デンタルニュース
インプラント治療後、口臭が気になるのはなぜ?
日本橋の歯医者「日本橋グリーン歯科」デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。
インプラント治療が終わったあとに、「なんとなく口臭が気になる」と感じる方はいらっしゃいます。
とはいえ口臭はとてもデリケートな悩みなので、誰かに相談しづらく、ひとりで不安を抱えてしまう方も少なくありません。
「インプラントが原因なのかな?」「ケアが足りないのかな?」と心配になるお気持ちは自然なことです。
私が日々診療に関わる中でも、口臭についてのご相談は実はよくあります。
多くの場合、インプラントそのものというより、治療後の環境変化や、汚れが残りやすい部分、歯ぐきの回復途中の変化、そしてお口の乾燥などが関係していることが多い印象です。
この記事では、インプラント治療後に口臭が気になったときに考えられる原因や、ご自宅でできるケアのポイントについてお伝えします。
気になる気持ちを軽くするヒントとして、参考にしていただければ幸いです。

インプラント後に口臭が出やすくなる主な原因
①インプラント周りの汚れがたまりやすい
歯と歯ぐきの境目の清掃が難しい
インプラントは天然の歯と比べて、歯ぐきとの境目の形や段差が少し違うことがあります。
そのため、今までと同じ磨き方をしていても、細かい部分に汚れが残りやすくなることがあります。
とくに「歯と歯ぐきの境目」は、汚れがたまるとにおいにつながりやすい場所です。
クリーニングやチェックをしていると、「歯ブラシはしっかり当てられているのに、境目だけうっすら汚れが残っている」ということがよくあります。
磨き方が悪いというより、形が変わったことで当て方のコツが少し変わるイメージです。
ここはほんの少し当て方を調整するだけで、スッと改善することも多いポイントです。
仮歯・上部構造まわりの磨き残し
仮歯の期間や、最終的な被せ物(上部構造)が入った直後は、まだお口が新しい形に慣れていないため、磨き残しが出やすいタイミングです。
被せ物の形によっては、歯間ブラシやフロスが通りにくく感じたり、逆に通しやすいけれど当たってほしい場所に当たっていなかったりすることがあります。
実際に、相談される方のケア用品のサイズが合っていなかったり、通す方向が少し違っていたりすることがあります。
ここは自己流で頑張りすぎるより、医院で一度確認して、今の状態に合う道具と使い方を一緒に決めると、ぐっと楽になります。
②歯ぐきの炎症や腫れ
治療後の回復途中に起こりやすい変化
治療後の歯ぐきは、表面上は落ち着いて見えても、内側では回復の途中であることが多いです。
そのため、軽い腫れや赤みが残っていたり、ブラッシング時に少し出血しやすかったりすることがあります。
こうした治り途中の反応があると、口の中に独特のにおいを感じることがあります。
ここでお伝えしたいのは、「治療後のにおい=すぐに悪い状態」と決めつけなくてよい、ということです。
もちろん確認は必要ですが、回復とともに落ち着くことも多いので、状況を見ながらケアを整えていくのが良いでしょう。
出血や滲出液が原因になることも
歯ぐきに炎症があると、出血だけでなく、歯ぐきのすき間から「にじむような液」が出ることがあります。
ご本人は自覚がなくても、「ネバつく」「変な味がする」と感じることがあり、その結果として口臭が気になる場合があります。
この段階で自己流で解決しようとしてしまうと、磨き方が強くなって歯ぐきを傷つけたり、逆に怖くて磨けずに汚れが増えたりして、悪循環になりやすいです。
気になるときは遠慮なく相談していただき、今の歯ぐきの状態に合わせた磨き方に整えると安心です。
③唾液量の変化
緊張・薬・口呼吸の影響
口臭は「汚れ」だけでなく、「乾燥」でも起こりやすくなります。
治療後は無意識に緊張していたり、生活リズムが乱れていたり、服用しているお薬の影響があったりして、唾液が減りやすいことがあります。
また、鼻づまりや癖で口呼吸になっている方も、乾燥が進みやすいです。
お口が乾きやすくなると起こりやすいにおい
唾液には、お口の汚れを流したり、細菌の増えすぎを抑えたりする働きがあります。
乾燥するとその働きが弱くなり、結果としてにおいが出やすくなります。
とくに朝起きたときや、会話が少ない日、仕事で水分が取りにくい日などに「気になる」と感じやすい傾向があります。
乾燥が関わっている場合は、磨き方だけを頑張っても改善しにくいことがあります。
水分の取り方、口呼吸の癖、保湿ケアなど、原因に合わせた対策が効果的です。

自分でできるチェックと日常ケア
①口臭が気になったときに確認したいポイント
どんなときに気になるか(朝・食後・夜)
口臭が気になったときは、「ずっと気になるのか」「特定のタイミングだけなのか」を少し意識してみると、原因の方向性が見えやすくなります。
たとえば朝だけ気になる場合は、寝ている間の乾燥や口呼吸が関係していることが多いですし、食後に気になる場合は、食べかすが残りやすい場所や、清掃の届きにくい部分が影響していることがあります。
「いつ・どんな場面で気になるか」を教えてくださると、かなり具体的にアドバイスがしやすくなります。
受診の際に説明しやすいよう、気になった時間帯や食べたもの、ケアのタイミングなどをざっくり覚えておくだけでも十分です。
味やネバつきの有無
口臭だけでなく、「変な味がする」「口の中がネバつく」「乾いている感じがする」といった感覚は、とても大切なヒントになります。
においの原因が汚れなのか、炎症なのか、乾燥なのかで対策が少し変わるからです。
たとえばネバつきが強いときは、歯ぐきの炎症や乾燥が関係していることがありますし、苦味や金属っぽい味がする場合は、出血や歯ぐきの状態が影響していることもあります。
「においがするかどうか」だけでなく、こうした体感の情報があると、原因を一緒に探しやすくなります。
②今日からできるケアの考え方
歯ブラシだけに頼らない清掃
インプラントの周りは、歯ブラシだけでは汚れが落としきれない部分が出やすいです。
特に歯と歯の間や、被せ物の形のくびれ部分、歯ぐきの境目などは、補助的なケア用品を使うことでグッと清掃しやすくなります。
フロスや歯間ブラシは、サイズや通す方向で効果が大きく変わります。
自己流で頑張りすぎず、「今の状態に合ったやり方」を一度確認すると、毎日のケアがかなりラクになります。
強く磨きすぎないことの大切さ
においが気になると、「とにかく落とさなきゃ」と思って強く磨いてしまいがちですが、これは逆効果になることがあります。
歯ぐきを傷つけると、出血しやすくなったり、炎症が落ち着きにくくなったりして、結果としてにおいが気になりやすい状態が続くこともあります。
毛先を歯ぐきのきわにやさしく当てて小さく動かすだけでも、汚れは十分落ちますもし「どうしても強くなってしまう」「磨いたあとに歯ぐきがヒリヒリする」という場合は、ブラシの種類や動かし方を見直すだけで改善することも多いです。

まとめ
インプラント治療後に口臭が気になると、「自分のケアが足りないのかな」「インプラントに問題があるのかな」と不安になってしまうことがあります。
ただ実際には、口臭はひとつの原因だけで起こることは少なく、汚れの残りやすさ、歯ぐきの回復途中の変化、唾液の量、生活リズムや体調など、いくつかの要素が重なって感じやすくなることが多いです。
特に治療後は、お口の中の形が変わることで、今までと同じ磨き方では届きにくい場所が出てきたり、歯ぐきの状態が整う途中で一時的にネバつきやにおいを感じたりすることがあります。
これは「失敗」や「異常」と決めつけるものではなく、今の状態に合わせて整えていくタイミングとして捉えると安心です。
口臭の悩みはとてもよくある相談だということです。
気になったときは「こんなことで相談していいのかな」と遠慮せず、ぜひお話しください。
確認するだけで安心できることも多いですし、必要であればケアの当て方や補助用具のサイズなどを少し調整するだけで、ぐっと楽になることもあります。
インプラントは、治療が終わったあとも「快適に長く使う」ために、日々のケアと定期的な確認が大切になります。
口臭が気になったときは、お口や体からの小さなメッセージとして受け止めて、無理なく整えていきましょう。
この記事を監修した人

医療法人社団周優会
常務理事 笠原幸雄所属学会
東京シティー日本橋ロータリークラブ会員
お江戸日本橋歯科医師会選挙委員会 委員長
一般社団法人 日本橋倶楽部会員
東京科学大学歯学部 東京同窓会参与略歴
私立開成高校卒業
早稲田大学理学部卒業
東京医科歯科大学歯学部卒業
東京医科歯科大学病院勤務
笠原歯科医院 蔵前開設
医療法人社団寿幸会 笠原歯科医院 人形町開設
医療法人社団周優会 日本橋グリーン歯科 常務理事
医療法人社団寿幸会 笠原歯科医院 六本木開設