見直す

甘いものを食べる回数や量を減らすだけでも、お口の中の細菌を減らす助けになります。

また、甘いものの食べ過ぎは、虫歯や歯石などの問題だけでなく、健康にも影響します。

意識して鼻呼吸をする

口呼吸はお口の中を乾燥させて、細菌を増やしやすくします。何気なくお口が開いていることが多い方は、普段から意識して鼻で呼吸するように心がけましょう。

歯石除去の様子

まとめ

歯石は、プラークが残っている限り、どうしてもついてきてしまいます。

歯石がつきやすいと感じる方も、毎日の歯磨きを工夫することで、歯石をつきにくくすることは可能です。

「もしかして私、歯石がつきやすい?」と感じたら、今回掲載している色々な原因を思い出してみてください。そして、今日からできる簡単な対策を一つでも二つでも始めることが、未来の健康な歯につながります。

しかし、どんなにしっかり対策している方でも、期間が開くと、どうしてもある程度の歯石はついてしまいます。

大事なのは、ついてしまった歯石を放置せずに、毎日のセルフケアと歯医者での定期的なクリーニングをしっかりと行うことです。

歯石を放置しそのままにしてしまうと、歯周病や虫歯などのリスクを高めることに繋がるため、歯医者での定期的なクリーニングを受けていない方は、早めに歯医者を受診するよう心がけましょう。

2025-05-09 | Posted in デンタルニュースComments Closed 

 

歯に物が挟まる時の対処法

日本橋にある歯医者「日本橋グリーン歯科」デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。

食事の後、歯に食べ物が挟まって不快な思いをしたことはありませんか?

多くの人が経験するこの現象ですが、そのままにしておくと、虫歯、歯周病、口臭、歯ぐきの痛みなど、様々なお口のトラブルを引き起こす可能性があります。

この記事では、歯に物が挟まる主な原因と、自分でできる対処法について解説します。

物が挟まった歯

歯に物が挟まるのはなぜ?

多くの方が経験がある「歯に物が挟まる」という現象ですが、適切な対処をしないと、様々なお口のトラブルを引き起こす可能性があります。

歯に食べ物が挟まるのは、以下のような要因が考えられます。

①歯並びや歯間の状態

歯並びによる隙間

歯の生え方が不揃いであると、歯と歯の間に隙間が生まれやすくなります。特に、歯が重なっていたり、斜めに生えていると、複雑な隙間ができやすく、食べ物が引っかかりやすい状態になります。

また、受け口や出っ歯といった噛み合わせの不具合も、特定の箇所に食べ物が集中し、挟まる原因となることがあります。

日々のメンテナンスで患者様のお口の中を拝見していると、やはり歯が重なり合っている部分に食べかすなどが残っているケースが多く見受けられます。特に奥歯は、ご自身で確認しづらいため、物が挟まったままになりがちです。

加齢や歯周病による歯間の拡大

年齢を重ねるにつれて、歯ぐきが徐々に下がり、歯と歯の間の隙間が広がる傾向があります。以前はぴったりと並んでいた歯の間に隙間が生まれることもあり、歯に物が挟まりやすくなります。

また、歯周病による歯ぐきの退縮も、同様に歯間を広げ、物が挟まりやすくなってしまいます。

②詰め物・被せ物の不適合

経年劣化や破損

古くなった詰め物や被せ物は、時間の経過とともに劣化したり、使用によるわずかなズレが生じることがあります。このように段差や隙間ができた部分には、食べ物が引っかかりやすく、歯に物が挟まる原因となります。

製作時の精度の問題

詰め物や被せ物を製作する際の精度が低いと、歯との間にわずかな隙間が生じることがあります。例え小さな隙間であっても、食べ物が入り込むには十分な大きさとなり、歯に物が挟まる要因となります。

③歯周病による歯肉の退縮

歯間乳頭の喪失

歯周病が進行すると、歯を支える骨が溶け、歯ぐきが下がってしまいます。これにより、歯と歯の間に隙間が生まれ、食べ物などが挟まりやすくなります。特に、歯と歯の間の歯ぐき(歯間乳頭)が失われると、より大きな隙間ができやすくなります。

根面の露出

歯周病が進行し、歯ぐきが大きく下がると、歯の根元部分が露出します。歯の根元部分の表面は、歯の頭の部分と比べて凹凸が多く、食べ物が引っかかりやすくなります。

④加齢による歯の変化

歯の摩耗

長年の歯の使用により、表面が少しずつ摩耗することがあります。この摩耗によって、隣の歯との間にわずかな段差や隙間が生じ、食べ物が引っかかりやすくなることがあります。

歯の移動

長年歯を使用していると、わずかに移動することがあります。歯と歯の間に新たな隙間ができたり、元々あった隙間が広がったりして、歯に物が挟まりやすくなることがあります。

加齢による歯の隙間は、丁寧にケアをしている方にも起こりえます。

歯磨きの指導をする立場の私たちも例外ではなく、年齢とともに誰しも歯間の隙間が広がるのです。

そのため、常に同じケア方法ではなく、お口の中の状態に合わせてケア方法を調整していく必要があります。

汚れた口腔内

歯に物が挟まった時の対処法

もし歯に物が挟まってしまった場合でも、慌てずに適切な方法で対処することが大切です。ここでは、自分でできる基本的な対処法を解説します。

①デンタルケア用品を使う

歯間ブラシ

歯間ブラシは、歯と歯の間の隙間に合わせて様々なサイズや形状のものが販売されています。

初めて歯間ブラシを選ぶ際は、歯科衛生士に相談して適切なサイズを教えてもらうのがおすすめです。

サイズがよくわからないという場合は、細いサイズから試し、無理なく挿入できるものを選びましょう。隙間の大きさに合わせて、数種類のサイズを使い分けるのも効果的です。無理に太い歯間ブラシを挿入すると、歯ぐきを傷つける原因になります。

歯間ブラシは、歯と歯の隙間に垂直にゆっくりと挿入し、前後に数回優しく動かします。歯の面に沿わせるように、様々な角度から通してみるのも効果的です。使用後は水でよく洗い、乾燥させて保管してください。

デンタルフロス

デンタルフロスは、歯と歯の間の狭い隙間や、歯ぐきの溝の汚れを除去するのに適しています。

糸巻きタイプとホルダータイプがありますが、糸巻きタイプは自分で長さを調整できるため、様々な部位に使用しやすいのが特徴です。ホルダータイプは、奥歯など手が届きにくい部分でも比較的簡単に使用できます。どちらのタイプも、正しい方法で使用することが大切です。

フロスを歯と歯の間にゆっくりと挿入し、歯の側面に沿って上下に優しく動かします。歯ぐきの溝にも軽く入れ、汚れを掻き出すように動かしましょう。使用済みのフロスは再利用せずに捨ててください。

②挟まりやすい場所別のケア方法

奥歯

奥歯は噛み合わせの面が複雑で、食べ物が挟まりやすい傾向があります。

奥歯の歯の間は、他の部分よりも広めなことが多いです。そのため、やや太めの歯間ブラシや、幅広のデンタルフロスを使用すると、効率的に汚れを除去できます。

奥歯は歯の列が湾曲している部分も多いため、歯間ブラシやデンタルフロスを様々な角度から挿入し、丁寧に動かすことが重要です。

前歯

前歯の歯の間は比較的狭いことが多いため、細めの歯間ブラシや、薄いタイプのデンタルフロスを使用すると、スムーズに清掃できます。

前歯は見た目にも目立つ部分です。歯間ブラシやデンタルフロスを使用する際は、歯ぐきを傷つけないように、優しく丁寧に動かすよう心がけましょう。

歯と歯ぐきの境目

歯周病が進行している場合、歯と歯ぐきの間に深い溝(歯周ポケット)ができていることがあります。そのような場合は、歯ブラシの毛先が歯周ポケットに入るように、丁寧に磨く必要があります。

歯ぐきに炎症がある場合は、歯間ブラシやデンタルフロスを挿入する際に、力を入れすぎると痛みや出血の原因になります。

③歯に物が挟まった時の間違った対処法

爪楊枝の使用

爪楊枝は、先端が尖っているため、歯や歯ぐきを傷つける可能性が高いです。また、折れて破片がお口の中に残ってしまうこともあります。

無理に爪楊枝を押し込むと、歯ぐきに炎症を起こす原因となるため、使用に注意が必要です。

強い力で無理やり取る

無理な力を加えることで、歯が欠けたり、詰め物や被せ物が外れたりする可能性があります。

また、挟まった物をとる際に歯ぐきを傷つけ、炎症や出血を引き起こすことがあります。

どうしても取れない場合は、無理に自分で対処しようとせず、歯医者で相談しましょう。

デンタルフロス

まとめ

いつも同じ場所に物が挟まる場合は、歯並びや詰め物・被せ物に問題がある可能性があります。

頻繁に物の挟まりを放置すると、虫歯や歯周病のリスクが高まります。歯医者で相談し、原因の特定と適切な対処を行うことが重要です。

歯に物が挟まった部分に痛みや出血がある場合は、歯ぐきが炎症を起こしている可能性があるため、なるべく早めに受診しましょう。

また、定期的に検診を受け、お口のメンテナンスを行うことで、ご自身では落としきれない歯石やプラークの除去や、虫歯や歯周病の早期発見にもつながります。

メンテナンスの際に歯並びや詰め物・被せ物の状態をチェックしてもらうことも、歯に物が挟まることへの予防のために大切です。

2025-05-02 | Posted in デンタルニュースComments Closed