デンタルニュース
インプラントのあと、噛むと痛いのはなぜ?受診の目安は?
日本橋の歯医者「日本橋グリーン歯科」デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。
インプラント治療が終わったあと、「噛むと痛い」「なんとなく違和感がある」と感じると不安になりますよね。
見た目は問題なさそうでも、噛み合わせの当たり方が少し強かったり、食いしばりで負担がかかっていたり、歯ぐきが敏感になっていたりと、いくつかの理由で気になる症状が出ることがあります。
大切なのは、我慢して様子を見るよりも、原因を早めに整理して負担を減らすことです。
この記事では、よくある原因と受診の目安をまとめています。
症状が気になる時の参考にしてみてください。

原因1:噛み合わせの問題
①当たりが強い・高い
噛むと一点だけ当たる感じがある
噛んだときに「そこだけ先に当たる」「その歯だけ強く当たっている気がする」という感覚がある場合は、噛み合わせが少し高い可能性があります。
これがあると、噛むたびにその部分に力が集中して、ズキッとした痛みや、噛むのが怖い感じが出やすくなります。
柔らかいものでは大丈夫でも、少し硬いものになると痛い、噛む位置を変えるとマシになる、というときも噛み合わせの影響が隠れていることがあります。
奥歯で強く当たっていると起きやすい
奥歯は噛む力が強くかかる場所なので、当たりが少し強いだけでも違和感が出やすいです。「噛むと響く感じがする」「噛んだあとに重たい感じが残る」などの出方になることもあります。
噛み合わせは、歯が1本増えただけでも全体のバランスが変わることがあります。
だからこそ、気になるときは「慣れるまで待つ」より、調整が必要かどうかを一度チェックしてもらう方が安心です。
②噛み方の癖が影響することも
片側噛みで負担が偏る
普段から片側で噛む癖がある方は、同じ場所に負担がたまりやすくなります。
インプラント側ばかり使っているつもりはなくても、「噛みやすい側」が無意識に決まっていることは多いです。
片側噛みが続くと、噛み合わせの当たり方に偏りが出て、痛みや違和感が出やすくなることがあります。
特に硬いものを食べるときに、いつも同じ側で噛んでいる方は、少し意識して左右を分けるだけでも負担が分散しやすくなります。
硬いものを同じ場所で噛みやすい
硬いせんべい、ナッツ、フランスパンのような噛みごたえのあるものを、いつも同じ場所で噛んでいると、被せ物や周りに強い力が集中しやすくなります。
痛みがでた方のお話を聞いていると、「これを噛んだあとから違和感が出た気がする」というきっかけが思い当たる方もいます。
食べてはいけないという話ではありませんが、痛みが出ているときは硬いものを避けて、落ち着いたら少しずつ様子を見ながらという流れが安心です。

原因2:食いしばり・歯ぎしり
①自覚がなくても負担が大きい
朝起きたときにあごが疲れる
朝起きたときに、あごがだるい、こわばる、歯が浮いた感じがする、といった感覚がある場合は、寝ている間に歯ぎしりや食いしばりをしている可能性があります。
寝ている間の力は思っているより強くなることがあり、インプラントの被せ物や周りに負担がかかることがあります。
日中は気にならないのに、朝だけ違和感がある、という方もいます。
日中の噛みしめ癖がある
仕事中やスマホを見ているとき、運転中など、気づくと上下の歯が接触している方は意外と多いです。
集中しているときほど、無意識に噛みしめてしまうことがあります。
この噛みしめが続くと、「噛むと痛い」というより「ずっと重たい」「なんとなく変」といった違和感につながることがあります。
インプラントが悪いというより、力のかけ方が原因になっている場合もあるので、ここを整えるとラクになることがあります。
②対策の考え方
ナイトガードを検討する目安
歯ぎしりや食いしばりが疑われるときは、寝るときのマウスピース(ナイトガード)を検討することがあります。
ナイトガードは、歯や被せ物にかかる力をやわらげたり、力が一点に集中しにくくしたりする目的で使います。
「被せ物のトラブルを繰り返している」「噛むと痛いのがなかなか引かない」「朝のあごの疲れが続く」などがある方は、一度歯医者で相談して、必要かどうか確認するのがおすすめです。
生活の中でできる負担の減らし方
日中の噛みしめは、気づくだけでも改善しやすくなります。
上下の歯は、食事のとき以外は基本的に触れていなくて大丈夫です。
気づいたときに、軽く唇を閉じて、歯は離す。これだけでも負担が減りやすくなります。
また、疲れが溜まっている時期ほど噛みしめが強くなる方もいるので、「最近忙しいな」というときに違和感が出やすい方は、その時期だけでも意識してみると変化が出ることがあります。

原因3:炎症(歯ぐき・周りの組織)
①炎症が起きやすい場面
磨きにくい形で汚れが残っている
インプラントの周りは、形や位置によって「磨きやすいところ」と「磨きにくいところ」に分かれます。
磨いたつもりでも、被せ物のフチや歯ぐきのきわ、歯間に汚れが残っていることがあります。
汚れが残ると歯ぐきが赤くなったり、触ると違和感が出たりしやすくなります。
歯科衛生士としても、トラブルが起きた方のお口を見ていると、歯ブラシは頑張っているのに「道具が合っていない」「当て方が少し違う」ということがよくあります。
清掃のやり方を少し変えるだけで落ち着くこともあるので、遠慮なく相談して大丈夫です。
メンテ間隔が空いている/疲れが続いている
定期的なクリーニングが空いてしまったときや、忙しくて睡眠が足りない時期などは、歯ぐきが荒れやすくなることがあります。
体調が落ちると、同じケアをしていても歯ぐきが腫れぼったく感じる場合もあります。
「最近バタバタしていた」「疲れが続いている」というタイミングで違和感が出た場合は、歯ぐきのコンディションもチェックしておくと安心です。
②見た目や感じ方の変化
歯ぐきが赤い・腫れぼったい
鏡で見たときに、インプラントの周りの歯ぐきが赤い、少しぷくっとしている、左右で形が違う気がする、といった変化がある場合は、歯ぐきが刺激を受けている可能性があります。
痛みが強くないと放置しがちですが、軽い段階でケアやクリーニングを整えると落ち着きやすいこともあります。
違和感が続くときは、見た目の変化も一緒にチェックしてみると良いです。
触ると出血しやすい/違和感が続く
歯みがきのときに出血しやすい、フロスや歯間ブラシを通すと血がつく、触れるとヒリッとする、といった状態は歯ぐきが敏感になっている兆候です。
「強く磨いたから血が出ただけ」と思ってしまう方もいますが、出血が続く場合は、磨き方だけでなく、汚れの残り方や道具のサイズが合っているかも確認した方が安心です。
歯医者では、歯ぐきの状態と清掃のポイントを一緒に見ながら、無理のないやり方に調整できます。

原因4:部品のゆるみ・被せ物のトラブル
①ゆるみの始まりは「違和感」から出ることも
噛むとカチッとする/浮く感じ
噛んだときに「カチッ」と音がする感じがする、噛むたびに微妙に動く気がする、少し浮いているような感覚がある場合は、部品のゆるみや被せ物のズレが関係していることがあります。
この段階だと痛みが強くないこともあり、「気のせいかな」と様子を見てしまいがちです。ただ、ゆるんだ状態で噛み続けると、当たり方が不安定になって周りに負担がかかったり、被せ物が欠けたり外れたりするきっかけになることもあります。
噛み合わせが変わった気がする
「前より当たり方が変」「いつもの噛む位置が決まらない」「片側だけ噛みにくい」と感じるときも、部品のゆるみや被せ物の変化が関わっていることがあります。
噛み合わせが変わると、無意識に噛み方を変えてしまい、別の歯やあごに負担が出ることもあります。
違和感が続くときは、我慢して慣れようとするより、一度確認して原因を整理する方が安心です。
②放置したときの困りごと
噛み合わせが不安定になりやすい
ゆるみやズレがある状態は、噛んだときに力のかかり方が安定しにくくなります。
結果として「噛むたびに気になる」「噛むのが怖い」「反対側ばかり使ってしまう」という流れになりやすいです。
反対側ばかり使うと、そちらの歯やあごに負担が偏ることもあるので、違和感があるときほど早めに整えておくとラクになりやすいです。
欠け・外れなど別のトラブルにつながる
ゆるんだ状態を放置すると、被せ物に変な力がかかって欠ける、外れる、さらに違和感が強くなる、といった別のトラブルにつながることがあります。
歯科衛生士としても、「小さな違和感のうちに見せてくれた方ほど、対応がシンプルに済みやすい」と感じることが多いです。
大きく壊れてからより、早めに調整できる方が負担も少なくなりやすいです。

受診の目安
①できれば早めに見せたい状態
噛むたびに痛い/痛みが増えてきた
噛むたびに痛い状態が続くときや、日に日に痛みが強くなっているときは、早めに歯医者で確認した方が安心です。
噛み合わせの当たりが強いだけなら調整で落ち着くこともありますが、歯ぐきの腫れや部品のゆるみが関係している場合もあります。
痛みがあるのに噛み続けると、無意識に噛み方を変えてしまい、反対側の歯やあごに負担が出ることもあります。
「もう少し我慢してみよう」より、原因を整理した方が気持ちもラクになりやすいです。
腫れ・出血・熱っぽさがある
歯ぐきが腫れてきた、触ると出血しやすい、押すと痛い、なんとなく熱を持っている感じがあるときは、歯ぐきが刺激を受けている可能性があります。
軽い段階でもクリーニングで落ち着くことがありますし、必要があれば早めに治療の手当てができます。
「歯みがきで血が出た」「歯ぐきがぷくっとしてきた」など、見た目の変化があるときは、放置しない方が安心です。
②急ぎではないが放置しないほうがいい状態
違和感が1週間以上続く
痛みが強くなくても、違和感が1週間以上続くときは、一度確認するのがおすすめです。
噛み合わせの微妙なズレや、清掃しづらい部分の炎症、食いしばりの影響などは、自然に消えることもありますが、続く場合は原因が残っていることがあります。
特に「毎日気になる」「噛むのが少し怖い」という状態が続くなら、我慢して慣れようとするより、原因を見つけて整えた方が早く落ち着くことも多いです。
グラつく気がする/噛みにくい
「少し動く気がする」「カチッとする」「噛む位置が定まらない」「噛みにくい」などがあるときは、部品のゆるみや被せ物の当たり方の変化が関係していることがあります。
大きく外れていなくても、早めに見てもらうと調整だけで済むことがあります。
逆に放置すると欠けや外れにつながることもあるので、「気のせいかも」の段階で確認しておく方が安心です。

まとめ
インプラントのあとに「噛むと痛い」「違和感がある」と感じたときは、噛み合わせの当たり方、食いしばり・歯ぎしり、歯ぐきの状態、部品のゆるみなど、いくつかの原因が関わっていることがあります。
痛みの出方や、いつから起きているかを整理すると、原因の方向性が見えやすくなります。
歯医者では、噛み合わせの確認と調整、被せ物や部品の状態チェック、歯ぐきと清掃状態の確認を行い、必要に応じてメンテナンスの見直しやナイトガードなどの提案につなげていきます。
気になる変化があるときは、我慢して慣れようとするより、早めに状態を整える方が結果的に負担を少なくしやすいため、そのままにせずにまずは相談しましょう。
この記事を監修した人

医療法人社団周優会
常務理事 笠原幸雄所属学会
東京シティー日本橋ロータリークラブ会員
お江戸日本橋歯科医師会選挙委員会 委員長
一般社団法人 日本橋倶楽部会員
東京科学大学歯学部 東京同窓会参与略歴
私立開成高校卒業
早稲田大学理学部卒業
東京医科歯科大学歯学部卒業
東京医科歯科大学病院勤務
笠原歯科医院 蔵前開設
医療法人社団寿幸会 笠原歯科医院 人形町開設
医療法人社団周優会 日本橋グリーン歯科 常務理事
医療法人社団寿幸会 笠原歯科医院 六本木開設