デンタルニュース
インプラントのネジが緩むとどうなる?症状と治し方の流れ
日本橋の歯医者「日本橋グリーン歯科」デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。
インプラント治療のあとに「ネジが緩む」と聞くと、ちょっと怖く感じますよね。
実際のところ、これはインプラントが外れるというより、上に付いている歯(かぶせ物)を固定している部品の結び目がゆるむような状態を指すことが多いです。
今回は、ネジが緩む時の違和感の出方と原因、そして受診の目安をまとめました。
ぜひ参考にしてみてください。

「ネジが緩む」ってどこのネジの話?
①インプラントは部品でできている
インプラント本体と上の歯は別パーツのことが多い
インプラントは、あごの骨に入る「土台(フィクスチャー)」と、上で高さや角度を調整する「つなぎの部品(アバットメント)」、そして見える「かぶせ物(上部構造)」が組み合わさっていることがよくあります。
いわゆる「ネジ」は、この部品同士を固定するために使われます。
つまり「ネジが緩む」は、骨に入っている部分が抜けるというより、上の部品の固定が弱くなるイメージに近いです。
作りによって構造が違うため、どの部位が緩むかはケースで変わります。
「セメント固定」と「ネジ固定」で起き方が違う
かぶせ物の付け方には、歯科用の接着剤で付けるタイプ(セメント固定)と、ネジで直接固定するタイプ(ネジ固定)があります。
ネジ固定は外して調整しやすい一方、力のかかり方によって緩みが起きることがあります。
セメント固定は見た目が自然なこともありますが、別のトラブルとして、余った接着剤が歯ぐきに影響することもあります。
どちらが良い悪いではなく、噛み合わせや清掃性などで選ばれます。
②緩み=すぐに失敗、ではない
早めの調整で大ごとを避けられることが多い
「ネジが緩んだかも」と感じた時点で来院していただくと、締め直しや噛み合わせ調整だけで落ち着くことが少なくありません。
現場でも、違和感の初期に来てくださった方ほど、部品の交換などに進まずに済む印象があります。
逆に我慢して噛み続けると、ネジやかぶせ物自体が傷んだり、噛み合わせ全体がズレたりして、修理範囲が広がることがあります。
状態によって対応は変わりますが、「早め」はやはり強い味方です。
「緩みやすい時期」がある人もいる

緩みは治療直後だけでなく、数か月〜数年たってから起きることもあります。
噛む力が強い方、歯ぎしりや食いしばりがある方、噛み合わせが日々変化しやすい方は、特に注意が必要です。
定期メンテナンスで微調整を積み重ねることで、緩みの頻度が下がることもあります。
気になる癖がある方は、検診のときに一言伝えてもらえると対策が取りやすいです。
どんな違和感が出る?よくある徴候
①噛んだときの「いつもと違う」が最初のヒント
カチッと噛めない、当たり方がフワッとする
ネジが緩んだ時は「噛んだときにしっくり来ない」「少し浮いた感じがする」といった訴えが多いです。
本人は痛みがなくても、噛み合わせの当たりが微妙に変わっていることがあります。
インプラントは虫歯にはなりませんが、噛む力はしっかり伝わるので、小さなズレでも違和感として出やすいことがあります。
噛みにくいからと言って片側ばかりで噛む癖がつく前にチェックできると安心です。
噛むときに「キュッ」「ミシッ」とした感覚が出る
ネジが緩むと、わずかな動きが出て、音や感触として気づくことがあります。
金属が直接こすれるような音というより、かぶせ物がほんの少し動くことで「いつもと違う」と感じるイメージです。
硬いものを噛んだときにだけ出る場合もあります。
何度も繰り返すようなら、自分で噛んで確認はせず、受診して確認するのが安全です。
②見た目やケアのしづらさで気づくことも
フロスが急に通りにくい、引っかかる
メンテナンスでよく聞くのが「フロスの通り方が変わった気がする」という相談です。
かぶせ物がほんの少しズレたり、歯ぐきとの境目に段差ができたりすると、清掃具が引っかかりやすくなります。
逆にスカスカに通るようになることもあります。
毎日のケアで気づける特徴なので、違いを感じたらメモしておくと診断の助けになります。
歯ぐきがムズムズする、軽い腫れや出血が増える
緩みで微細なすき間ができると、そこに汚れがたまりやすくなり、歯ぐきが反応して腫れたり出血しやすくなったりします。
痛みが強くない分、様子見してしまいがちですが、炎症が続くとインプラント周りの組織に負担がかかります。
歯周病と同じで、早い段階ほど整えやすいことが多いです。

なぜ緩むの?原因を知ると予防しやすい
①力のかかり方が合っていない
噛み合わせの高いところが一点に当たっている
インプラントの上の歯だけが先に当たってしまうと、毎回の食事で小さな揺さぶりが積み重なります。
たった紙一枚程度の高さの差でも、噛む力が強い方では影響が出ることがあります。
治療直後は問題なくても、他の歯がすり減ったり、被せ物がなじんだりして、いつの間にか当たり方が変わることもあります。
定期的な噛み合わせチェックが緩みの予防につながるのです。
歯ぎしり・食いしばりの横揺れが続いている
歯ぎしりや食いしばりは、縦に噛む力だけでなく、横方向の力が加わりやすいのが特徴です。
横揺れが続くと、固定用のネジにゆるませる方向の力がかかりやすくなります。
就寝中は自分で止められないので、マウスピース(ナイトガード)で力を分散させることがよくあります。
全員に必要というわけではありませんが、心当たりがある方は相談すると選択肢が広がります。
②部品や構造による要因もある
ネジや部品のなじみで締め付けが変化することがある
ネジは締めた直後から、金属同士の接触面がなじんで、わずかに締め付け具合が変わることがあります。
これ自体は珍しいことではなく、一定期間で再調整する設計・運用になっている歯医者もあります。
最初の数か月で軽い緩みが出る方は、この影響が関係している場合もあります。
もちろん他の原因が隠れていることもあるので、自己判断せず診てもらうのが安心です。
かぶせ物の形や材料で力の伝わり方が変わる
奥歯で硬い材料を使うと、噛む力がしっかり伝わる一方で、衝撃が一点に集まりやすいことがあります。
また、歯の形が少しでも引っかかりやすい作りになっていると、噛むたびに横方向の力が出やすくなります。
見た目と機能のバランスを取りながら形を整えるので、使いながら微調整が必要になることもあります。
違和感を我慢せず伝えてもらえると、長持ちしやすい形に寄せていけます。

放置するとどうなる?受診の目安と対処
①放置で起こりやすいこと
緩みが進むと部品が傷むことがある
緩んだ状態で噛み続けると、ネジ自体が摩耗したり、ネジが入る側の溝が傷んだりすることがあります。
そうなると、単純な締め直しでは済まず、部品交換が必要になる場合があります。
さらに、かぶせ物の内部に負担がかかって欠けることもあります。
早い段階なら調整で収まることが多いので、気づいた時点で止めるのがいちばんです。
汚れが入りやすくなり、歯ぐきの炎症が長引くことがある
すき間ができると、歯ブラシやフロスが届きにくい場所に汚れがたまりやすくなります。
すると歯ぐきが腫れたり、口臭が気になったりすることがあります。
インプラント周囲の炎症は、進むと骨に影響することもあるため、早期のケアが大切です。
違和感が軽くても出血や腫れが続く場合は、緩み以外の原因も含めて確認した方が安心です。
②こんな時は早めに連絡を
噛むと動く感じ、音がする、外れそうな気がする
動く感じや異音は、部品が緩んでいる症状のことがあります。
特に「硬いものを噛むとズレる」「指で触ると少し違う」と感じるときは、無理に噛み合わせを試さず、早めに連絡してください。
歯医者では、状態確認のうえで締め直しや噛み合わせ調整、必要なら部品交換などを検討します。
原因が複数重なっていることもあるので、違和感が出た経緯も伝えるとスムーズです。
痛み・腫れ・出血が増えた、膿のような味がする
これらの症状は炎症が強くなっている可能性があります。
緩みだけでなく、清掃不良や噛み合わせ、体調変化などが絡む場合もあります。
痛みが強いときほど不安になりますが、我慢して悪化させるより、早めに診て原因を分けていく方が気持ちも落ち着きやすいです。
急な症状がある場合は、予約時にその内容を伝えると、歯医者側も対応の優先度が判断しやすくなります。
まとめ
インプラントの「ネジが緩む」は、骨に入っている土台がすぐダメになるという話ではなく、上の部品の固定がゆるむことで起きることが多いです。
噛み合わせの変化や歯ぎしり、部品のなじみなど、原因は一つに限りません。
「いつもと違う」が出たときに一度歯医者で確認しておくと、締め直しや微調整で済むことも少なくありません。
気になる違和感が続くときは、遠慮せずに受診の相談をしてください。
この記事を監修した人

医療法人社団周優会
常務理事 笠原幸雄所属学会
東京シティー日本橋ロータリークラブ会員
お江戸日本橋歯科医師会選挙委員会 委員長
一般社団法人 日本橋倶楽部会員
東京科学大学歯学部 東京同窓会参与略歴
私立開成高校卒業
早稲田大学理学部卒業
東京医科歯科大学歯学部卒業
東京医科歯科大学病院勤務
笠原歯科医院 蔵前開設
医療法人社団寿幸会 笠原歯科医院 人形町開設
医療法人社団周優会 日本橋グリーン歯科 常務理事
医療法人社団寿幸会 笠原歯科医院 六本木開設
