2025-06
妊娠中に歯科治療しても大丈夫?
日本橋の歯医者「日本橋グリーン歯科」デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。
妊娠期間は、つわりや体調の変化で、お口のケアが後回しになりがちです。
「妊娠中に歯医者に行っても大丈夫?」「赤ちゃんに影響はないの?」といった、お口の健康に関する疑問や心配事を抱えている方も少なくないと思います。
実はこの時期こそ、お口の健康が非常に大切になります。
この記事では、妊婦さんにとって大切な歯科検診の役割と、疑問や不安を解消するための情報を解説します。
お腹の赤ちゃんのためにも、そしてご自身の健康のためにも、ぜひ最後まで読んでみてください。
妊娠中の歯科検診がもたらす安心
妊娠中は、ホルモンバランスの変化やつわりによって、お口の中の環境が大きく変化し、虫歯や歯周病のリスクが高まってしまいます。
しかし、適切な時期に歯科検診を受けることで虫歯や歯周病のリスクを管理でき、安心して出産を迎えることができます。
①妊娠中の口腔ケアの重要性
妊婦さんは虫歯や歯周病になりやすい
妊娠中は、女性ホルモンの分泌が増加することで、歯周病菌が活発になりやすくなります。
また、つわりで歯磨きがおろそかになったり、酸性のものを口にする機会が増えたりすることで虫歯のリスクも高まります。
唾液の分泌量が減ることも、お口の中の自浄作用を低下させ細菌が繁殖しやすい環境を作り出してしまいます。
お口の健康が赤ちゃんに与える影響
お母さんが重度の歯周病にかかっている場合、早産や低体重児出産のリスクが高まることがあります。
これは、歯周病菌が体内で炎症を引き起こし、その炎症物質が子宮の収縮を促す可能性があるためです。
また、虫歯の原因菌は出産後にお母さんから赤ちゃんへ感染する可能性もあり、将来的な赤ちゃんの虫歯リスクにも関わってきます。
②安心して受診できる歯科医院選びのポイント
妊婦さんへの配慮がある歯医者の見つけ方
インターネットで「妊婦歯科検診」「マタニティ歯科」などのキーワードで検索すると、妊婦さんへの対応を謳っている歯医者を見つけることができます。
また、かかりつけの産婦人科医に相談して、提携している歯医者があれば紹介してもらうのも良いでしょう。
初診時に伝えるべきこと
歯医者を受診する際は、必ず妊娠していること(現在の妊娠週数)を伝えましょう。
つわりの有無や既往歴、服用している薬なども詳しく伝えることで、歯科医師が適切な治療計画を立て、体に負担の少ない方法を検討してくれます。
妊娠時期別の適切な対応
妊娠期間は大きく「初期」「中期」「後期」に分けられ、それぞれの時期によって体の状態や歯科治療に対する注意点が変わってきます。
適切な時期に適切な対応をすることで、安心して歯科治療を受けることができます。
①妊娠初期(~15週頃)の注意点とできること
つわり中の口腔ケアで心がけるべきこと
つわりがひどい時は、歯ブラシを口に入れるのも辛いことがあります。
無理に磨こうとせず、体調の良い時に短時間で磨く、ヘッドの小さい歯ブラシを使う、においの少ない歯磨き粉を選ぶなどの工夫をしましょう。
歯磨きをするのがつらい時は水でうがいをするだけでも、お口の中をキレイに保つのに役立ちます。
応急処置が必要になった場合の対処法
この時期は、緊急時を除いて積極的な歯科治療は避けるのが一般的です。
しかし、我慢できないほどの痛みがある場合や炎症がひどい場合は、まずは歯医者に連絡し、妊娠中であることを伝えて相談しましょう。
歯科医師が、痛み止めや抗生物質の使用を検討し、応急処置を行ってくれます。
②妊娠中期(16~27週頃)が歯科治療のベストタイミング
安定期に推奨される治療内容
安定期であれば、虫歯の治療、歯周病の治療、親知らずの抜歯など、ほとんどの歯科治療を受けることが可能です。
この時期に、気になる症状は積極的に治療しておきましょう。
一般的な歯科治療の進め方
治療中は、妊婦さんの体調に配慮し診療時間を短くする、体位を工夫するといった配慮をしてもらえます。
痛みを感じやすい場合は、麻酔の使用についても歯科医師と相談できます。
③妊娠後期(28週頃~)の歯科検診と出産への備え
出産前に確認しておきたいこと
この時期は、主に口腔内のチェックやクリーニングなど、負担の少ない処置に留めることが多いです。
もし、出産後に治療が必要になる可能性のある虫歯や歯周病が見つかった場合は、出産後の治療計画について歯科医師と相談しておきましょう。
産後の口腔ケアを見据えた準備
出産後は、育児で忙しくなり、歯医者に通う時間が取れないことも考えられます。
この時期に出産後の口腔ケアの計画を立てておくことは、虫歯や歯周病の予防につながります。
赤ちゃんの虫歯予防のためにも、お母さんのお口の中を清潔に保つことはとても大切です。
私はこの時期に歯医者のクリーニングを受診しました。あまりに後期すぎると仰向けの体勢がつらくなってしまうので、体調をみて早めに受診するのが良さそうです。
出産直後は本当に歯医者に通えるような時間が作れなかったので、個人的には出産前に受診しておくことがおすすめです。
歯科治療で気になる「レントゲン」「麻酔」「薬」の安全性
妊娠中の歯科治療で特に心配になるのが、レントゲン撮影、麻酔、そして薬の服用ですよね。
しかし、現代の歯科医療では、妊婦さんやお腹の赤ちゃんへの安全性が最大限に考慮されています。
①歯科レントゲン撮影は本当に安全?
胎児への影響が心配ない理由
「レントゲンはお腹の赤ちゃんに悪い影響があるのでは?」と心配される方は多いのではないでしょうか。
歯科用レントゲンは、撮影部位が口腔内に限られており、お腹から離れた場所を撮影します。
また、撮影範囲が非常に限定的で、X線の照射量もごくわずかです。
医療機関で使用される一般的なレントゲン撮影に比べ、放射線被ばく量が非常に少ないため、赤ちゃんへの影響は無視できるレベルとされています。
防護措置と撮影回数について
歯科医院では、X線被ばくを最小限に抑えるために、鉛入りのエプロンを着用するなどの配慮が徹底されています。
万が一の被ばくを心配される方もいますが、基本的に歯科でのレントゲン撮影は、赤ちゃんへの影響を考慮して必要最低限に抑えられます。
②歯科麻酔はお腹の赤ちゃんに影響しないのか
使用される麻酔の種類と安全性
歯科治療で一般的に使用される局所麻酔薬は、体内に吸収されてもすぐに分解され短時間で体外に排出されるため、お腹の赤ちゃんに影響を与えることはほとんどありません。
また、使用量もごく少量であり、母体と赤ちゃんへの影響は極めて低いと考えられています。
麻酔後の注意点と体調管理
麻酔を使用した後も、歯科医師は妊婦さんの体調を常に確認しながら治療を進めてくれます。
もし麻酔後に体調の変化や気分が悪くなった場合は、すぐにスタッフに伝えましょう。無理をせず、自分のペースで治療を受けることが大切です。
③妊娠中に服用できる薬・避けるべき薬の見分け方
痛み止めや抗生物質の選び方
歯科医師は、妊娠週数や体調を考慮し、妊婦さんでも安全性が確認されている薬を選んで処方します。
抗生物質も、特定の種類のものが選択されます。
自己判断で市販薬を服用するのは避け、必ず歯科医師や薬剤師に相談してください。
市販薬を使う際の注意点
普段から服用している市販薬がある場合や、急な痛みなどで市販薬を使いたい場合は、必ず購入前に薬剤師に相談し、妊娠中であることを伝えるようにしましょう。
妊娠中に服用が推奨されない成分が含まれている場合があるため、注意が必要です。
まとめ
妊娠中の歯科検診や治療に関して、多くの疑問や不安があると思います。
妊娠中のお口のケアは、お母さんと赤ちゃんの両方にとって非常に重要です。
体の変化に合わせた適切なケアと、歯科医師とのコミュニケーションを通じて、安心して治療を受けましょう。
ナイトガードの効果!歯ぎしり・食いしばり対策
日本橋の歯医者「日本橋グリーン歯科」デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。
朝起きたときに「あごが疲れている」「歯がしみる」といった経験はありませんか?
それは、眠っている間の気づかないうちに「歯ぎしり」や「食いしばり」をしていることが関係している場合があります。
この習慣を放っておくと、歯やあごの健康に悪影響を及ぼす危険性が高まります。
そんな時に役立つのが「ナイトガード」です。
本記事では、ナイトガードがどのように歯やあごを守ってくれるのか、その効果や使い方まで解説します。
もしかして歯ぎしり・食いしばり?ナイトガードの役割
①夜間の歯ぎしり・食いしばり
「顎がだるい」「歯がしみる」原因
眠っている間、無意識に歯を擦り合わせたり、強く噛みしめる人がいます。
これが「歯ぎしり」や「食いしばり」と呼ばれる状態です。
朝起きた時にあごの周りが重く感じられたり、歯がなんとなくしみるような気がするのも、この歯ぎしり、食いしばりなどが原因になっていることがあります。
歯ぎしりや食いしばりの力は、大人の体重以上にもなり、歯やあごの骨に大きな負担がかかります。
繰り返すことで、歯の表面がすり減ったり、歯ぐきが下がったり、場合によっては歯がヒビ割れる場合もあります。
また、強い力が長期間続くと、あごの周りの筋肉がこり固まり、あごの痛みや不快感、だるさの原因となります。
放置することで起こるリスク
歯ぎしりや食いしばりをそのままにしていると、歯のすり減りがどんどん進みます。
欠けてしまったり、歯周病の進行、詰め物や被せ物の破損などのリスクが上がります。
歯の神経まで炎症が進み、歯自体が抜けやすくなったり、ぐらつくようになる場合もあります。
さらに、あごの関節にも強い負担がかかるため、「顎関節症」を起こすこともあるのです。
不快な音がしたり、口が開きにくくなったり、痛みを伴うことも珍しくありません。
また、こうした状態が続けば頭痛や肩こり、顔の左右のバランスの崩れ…と全身にも様々な悪影響が出る場合があります。
歯医者で実際に患者様を診ていると、歯のすり減りが目立つ方も少なくありません。そうした場合、噛むと痛い以外にも見た目の問題など、複数の悩みが重なってしまいます。
②ナイトガードの役割
口腔内へのナイトガードの影響
ナイトガードを口の中につけて眠ると、上下の歯が直接ぶつかるのを防げます。
その結果、力が直接歯に伝わらず、摩耗や欠け、ヒビ割れなども防止できます。
もちろん、詰め物・被せ物の破損も起こりにくくなります。
また、ナイトガードを使うことであごの関節や周囲の筋肉にかかる力も和らぎ、違和感や痛みが感じにくくなります。
悩みから解放される
歯ぎしりや食いしばりがある人にとって、ナイトガードはトラブル解消の一歩です。
夜の間に知らず知らずのうちに加わっていた歯やあごへの強い力がなくなり、朝起きた時のだるさや違和感も少なくなります。
睡眠の邪魔となることが減り、日中の仕事や勉強にもより集中できるようになるでしょう。
ナイトガードの3つの効果
①歯の摩耗と破損を防ぐ効果
歯ぎしり・食いしばりの衝撃から歯を守る
無意識のうちに行う強い歯ぎしりや食いしばりは、歯の表面を少しずつ削り、知覚過敏や細かいヒビの原因となってしまいます。
ナイトガードをつければ、上下の歯が直接当たりません。そのため、大切な歯そのものを衝撃から守ることができます。
詰め物や被せ物の寿命を延ばす効果
歯ぎしりや食いしばりがあると、自分の歯だけでなく銀歯やプラスチックの詰め物、被せ物なども壊れてしまいやすくなります。
しかしナイトガードをつけることで、噛む力が全体的に分散され、特定の箇所に力が集中することを防ぎます。
その結果、修理や再治療の回数も少なくて済むようになり、治療費や時間の節約にもつながります。
②顎関節への負担を減らす効果
顎関節症の痛みを緩和する
顎関節症というのは、口の開けにくさや痛み、「カクカク」となる音などが特徴ですが、多くは歯ぎしりや食いしばりによる負担が原因です。
ナイトガードを使うことで、かかる力が分散され、あごの筋肉のこわばりや関節の炎症が軽くなることが期待できます。そのため、顎関節症の予防や進行抑制などにも役立ちます。
顔の歪みや頭痛の改善
歯ぎしりや食いしばりによる筋肉の緊張が続くと、顔が非対称になったり、エラの張りが目立つ場合もあります。
また首や肩のコリ、頭痛の原因にもなります。
ナイトガードは噛む力を分散するので、筋肉の無駄な力みを抑えるのに効果があり、顔のバランスや全身の調子が整いやすくなります。
③質の良い睡眠へと導く効果
睡眠中の「かみしめ」が減る
眠っている時の「かみしめ」の行動が軽減されれば、朝起きたときの口・あごのだるさや痛み、歯の違和感も少なくなります。
ナイトガードを使うことで、より深く安定した眠りにつける場合が多いです。
眠りの質が良くなれば、日中の元気ややる気も維持しやすくなるでしょう。
いびき軽減やリラックス効果
歯ぎしりや食いしばりのせいであご周りの筋肉が緊張すると、喉の空気の流れが狭まり、いびきが起きやすくなることがあります。
ナイトガードによってあごの位置が安定し筋肉の緊張が緩むことで、気道が広がりやすくなり、いびきの軽減も期待できます。
また、ストレスがかかりにくい状態になるおかげで、リラックスして眠れるのも大きなメリットです。
しっかり効果を得るためには
①「効果がない」と感じる時の対処法
ナイトガードが合わないと感じる原因
ナイトガードを使っているのに改善しない、または違和感が強い場合は、口のサイズや歯並びに合っていない可能性があります。
きちんとフィットしていないと歯やあごへの負担を減らすことができず、違和感や痛みの原因になります。
また、素材の厚さや固さなども自分に合っていないものを使っていると、長続きしなかったり、効果が充分に発揮されないこともあります。
正しく使用できているかセルフチェック
正しい装着方法が守られているか確認しましょう。
- 決められた時間ナイトガードを使っているか
- 洗浄・保管は清潔にできているか
- ガタつきや不安定さがないか
以上の項目が守られていない場合、本来の予防効果は期待できません。
歯医者への相談が重要な理由
ナイトガードの効果が実感できない場合、自分で判断せず、必ず歯医者に相談しましょう。
調整や再作成が必要なことも多いです。
歯ぎしりや食いしばりの原因がストレスなど他にある場合もあるため、アドバイスや他の治療法を提案してくれることもあります。
②効果を引き出すための正しい使い方
毎日の装着時間と適切なケア方法
ナイトガードは、寝る前に毎日しっかり装着するのが基本です。
使った後は水で丁寧に洗い、柔らかい歯ブラシで優しくこすり洗いします。
ときどき専用の洗浄剤を使えば、細菌や臭い対策にもなります。
放置や洗い忘れは細菌の温床になるので、必ず毎日お手入れしましょう。
定期的な調整とメンテナンスの重要性
ナイトガードは永久的に同じものが使えるわけではありません。
長年使っているうちに擦り減ったり変形したりすることもありますし、自分の口の中も変化します。
定期的に歯医者でチェック・メンテナンスしてもらいましょう。
まとめ
ナイトガードは、「夜間の歯のストレス」から歯やあごを守ります。朝のだるさ・違和感が減れば、日常生活まで過ごしやすくなります。
ちょっとでも「自分は大丈夫?」と心配な方は、気軽に歯医者で相談してみてください。
自分専用のマウスピースで、歯や健康を守りましょう。
加齢で歯並びが悪くなる?問題点と対策を紹介
日本橋の歯医者「日本橋グリーン歯科」デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。
「最近、歯が動いてきたかも…」
「若い頃は、もっと歯並びがきれいだったはずなのに…」
そう感じたことはありませんか?
それは、年を重ねることで起きる歯並びの変化が原因かもしれません。
私もこれまでの経験上、患者様からそういった相談を何度もされたことがあります。
この記事では、なぜ加齢とともに歯並びが変わるのか、その問題点と今日からできる対策を解説します。
加齢によって歯並びが変化する原因
①年齢とともに歯が動く仕組み
歯を支える組織の変化
歯は顎の骨や歯ぐきなどの「歯周組織」によって、グラグラしないように支えられています。
歯周組織は、日々新しい細胞に生まれ変わっていますが、その過程で歯にはごくわずかな力がかかり続けているのです。
若い頃はこの歯の動きを抑える力が強いのですが、年を重ねるとその力が少しずつ弱まってくる傾向にあります。
するとこれまで問題にならなかったような、ちょっとした力でも歯が動きやすくなってしまうのです。
親知らずや喪失歯の影響
歯並びの変化に、大きく関わってくるのが「親知らず」の存在です。
もし親知らずが横向きに生えてきたり、前の歯を押すように生えたりすると、その力で他の歯が前に押し出され、前歯がデコボコになることがあります。
また、虫歯や歯周病などで奥歯を失ってしまった場合も要注意です。スペースを埋めようと、残りの歯が傾いたり、移動したりして、全体の噛み合わせや歯並びが崩れてしまうことがあります。
②歯周組織の衰えによる影響
骨密度の低下と歯ぐきの後退
年を重ねると、体全体の骨密度が少しずつ減っていく傾向にあります。
これは顎の骨も同じで、顎の骨の密度が下がると歯を支える力が弱まり、歯が動きやすくなる原因の一つになります。
それに加えて、歯ぐきも年とともに下がりやすくなります。
歯ぐきが下がると、歯が長く見えたり歯を支える土台が不安定になったりして、見た目だけでなく歯の健康にも影響が出てくることがあります。
歯周病の進行と歯並びの悪化
特に気をつけたいのが、「歯周病」が進行してしまうケースです。
歯周病は、放っておくと歯を支えている骨が溶けてしまう病気です。
骨が溶けてしまうと歯の土台がなくなるので、歯がグラグラしたり歯と歯の間に隙間ができ、歯並びの悪化に直結してしまいます。
歯周病は早めに見つけて治療することが、歯並びをきれいに保つ上でもすごく大切になってきます。
③癖や習慣による歯並びの変化
無意識の癖が歯にかける力
日常には、無意識に歯並びに悪影響を及ぼしている癖が潜んでいます。
例えば、頬杖をつく、爪を噛む、唇を噛む、舌で歯を押すといった癖があります。
そういった癖は、一つ一つは些細なことに見えても、毎日繰り返すことで歯に持続的な力が加わり、少しずつ歯の位置をずらしていきます。
食生活や姿勢による影響
普段の食生活や姿勢も、実は歯並びに関わってくることがあります。
例えば、柔らかいものばかり好んで食べる習慣は顎を使う機会を減らしてしまい、顎の骨の発育に影響を与えることがあります。
また、いつも片側ばかりで噛む癖があると特定の歯にばかり負担がかかり、噛み合わせのバランスが崩れてしまう可能性も考えられます。
歯ぎしりや食いしばりも、歯がすり減ったりヒビが入るだけでなく、歯並びの悪化に影響します。
歯並びの変化で起こる問題点と影響
①口元に自信が持てなくなる
見た目の変化による心理的影響
歯並びが乱れ、前歯に隙間ができて目立つようになったり、歯が前に出てきたりすると、他人の視線が気になり、だんだん自信が持てなくなってしまうこともあるかもしれません。
笑顔は人とのコミュニケーションにとって大切です。だからこそ、見た目の変化が心の負担になってしまうこともあります。
こうした不安が積み重なると、人と積極的に交流することに抵抗を感じるようになる可能性もあります。
口元の印象と年齢の関係性
歯並びが乱れていると、顔立ちが左右対称に見えなかったり、口元に影ができたりして、実年齢よりも老けて見られる原因になることもあります。
逆に、きれいに整った歯並びは、若々しくて健康的な印象を与え、何よりも自信に満ちた素敵な笑顔につながります。
矯正治療の記録用にビフォーアフターの写真を撮影すると、みなさん、治療後の写真はとても顔が整った印象になります。歯並びが整っただけで顔全体の雰囲気が変わるので、口元は顔全体の印象を大きく左右する、とても大切なパーツと言えます。
②噛み合わせによる全身への影響
消化機能への負担と身体の歪み
食べ物を十分に噛み砕けないまま飲み込んでしまうと、胃や腸などの消化器官に負担がかかってしまいます。
この状態が続くと、消化不良や胃もたれといった不調につながることもあります。
さらに、噛み合わせのバランスが悪いと顎の動きが不自然になり、それが首や肩、背骨といった全身の骨格にまで影響を及ぼすこともあります。
顎関節症や頭痛・肩こりとの関連
噛み合わせが悪くなることは、顎の関節に過度な負担をかけることがあり、顎関節症を引き起こす可能性も考えられます。
さらに、悪い噛み合わせが原因で、首や肩の筋肉が常に緊張状態になり、慢性的な肩こりや、ひどい時には頭痛に悩まされるケースも少なくありません。
このように、一見歯並びとは関係なさそうに思える体の不調が、実は噛み合わせの悪化から来ている可能性もあるのです。
③歯周病や虫歯などの口腔トラブル
歯垢・歯石の蓄積と清掃性の低下
歯並びが乱れていると、歯と歯が重なっていたり、不自然な隙間が多くなります。
こういった場所には、食べかすが挟まりやすく、普段の歯磨きだけではなかなかきれいに磨ききれません。
結果として、細菌の塊である歯垢が溜まりやすくなり、それが歯石へと変化していきます。歯垢や歯石が常に存在する状態だと、菌が繁殖しやすい環境が整ってしまい、虫歯や歯周病になるリスクが高まります。
口臭や感染症リスクの増加
歯周病が進行すると、歯を支える骨が溶けてしまうだけでなく、独特の口臭の原因にもなります。
また、お口の中の細菌が増えすぎると、歯ぐきの炎症が悪化し、全身の健康にも影響を及ぼす可能性があります。
例えば、誤嚥性肺炎や糖尿病、心臓病など、様々な病気との関連があるため、単なるお口のトラブルとして軽視できない問題と言えます。
歯並びの悪化を防ぐための習慣
①口腔ケアを見直す
正しい歯磨きと補助用具の活用
歯ブラシはお口の大きさに合ったものを選んで、軽い力で小刻みに動かすことを意識して磨きましょう。
歯と歯の間や、歯並びが複雑な部分は、歯ブラシだけではなかなか汚れを取り除けません。そのため、歯間ブラシやデンタルフロスの活用が必要です。
フロスは歯と歯の間の狭い部分に、歯間ブラシは歯茎が下がってできた隙間に効果的です。
フッ素や洗口液によるケア
日々の歯磨きに加えて、フッ素配合の歯磨き粉を使ったり、フッ素入りの洗口液を取り入れることもおすすめです。フッ素は歯の表面を強くして、虫歯菌の活動を抑える効果が期待できます。
特にフッ素入りの洗口液は、歯ブラシが届きにくい部分にもフッ素を行き渡らせることができるので、虫歯予防に役立ちます。ただし、洗口液は歯磨きの「補助」なので、これだけで歯磨きを済ませてしまわないよう注意しましょう。
定期的に歯医者で、フッ素塗布や正しいブラッシング方法の指導を受けることも、より効果的です。
②悪習慣を見直す
癖の自覚と改善策
日常の無意識の癖が、知らず知らずのうちに歯並びに悪影響を及ぼしていることは珍しくありません。
毎日繰り返されることで歯に継続的な力が加わり、少しずつ歯の位置をずらしていってしまいます。
頬杖をつく、爪を噛む、唇を噛む、舌で歯を押すといった癖がある場合は、ご自身の癖を自覚し、意識して改善することが大切です。
ナイトガードの活用
寝ている間の歯ぎしりや食いしばりは、自分では気づきにくいものですが、歯や顎にものすごく大きな負担をかけています。
これらの習慣は、歯のヒビやすり減り、さらには歯並びの悪化に拍車をかける可能性があるため、早めに対策することが重要です。
歯医者で相談し、ナイトガードを作ってもらうのも一つの手です。
ナイトガードは寝ている間に装着することで、歯への負担を減らし、歯並びの悪化を防ぐことにつながります。
③定期検診の重要性
プロによるクリーニングのメリット
定期検診でのクリーニングは、日頃の歯磨きでは落としきれない歯垢や歯石を、徹底的にきれいにします。
特に歯並びが乱れている部分は磨き残しが多くなりがちですが、専門的な器具を使えば隅々まできれいにできます。
虫歯や歯周病の原因となる細菌の増殖をしっかり抑え、お口の中を常に健康な状態に保つことは、歯並びの悪化を防ぐ上でも非常に大切です。
専門家による状態チェック
歯医者での定期検診では、虫歯や歯周病だけでなく、歯並びや噛み合わせの変化についても細かく診てくれます。
例えば、特定の歯に負担がかかっている場合や今後の変化が予測される場合には、具体的な予防策や治療の選択肢を提示してくれます。
結果として大きな問題になる前に対応できるため、お口の健康を長く保つことにつながるのです。
まとめ
年を重ねることで歯並びが変化することは、誰にでも起こりえます。
しかし、それに気づいて自分に合った対策をすることで、口元の健康と美しさを長く保つことができます。
今日からできる小さな習慣を積み重ねて、これからも自信を持って笑顔で過ごせるよう対策をしていきましょう。
ストレスで歯が痛い?原因と対処法
日本橋の歯医者「日本橋グリーン歯科」デンタルニュース担当、歯科衛生士の平野です。
「最近、歯がズキズキするんだけど…もしかして虫歯?」
そう思って歯医者さんに行っても、「うーん、特に問題ないですね」なんて言われた経験はありませんか?
もしかしたらその歯の痛みは、ストレスが関係しているかもしれません。
現代社会は、何かとストレスが多いものです。ストレスは私たちの心身に様々な影響を及ぼし、その一つとして歯の痛みを感じることがあります。
しかし「ストレスのせいかも?」と安易に考える前に、知っておくべき重要な点があります。
この記事では、ストレスによって引き起こされる歯の痛みについて、その原因の見つけ方、今すぐできる応急処置、再発を防ぐための根本的な解決策を解説します。
歯の痛みを引き起こす要因
歯が痛いと感じた時、最初に思い浮かべるのは虫歯や歯周病かもしれません。
しかし実はストレスも、歯に様々な影響を与える可能性があります。自己判断せずに、多角的な視点から痛みの原因を探ることが大切です。
①ストレスによる歯の痛みのメカニズム
歯ぎしりや食いしばり
ストレスを感じると、私たちの体は様々な反応を示します。その一つが、筋肉の緊張です。
特に顔や顎の筋肉が緊張しやすくなり、無意識のうちに歯を食いしばったり、歯ぎしりをしてしまうことがあります。
歯ぎしりや食いしばりといった行為は、歯や歯ぐきに負担を与え、炎症や痛みを引き起こす要因となります。
また、ストレスは自律神経のバランスを乱し、わずかな刺激に対しても「痛い」と感じやすくなる可能性があります。
ストレスで歯の痛みがある方の共通点
度々メンテナンスでの来院時に、歯の痛みを訴えるものの、歯に明らかな問題が見当たらない患者様がいらっしゃいます。
そのような方に生活状況を伺うと、忙しく不規則な生活を送っており、ストレスを抱えているケースが多いと感じます。
また、ご家族から就寝中の歯ぎしりを指摘される方も少なくありません。
②ストレス以外の歯の痛みの可能性
一方で、歯の痛みには様々な原因が考えられます。
虫歯(う蝕)
歯の表面が溶けることで神経が刺激され、痛みが生じます。冷たいものや甘いものがしみることがあります。
歯周病
歯ぐきや歯を支える骨が炎症を起こし、進行すると歯がぐらついたり膿が出たりします。
知覚過敏
歯の表面のエナメル質が剥がれ、象牙質が露出することで、冷たいものなどがしみやすくなります。
親知らずの炎症
親知らずが生える際に、周囲の歯ぐきが腫れて痛むことがあります。
また、親知らずが倒れ込むように斜めに生えていると、手前の歯との間に汚れが溜まりやすく炎症が起こりやすいです。
顎関節症
顎の関節やその周りの筋肉に異常が生じ、口を開け閉めする際に痛みや音がすることがあります。
③痛みの特徴から原因を推測する
痛みの種類や痛むタイミングによって、ある程度原因を推測できることがあります。
ズキズキとした強い痛み
虫歯が進行しているか、炎症が起きている可能性があります。
冷たいものがしみる痛み
知覚過敏の可能性があります。虫歯や歯周病でも、冷たいものがしみることがあります。
噛むと痛い
歯周病、歯のひび割れ、顎関節症などが考えられます。
特定の時間帯に痛む
ストレスによる食いしばりや歯ぎしりは、睡眠中や集中している時に起こりやすい傾向があります。
ストレスによる歯の痛みへの応急処置
「もしかしてストレスが原因かも…」と感じても、すぐに歯医者に行けない状況もあるかもしれません。
そんな時に試せる、応急処置をご紹介します。 ただし、この対処法は一時的なものなので、痛みが続く場合は必ず歯医者で診察を受けてください。
①今すぐできるリフレッシュ法
深呼吸を試す
意識的にゆっくりと深い呼吸を繰り返し、時間をかけてゆっくりと息を吐き出すことを試してみてください。これだけで自律神経が落ち着き、体の緊張がほぐれます。
軽いストレッチを行う
首や肩の周りの筋肉を、ゆっくりと伸ばしてみてください。
顔や顎の筋肉の緊張も、一緒に和らぐことがあります。
②自宅でできるセルフケア
市販の痛み止めを利用する
歯医者や薬剤師に相談し、ご自身の症状に合った鎮痛剤を使用することも一つの手段です。一時的に痛みを和らげることができます。
洗口液を使用する
殺菌効果のある洗口液でお口の中を清潔に保つと、炎症が悪化するのを防ぐ効果があります。
柔らかい食事を心がける
硬いものを噛むと歯や顎に負担がかかり、痛みを悪化させる可能性があります。
③日常生活での注意点
日中の歯の接触を避ける
上の歯と下の歯が触れていないか、意識してみてください。わずかにでも離すようにするだけで、顎の筋肉への負担を軽減できます。
私も経験がありますが、仕事などで集中することがあると歯が接触していたり噛み締めたりしがちです。
ストレスによる食いしばりや歯ぎしりは無意識に行われていることが多いので、意識的に注意することが大切です。
リラックスタイムを設ける
趣味に没頭したりお風呂にゆっくり入浴するなど、心身の緊張を解きほぐす時間を作りましょう。
就寝前の刺激物を控える
睡眠の質を低下させ、歯ぎしりを誘発する可能性があるため、寝る前のカフェインやアルコール摂取は控えましょう。
ストレスと歯の痛みを断つ根本対策
ストレスによる歯の痛みを繰り返さないためには、一時的な対処だけでなく根本的な原因に向き合っていく必要があります。
①自分に合った対処法を見つける
ストレスの要因を明らかにする
何が自分にとってストレスになっているのか、具体的に書き出してみると客観的に捉えやすくなります。
気分転換を試す
運動・趣味・友人との交流など様々な方法を試し、自分に合ったものを見つけましょう。
十分な休息を取る
質の高い睡眠をしっかりと確保し心と体を十分に休ませることで、ストレスに負けない体を作ります。
②歯医者で相談する
正確な診断を受ける
歯医者では様々な検査を行い、歯の痛みの原因が本当にストレスなのか、他の病気なのかを見分けることができます。
マウスピースの活用
睡眠中の歯ぎしりや食いしばりが原因の場合、マウスピースを作成することで、歯や顎への負担を軽減し痛みを和らげることがあります。
適切な治療を受ける
もしストレスによるものではなく他の原因であれば、早めに治療を開始することが大切です。
③生活習慣の改善
バランスの取れた食生活
栄養バランスの偏った食事は体の免疫力を低下させてしまい、ストレスに弱くなることがあります。
栄養バランスを意識して、食材を選びましょう。
適度な運動習慣
運動はストレス解消効果だけなく、心身の健康維持にも繋がります。
定期的な運動習慣を取り入れることがおすすめです。
規則正しい生活リズム
睡眠不足や不規則な生活は、自律神経のバランスを崩しストレスを感じやすくなります。
規則正しい生活リズムは、ストレスに強い心と体を作る上で大切です。
まとめ
ストレスによる歯の痛みは、決して珍しいことではありません。
「たかがストレス」と軽視すると、慢性化する可能性もあります。
自分の心と体のサインにしっかりと気づき、早めに対処することが大切になります。
もしストレスが原因かもしれないと感じたら、まずは今回ご紹介した応急処置を試してみて、できるだけ早く歯医者で相談してください。
専門家のアドバイスを受けながらストレスと上手に付き合い、健康的な毎日を過ごしましょう。