デンタルニュース

虫歯にならない人の特徴は?改善方法も紹介

デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。

「ちゃんと歯磨きしているのに、すぐ虫歯になる」
「同じようにケアしていても虫歯にならない人は、自分と何が違うんだろう」

そう思ったことはありませんか?

実は虫歯になりやすさは個人差があり、世の中には虫歯になりやすい人となりにくい人がいます。

虫歯は歯だけでなく、お口の中の環境や生活習慣などの要因によって大きく変わってきます。

お口のケアをしっかりしていても何回も虫歯になる人もいれば、しっかりケアをしているわけではないのに虫歯にならないという人もいるのです。

 

私は虫歯になりやすく、毎日フロスまでしっかりしていますが、検診で見てもらうと小さな虫歯や虫歯になりそうなところが見つかるということが多々ありました。

しかし、知人の歯医者の先生は「実はフロスなんてほとんどしたことがない」とおっしゃっていましたが、虫歯にならないそうです。

皆さんの身近にも、特別なケアをしているわけではないのに虫歯にならない人がいらっしゃるのではないでしょうか。

 

この記事では、虫歯にならない人の特徴を解説しています。

虫歯のなりやすさは、体質によるものもあればご自分で気をつけて改善できることもあるので、虫歯になりやすいと感じている人は参考にしてみてください。

虫歯にならない人

虫歯にならない人の生理的特徴

生理的特徴とは、身体の機能や状態に関する特徴です。

自分ですぐにコントロールできる部分ではないですが、中には意識することで改善できることもあります。

Ⅰ-1.唾液の分泌量が多い

①唾液の作用

唾液には「自浄作用」「抗菌作用」「再石灰化」など、虫歯を抑制する作用がたくさんあります。

唾液の分泌量が多い人は、これらの作用によりお口の中が清潔に保たれ、虫歯になりにくくなります。

②唾液の分泌を多くするには

唾液を増やすためには、食事の時にしっかりとよく噛んで食べることが大事です。

よく噛むことで、唾液腺が刺激され、唾液の分泌が促されます。

Ⅰ-2.唾液の性質がサラサラしている

①唾液の種類

唾液には2種類あり、「ネバネバした唾液」と「サラサラした唾液」があります。

ネバネバした唾液は、お口の中が乾きやすく虫歯リスクが高いですが、サラサラした唾液はリラックス状態の時に分泌され、お口の中の汚れを洗い流してくれるので虫歯予防に効果的です。

②唾液をサラサラにするためには

緊張していたりストレスを感じていると唾液がネバネバしやすいので、日常的にそういった機会が多い方は、リラックスできる時間を増やしてみましょう。

Ⅰ-3.歯質が強い

①歯質が強い人

歯質は人によって違い、歯質が強い人は、虫歯菌が放出する酸に対する抵抗力が高いです。

そのような方は、エナメル質が溶けにくく、結果的に虫歯リスクが低くなります。

②歯質が弱い人

歯の表面のエナメル質が薄い「エナメル質形成不全」などで先天的に歯質が弱い人や、乳歯や生えたばかりの永久歯などの歯質が弱い時期の歯は、虫歯になりやすいです。

③歯質を強くするには

まだ歯が生えていない子供の場合は、歯質が作られる時期に、歯の成分であるカルシウムをしっかり摂取することで、歯質を強くすることができます。

歯質が作られる時期は、乳歯の場合は妊娠3〜4ヶ月頃、永久歯の場合は乳幼児期〜小学校低学年頃と言われています。

歯質が強く虫歯にならないイメージ

Ⅱ 虫歯にならない人の口腔内環境

お口の中の環境は体質と違い、お口のお手入れをしっかりしたり矯正治療で歯並びを良くすることで、自分で変えることができます。

Ⅱ-1.虫歯菌の数が少ない

①虫歯菌の数は幼少期に決まる

お口の中の虫歯菌の数が少ない人は、虫歯になりにくいです。

虫歯は遺伝などではなく細菌感染なので、小さい頃に虫歯菌を保有する親と同じ食器を使用したり、食べ物の口移しなど何らかのタイミングで感染します。

2歳半から3歳までの時期に虫歯菌に触れる機会が少なかった人は、その後の人生でも虫歯になりにくくなることがわかっています。

そもそも虫歯とは、虫歯菌が飲食物などの糖分を分解して放出する酸で、歯が溶かされることにより起こります。

虫菌菌はほとんどの人のお口の中に存在する常在菌ですが、虫歯になりにくい人はその細菌の数が少なかったり、存在していない場合もあるため、虫歯になるリスクが低くなります。

冒頭で書いた、「実はフロスなんてほとんどしたことがない」知人の歯医者の先生は、恐らくお口の中の虫歯菌が少ない方なのでしょう。

②虫歯菌を減らす対策

まだ3歳未満の子供が虫歯菌に触れる機会を少なくするためには、親との食器の共有や口移し、糖分の多い食事を控えることが大切です。

一度虫歯菌に感染した場合、全ての菌を除去することはできませんが、丁寧な歯磨きを行うことや歯医者のクリーニングを受けることで虫歯菌の数を減らすことは可能です。

Ⅱ-2.歯並びが整っている

①歯並びが良いと磨きやすい

歯並びが悪い人は歯が重なっている部分や引っ込んでいる部分に歯ブラシの毛先が届きにくく、磨き残しが多くなってしまうため、虫歯リスクが高くなります。

歯並びが良い人は歯磨きがしやすく、隅々まで清潔にすることができるため、虫歯のリスクを減らすことができます。

②噛み合わせの影響

歯並びが良いと噛み合わせも良くなるため、よく噛んで食事ができ、唾液の分泌もよくなります。

虫歯菌が少ない歯

Ⅲ 虫歯にならない人の生活習慣

体質だけではなく、日々の生活の過ごし方も虫歯の原因に直結します。

こちらは今すぐに改善できる部分もあるので、虫歯になりやすさが気になっている方は参考にしてみてください。

Ⅲ-1.丁寧に歯磨きする

①補助的清掃用具を使う

虫歯予防にとって、基本となるのが丁寧な歯磨きです。虫歯菌は歯と歯の間や、歯の溝などの細かいところに入り込むため、歯ブラシだけでなくフロスや歯間ブラシなどの補助的清掃用具の使用も大切です。

②フッ素を取り入れる

多くの歯磨き粉に含まれるフッ素は、歯を強くし虫歯を予防する効果があるので、虫歯になりやすさが気になる方は、フッ素入りの歯磨き粉を使用しましょう。

Ⅲ-2.甘いものをあまり食べない

①糖分は虫歯菌のエサ

砂糖や甘い食べ物をほとんど食べない人は、虫歯になるリスクも低いです。

糖分は虫歯菌の主なエサであるため、甘いものをたくさん摂取してしまうと、お口の中に虫歯菌による酸が増え、虫歯になりやすくなってしまいます。

②お口に止まりやすいものを控える

お口の中に糖分が長時間留まることで、細菌が増殖しやすい環境になります。

飴やガムなど長時間お口の中に留まりやすいものは、虫歯予防効果のあるキシリトール入りのものにするなど気をつけましょう。

また、歯にくっつきやすいキャラメルやソフトキャンディー、ヌガーなどを摂取した後は、丁寧な歯磨きを心がけましょう。

以前担当させていただいていた患者様で、磨き残しが少なく綺麗で歯磨きは上手なのに、しょっちゅう虫歯になってしまう方がいました。

よくよく話を聞いてみると、夜に歯磨きをした後、寝る直前に飴を舐める習慣があることが発覚しました。

いくら日頃の歯磨きを丁寧にしていても、糖分を摂取した後に磨かないと、本当に虫歯になりやすいのだなと実感しました。

Ⅲ-3.よく噛んで食べる

①唾液の分泌が良くなる

食事をよく噛むことで唾液の分泌が促進され、お口の中の自浄作用が高まります。

前述した通り、唾液には虫歯を抑制する成分がたくさん含まれています。そのため、よく噛むことで、虫歯のリスクを軽減することができます。

②食べ物の種類

柔らかい食べ物ばかりを摂取していると噛む回数が減ってしまうため、適度に硬い食べ物も摂取するよう心がけましょう。

Ⅲ-4.鼻呼吸をしている

①口呼吸による影響

口呼吸をしていると、お口の中が乾燥状態になるため、唾液の「自浄作用」「抗菌作用」「再石灰化」などの働きが低下し、虫歯になりやすい環境になってしまいます。

口呼吸によって舌の位置が下がると歯並びや顎の発達にも影響があるため、まだ歯が生えそろっていなかったり顎の成長が終わっていない子供の場合は注意をしましょう。

②鼻呼吸による影響

鼻呼吸をしている人は、お口の中が乾燥しにくく、唾液の働きによって細菌が繁殖しづらいため、虫歯リスクが低くなります。

鼻呼吸をしている人

Ⅳ まとめ

以上の特徴を持つ人は虫歯になりにくいですが、こういった特徴に当てはまらないからといって必ず虫歯になるわけではありません。

毎日の丁寧なセルフケアと歯科医院での定期的なプロケアが、虫歯予防には重要です。

定期的に検診やプロの口腔ケアを受けることで、初期虫歯の早期発見や、ご自身にあった正しい歯磨き方を身につけることができます。

この記事を監修した人

医療法人社団周優会 常務理事 笠原幸雄

医療法人社団周優会
常務理事 笠原幸雄

所属学会

東京シティー日本橋ロータリークラブ会員
お江戸日本橋歯科医師会選挙委員会 委員長
一般社団法人 日本橋倶楽部会員
東京科学大学歯学部 東京同窓会参与

略歴

私立開成高校卒業
早稲田大学理学部卒業
東京医科歯科大学歯学部卒業
東京医科歯科大学病院勤務
笠原歯科医院 蔵前開設
医療法人社団寿幸会 笠原歯科医院 人形町開設
医療法人社団周優会 日本橋グリーン歯科 常務理事
医療法人社団寿幸会 笠原歯科医院 六本木開設