デンタルニュース
歯石のはなし
歯石とは何ですか?と聞くとまだまだ正しく理解されていないように思います。
歯垢と歯石の違いも含め、ここで詳しくお伝えしていきます。
お口の汚れとは
食べかすが挟まったり、歯磨きがうまくできなかったところはザラザラしたり、ベタベタした白いカスがつくなど、お口には色々なものが存在しています。
これらは食べかすを餌に生きている細菌の集まりと考えてください。
これまでに試薬を使って、汚れを赤く染めた経験はありませんか?
あの時に赤く染め出されたものが細菌の集まりです。
代表的なものとして挙げられるプラーク(歯垢)はこれを指すものと理解して良いでしょう。
他にも色々な種類の汚れがありますが、この歯垢に唾液中のミネラル分が付着して石になったものを歯石と呼んでいます。
プラークの特徴
プラーク(歯垢)は食事の後、数時間で目に見えるまでに作られます。
歯ブラシで除去できるぐらいのものなので、会話や唾液を飲んだりする動作によって舌や頬の粘膜がこすられて部分的には取れていきます。
プラークの中には歯周病菌や虫歯菌などが存在しています。
これらが日々口の中で生き、毒素を出して増殖しているのです。
しかし歯ブラシで取れるものなので、毎食後の歯磨きの質を高めれば、細菌を減らして歯周病のリスクを減らすことができます。
歯石の特徴
歯石とはプラークが唾液中のカルシウムと結合して、石灰化したものです。
主成分はミネラルを基本としていますが、中の細菌は死んで固まっているわけでなく、生きています。
歯石は歯磨きでは取れませんので、歯科医院に行ってクリーニングが必要になります。
唾液との結合なので、唾液の多い下の前歯が最も歯石が多く見られる場所です。
歯石は72時間あれば作られますが、基本的には日々の生活で大抵の汚れは歯石になる前に落とされています。
歯石を取るとは
歯石は歯科医院で、歯科医師か歯科衛生士など免許のある者のみが除去できます。
機械で歯石を崩して取っていくタイプと、金属の刃物で崩しながら仕上げていくタイプの除石があります。
仕上げは研磨作業を行います。
この研磨作業がしっかり出来ていないと、またすぐに歯石のつきやすい粗造な面になってしまうので技術が必要です。
歯の色、いろいろ
歯の色について話題になることがあります。
・ホワイトニングで歯の色のトーンを上げたい方。
・ステインという茶渋やたばこのヤニを含んだ色汚れを取りたい方。
・歯自体に見える白や茶色の色素にお悩みの方。
・詰め物やかぶせものの変色や境界線にみえる色が気になる方。
これらをまとめてこの色が・・・と相談されることがありますのでしっかりカウンセリングをして患者さんが何の色についてお悩みなのか判断していきます。
ホワイトニングがしたい
歯の色自体が黄ばんで見えるとか、結婚式前に真っ白な歯にしたい、等でホワイトニングをしたいという方は少なくありません。
時代とともに低価格で気軽にホワイトニング施術もできるようになり、ホワイトニングが身近に感じられるようになってきました。
着色汚れを取ってほしい
一番多いのは、ステインの除去を希望される方です。
お茶、コーヒー、紅茶、ワインやたばこなどの嗜好品による着色汚れは、歯科医院でクリーニングし、落とすことができます。
このクリーニングはあくまでも歯の表面にくっついている色素汚れをとるものですので、歯の色は本来の色味であり、ホワイトニングのように歯の色のトーンが上がり白くなっていくことはありません。
ただ、たばこや茶渋で歯が真っ茶色になっている方の場合、歯の表面が綺麗になり、白くなった様に見えることがあります。
これは汚れの度合いや着色の種類により、保険適用のクリーニングか、自費適用のクリーニングなのか、方法をご相談しながら進めることができます。
歯に埋まっているように見える着色
虫歯ですか?と聞かれることがあるのですが、茶色や黒、ときに白い色を歯に見て取れることがあります。
これは原因が様々で、虫歯以外にも脱灰(だっかい)と呼ばれる歯からカルシウム成分が抜け、虫歯になりかけると茶色くなったり、白くも見えたりすることがあります。
その判断は自分では難しいので歯科医師に見てもらいましょう。
詰め物の境界の色について
プラスチックの詰め物をした前歯や奥歯で、その境界線に色が見えたり、またプラスチック自体が色が変化して見えることがあります。
境界線の色については隙間に色素が入り込んだケースや虫歯になっていることも考えられます。
数年経ってから詰めたプラスチック自体の色が変化してくるケースもあります。
これはプラスチックが吸水性であるために、数年たって変色してしまっている状態です。
どちらも詰め物を詰め替えれば一緒にきれいにすることができるので歯科医師に相談しましょう。
詰め替えには多少歯の組織を削らなければならないこともあるので、そういったデメリットも理解しておく必要があります。
このようなに一言で「歯の色」と言ってもいろいろな原因や症状があります。
どのようにできた色なのか、色の種類によって治療の方法は様々です。
まずは歯科医院でその色についてしっかり解決方法を聞いてみてください。
歯ブラシの持ち方
歯ブラシの持ち方を見せていただくと、色々なことがわかります。手をグーのように握った状態で歯ブラシを持つ方、鉛筆を持つように歯ブラシを持つ方、また独自の持ち方をしている方もいます。
歯科衛生士の専門学校では歯ブラシをグーの手で握るような持ち方を掌握状(しょうあくじょう)、鉛筆と同じような持ち方を執筆状(しっぴつじょう)と呼び指導しています。呼び方が難しいので、一般の患者さまへの指導時には歯ブラシを握るように持ってください、とか鉛筆を持つように歯ブラシを持ちましょう、とお伝えします。
幼稚園や保育所などの指導ではまだ鉛筆持ちが難しいことがあるので、「歯ブラシをグーで握ってみましょうね。」とお話ししています。
歯ブラシの毛先がこちらを向いている時、「こんにちはの持ち方」、毛先が見えず柄の後ろ側しか見えていない状態を「さようならの持ち方」と伝えるとわかりやすいようです。
家族に小さなお子様がいる方は是非そのように伝えてみてください。
就学児童になると鉛筆で細かな字を書くことに慣れているので、鉛筆の持ち方で歯ブラシを持つように指導します。また手の不自由な方や高齢の方は、鉛筆の持ち方より握るように持っていただくこともあります。
主に二つの持ち方を挙げましたが、どのような違いがあるのでしょうか。
握るように歯ブラシを持つときは、いくらか力が大きく伝わる特徴があります。手のひらで歯ブラシを押しつけるように動かすからです。
また腕全体が大きく動くので、細かなブラッシングには不向きだと言えます。力を入れてこの持ち方で歯磨きをすると歯の根元が削れてきたり、しみてきたりなどの症状が現れることがあります。さらに食いしばり、噛み締め、スポーツの習慣 などで頬の筋肉が張っていたりする方は、さらにそこに力が加わり歯に過度な摩擦が起きてしまうので注意が必要です。
一方鉛筆持ちは指先だけで持つので、力が大きくは伝わりにくい特徴があります。
また字や絵を描くため小さな動きに慣れている持ち方なので、小さなお口を磨くのに適していると言えます。手首までの動きで済むので力や動きも小さく省エネ型のブラッシングと言えるかもしれませんね。
歯や歯ぐきは実はとてもデリケートです。
ゴシゴシと磨く歯磨きは歯ぐきが下がってしまったり、傷をつけてしまうなどデメリットが多いものです。柔らかな歯ぐきに、人体で一番硬い歯が生えているために磨きにくいのですが、出来れば柔らかくデリケートな歯ぐきに注目してケアをしてほしいと思います。ちょっと磨く力が強いと言われた方や、歯がしみやすいと思う方は歯ブラシの持ち方もチェックしてみてくださいね。
歯磨き剤あれこれ
毎日行う歯磨きに欠かせないのが歯磨き剤。
なにが良いのですか?と聞かれることがよくあります。
歯磨き剤には様々な成分が入っていて、その成分を見ていくと反応もさまざまです。
自然なものが良いとお考えの方には、あまり沢山のカタカナが羅列されていたらちょっと避けたいと思われるかもしれません。
虫歯や歯周病などでお困りならば、効果がありそうな成分が含まれているものがよいと思うでしょうし、ホワイトニング中の人ならステインを浮かしてくれるような商品が気になるかもしれません。
新しい歯磨き剤を選ぶときにはご自身のお悩みから選んでいきましょう!
エチケットの観点からいくと歯磨き剤はスッキリ爽やかに仕上げるミント系の味が好まれますが、中にはチョコレート味や子供用であればお馴染みのイチゴやブドウ、メロンやソーダ味などもあるので歯みがきを楽しむ動機付けとして選んでも良いでしょう。
歯の炎症や歯周病が心配な方なら、抗炎症効果のあるGK2(グリチルリチン酸ジカリウム)が含有されているものを選ぶといいでしょう。
虫歯にお悩みならば虫歯菌と戦う成分もたくさんありますし、歯を守るフッ素も人気ですよね。
泡が多いと長く磨けないという欠点が生じるので、ペーストはあまり多くしない方がよいでしょう。
オーガニック系ではヒノキの抗菌作用、アロエ、ビタミンや柿渋などさまざまな天然素材から作られているものもあります。
歯磨き剤に含まれる成分をお話ししていくと一晩では足りないくらいなのですが、歯の根元が削れてしまうようなブラッシング圧の強い方は研磨剤の少ないものを、着色が多くてお悩みの方なら多少でも研磨剤の含まれているものを選ぶと良いと思います。
食後何分で磨くのか、適正なうがいの回数は、などと気にしていても結局磨くのは1日2回とか、忘れてしまうという方もチラホラいます。
こだわりすぎたり情報に流されることなく、食後は必ず磨くという習慣をまず身につけることが大切です。
歯磨き剤は正しい歯みがきを後押しする、あくまでも補助的なものなので、間違った歯磨きをしながらこの成分がどうとか、偏った見方をするのは残念だと思います。
そのためには歯磨き指導を受けて、お口がどのような状態にあって歯磨き剤の選び方が間違っていないかを時々アドバイスしてもらうとよいと思います。
その上でたくさんの歯磨き剤を上手に選択して使うことができれば歯磨きが楽しくなったり、より快適に過ごす一助になるのではないでしょうか。
お口に違和感を覚えたら
なんとなくおかしい、時々痛む、たまに出血するとか、お口の中のトラブルはあまり断定的でないことがあります。
ズキズキ痛むとか全く我慢できないものであればすぐに歯科医院に来ていただけると思いますが、お口のトラブルは割とこの「不確定」な感じがあるために、来院のチャンスを先延ばしにされてしまうことが少なくないと思います。
時々感じる症状だからと、結果数年我慢してしまった、などというケースも実は多いものです。
たしかに初期の虫歯では痛みはほぼありませんし、健康診断などの折に指摘されて気づくケースか、かかりつけの歯科医院で見つけてもらった、などなかなか自分では気づかないものです。
通したフロスが切れたり引っかかったりすることがあるとか、冷たいものがしみるような気がする時には初期虫歯を疑ってみてください。
また詰め物が外れそうな感じがする時は、二次う蝕と言って、一度治療した部分が再度虫歯になってしまっているケースが多いため、こちらも歯科医院に早めにいくことをお勧めします。
時々歯ぐきから出血する、疲れた時に違和感があるなどの自覚症状があっても、歯ぐきにおきる症状は割とおさまってしまうことも多いので放置されがちです。
歯ぐきに炎症を起こしているケースが多いので歯周病を防ぐためにもチェックを受けると良いでしょう。
そのような違和感を覚えるタイミングとしては、疲れている時や、女性の場合生理前後、風邪をひいてしまった時など、ホルモンバランスの変化や免疫力の低下する時などがあげられます。
とくに歯周病はあまり症状が感じられない状態が長く続いて進行していくものですが、成人の8割は歯周病菌を持っているそうです。
まさか自分が?と思ったり、こんなにひどくなっていたのかと気づいた時にはかなり悪くなっていたと言われることが多いので、充分注意して予防に力を入れると良いでしょう。
親知らずの周囲にもおなじ同じようなことが言えます。
腫れた感じがするとか、時々嫌なにおいがするとか、こちらも入り込んだ細菌の仕業ですが、疲れた時に症状を感じるものです。
親知らずは歯ブラシが届きにくい場所に生えてくる上に向きも様々なので、気をつけたいものです。
また口腔内には歯や歯ぐきだけではなく、舌や頬の粘膜、咽頭のあたりまで様々な組織があります。
そのような部分はなかなか手入れはしにくく
観察が容易ではない部位であるため、違和感の元を見つけにくいものです。
ちょっと変だなと思う時には、遠慮なく歯科医院にいらしてください。
レントゲン撮影をしたり、様々な器具を用いて簡単にチェックをすることができます。
定期検診や健康相談なども有効に活用して相談をしてみましょう。
ステインについて
歯の汚れの話になるとよく出てくるのがステインについてです。
着色汚れのことをステインと呼びます。
ステインになる原因として、お茶や紅茶コーヒー、ワインなど着色しやすい飲み物、タバコやカレーなどがよく挙げられます。
ちょっと残念に感じる方もいるかもしれませんが、ココアやチョコレートなども色がつきやすいと言われています。
例えばコーヒーや紅茶を飲んだ食器は水洗いだけでは茶渋がついてくるので想像がつくと思います。
ではなぜきちんと歯磨きをしているのに色がついてしまうのでしょう。
歯の表面には歯磨きで落としきれないタンパク質が鎖のようにガッチリとついています。
また口が乾きやすい人も汚れが残りやすくなります。
色の着きやすいものを口にしたあとは、口をゆすいだり、水を飲んだりすると良いでしょう。
このタンパク質に絡みついた着色汚れは歯科医院に行くと簡単に取ることができます。
数ヶ月ごとに歯科医院でのプロケアを続けていると、汚れだけでなく歯石が付着することも同時に防ぐことができ、最終的に今ようやく認知されてきている予防歯科と言う流れに乗ることができるのです。
その結果、歯周病も防ぐことができるのであれば嬉しいですね。
ではこの着色汚れはどのように落としていくのでしょうか。
歯科医院では歯を傷つけることなく、専門技術を身につけた歯科衛生士やドクターが特殊な器具を用いて着色を取ります。
超音波の器具やスケーラーと呼ばれる器具で丁寧に汚れだけを削り取ったり、歯を傷つけない細かなパウダーを吹き付けて汚れを浮かし取ったりしていきます。
保険治療の範囲になるもの、自費になるものなどそれぞれですのでよくご相談ください。
またそのメンテナンスの後にはしっかりと歯の表面を専用の器具で磨き上げ、次の汚れがつかないよう仕上げます。
この一手間がこの後の数ヶ月を快適に過ごすためのプロの技になります。
時々歯の汚れを削り取るような便利グッズを見かけることがありますが、一般の方が使用するのはおすすめできません。
その理由は一時的に汚れを削り取ることはできるかもしれませんが、そのあと削り取った表面は粗造で、さらに汚れを呼んでしまいます。
いつのまにか汚れが着いては削り、また付着し削るというサイクルに陥ってしまいます。
また口の中という衛生的に保ちたい部分を消毒や滅菌処理ができていない器具を用いるようなケアは非常に危険です。
また研磨剤の多い歯磨き粉を積極的に使用すると、目に見えない小さな傷が歯の表面につくことで着色汚れを招きやすくなります。
やはり餅は餅屋、歯科医院で早いうちにケアをしましょう。
歯の表面に着色汚れが見えた頃が歯科医院に行くサインと捉えれば、歯科医院を定期的に訪れるチャンスになるかもしれませんね。
自分の口、臭いかも!?口臭予防について
夏はにおいが気になる季節。
汗の臭いに気をつける人は多いですが、口臭はきちんとケアしていますか?
2017年のパナソニック株式会社の調査によると、72%のビジネスパーソンが「他人の口臭が気になったことがある」と回答しており、29%は「他人に自分の口臭を指摘されたことがある」そうです。
また、口腔内環境に「自信がある」人は、たったの27%。
「十分にケアできていると思わない」という人は、61%だったそうです。
それほど皆、自分が口臭予防できているかどうか自信がないのです。
★口臭原因となる主な病気は?
口臭の原因の90%は口の中にあるといわれています。
◆歯周病:歯周病とは歯の周りに炎症が起こっている病気の総称です。
自覚症状はほとんどなく、静かに進行する恐ろしい病気です。
病気が進行すると歯ぐきからの出血に膿が混じってくるようになり、口臭もひどくなってきます。
◆むし歯:小さなむし歯で口臭がひどくなることはありませんが、進行して大きくなると、食べかすやむし歯菌が、むし歯の穴の中にたまり臭いがきつくなり、口臭の原因になります。神経まで侵され神経が腐ると、強烈な臭いがします。
◆歯石:歯垢が作ったかたく固まった石灰分です。
歯石がたくさん付くようになると口臭もひどくなってきます。
また歯石が付くことにより歯周病を進行させます。
歯磨きでは落とせないため、歯科医院で歯石除去処置(スケーリング)をしてもらう必要があります。
◆舌苔:舌苔とは舌に付着した白っぽい汚れで、口臭を引き起こす細菌やタンパク質を多量に含んでいます。
多少の舌苔は健康な人にもありますが、口の中が乾いているとき、体調がよくないとき、胃腸の病気や脱水を伴う病気があるときなどに厚くなり、口臭の原因となります。
◆唾液の減少:口の中は常に唾液によって自浄作用が働いていますが、この唾液が少なくなったときに口臭が強まります。唾液の減少によって起こる口臭は、生理的口臭といって誰にでもあるので特に気にする必要はありません。
★口臭は歯科医院の治療で治るの?
口臭そのものは病気ではなく、病気の一つの症状です。
原因となっている病気が治れば、当然口臭も収まります。
口臭の原因が歯周病や虫歯である場合は、歯科医院で治療を進めましょう。
★舌の清掃方法は?
舌垢は、舌の後方3分の2くらいにたまりやすいので、舌ブラシなどの専用器具を使って、汚れをかき出します。
また、歯磨きだけではお口の中の汚れは落としきれません。
歯間ブラシやフロスなどを使用し、ブラッシングの徹底をはかりましょう。
仕上げとして洗口液を利用するのもお勧めです。
また、3ヶ月に一度は、歯科医院でクリーニングを受け、ブラッシングでは取れない汚れや、歯石を除去しましょう。
虫歯リスクが激減!スウェーデン式虫歯予防
なぜスウェーデンは虫歯予防大国なの?
今でこそスウェーデンは虫歯予防国として知られていますが、かつては日本より虫歯や歯周病の多い国でした。虫歯・歯周病だらけの状況を重く見たスウェーデン政府は、1970年代に「虫歯、歯周病予防」を国家プロジェクトとしてスタートさせ、現在では子どもの虫歯は日本の約10分の1以下に減りました。虫歯ゼロ大国スウェーデン式の虫歯予防法をぜひ取り入れましょう。
スウェーデン式虫歯予防法とは?
①お掃除グッズを使おう
歯ブラシだけでは歯の汚れの6割程度しか落とすことができません。虫歯になりやすい場所に合わせて道具を使い分けましょう!
歯と歯の間→デンタルフロス
歯と歯肉の隙間→歯間ブラシ
歯ブラシが届きにくい奥歯のくぼみや歯間→ワンタフト歯ブラシやスポットブラシ
②食後や寝る前にはブラッシング
食後は毎回10分~30分以内に歯を磨きましょう。また、寝ている間に虫歯菌や歯周病菌が増殖するので、寝る前には念入りに歯を磨きましょう。
③フッ素の力で歯をガード
フッ素は、虫歯菌が出す酸に対して抵抗力のある強い歯を作ったり、虫歯菌の働きを抑制したりする、いわば歯のバリアのような存在です。歯磨き粉はフッ素の入っているものを選びましょう。
④食後のキシリトールで歯垢を寄せ付けない
食後キシリトールには、ミュータンス菌などの虫歯菌を減少させ、歯を溶かす酸を作らせない働きがあります。食後、歯を磨く前にキシリトールガムやタブレットを噛みましょう。
⑤0歳からデンタルケア
スウェーデンでは、まだ歯の生えていない赤ちゃんから、食後歯ブラシを口の中に入れて歯ブラシに慣れさせます。そうすると乳歯が生えてからの歯磨きを抵抗なく行うことができるようになります。
⑥歯の健康を守る!プロのケア
スウェーデンでは多くの人が、虫歯はなくても、定期的に歯科医院を訪れています。目的は歯科衛生士による「プロフェッショナルケア(通称プロケア)」を受けること。もちろん当院でも受けることができます。特殊な器具を使ってお口の中を徹底的にお掃除します。
以上、スウェーデン式虫歯予防法として紹介しましたが、これらの予防法は日本でも既に取り入れられています。違うのは虫歯予防に対する「意識」。スウェーデンでは虫歯になったら歯医者に行くのではなく、虫歯を予防するために歯医者に通うのです。歳をとっても健康に過ごしていくために、自分の歯のケアについて意識を高く持っておきたいですね。
歯ブラシあれこれ
先日ショッキングな情報を耳にしました。
日本に住んでいる外国人の中には日本の電車が嫌いだと言っており、その理由は日本人は口臭がきついからということでした。
たしかに日本人の歯磨きの時間は先進国の中では下位に属していて、歯ブラシ消費量、歯磨き回数いずれにしてもお隣の国、韓国とも比較にならない様子。
そんなデータをみると口腔内の様子は簡単に予想がつきますし、反論はなかなか難しいようですね。
口臭予防のために、まずは歯磨き!と歯ブラシを新調する方もいるかもしれませんね。
みなさんはどんな歯ブラシを使っていますか?
ドラッグストアで買う人、歯科医院で選んでもらう人、中には旅館でもらったのを使っている人もいたりします。
理想的な歯ブラシはどんなものか知っているでしょうか?
基本的には小さめのヘッドで毛は柔らかめから普通が良いでしょう。
硬すぎる歯ブラシは歯茎を傷めますので、柔らかな毛の方がオススメです。
ただ歯ブラシと言ってもメーカーやブランドによって特徴はおろか、使い心地も寿命も全く違います。
さて今回は歯ブラシの歴史をみてみましょう。
メソポタミア文明の遺跡では黄金のつまようじなんてものが発見されているそうです。5000年も前のものと推測されているようで、世界最古のケアグッズといえるようですが、その歴史は想像以上に古いのですね。
ヒポクラテスは羊の毛を歯の清掃に勧めたそうです。
馬毛、豚毛の歯ブラシは今でも販売されています。
しかし乾燥しやすく衛生的なナイロンが好まれてきて、現在は歯ブラシの毛はナイロンが一般的です。
ところで年間捨てられる歯ブラシの量はなんと36億本だとか。プラスチックゴミの問題などを考えると心配になる数です。
近年そんなことから柄の部分が竹で出来ているものも見かけます。割り箸でも同じようなことを聞きますが、成長が早くて環境のために比較的優しい素材のようですね。
昔は獣の骨を加工して柄にして、毛を針金で束ねて留めたものを歯ブラシとしていたようです。
柄の歴史をみると、鯨のヒゲやセルロイドなどを経て、今ある形の樹脂製となり、ナイロンの毛という組み合わせが一般化したようです。
インドやアフリカ、アジアのある地域では今現在でも木を噛んでほぐした状態で歯を磨く習慣があるそうです。歯ブラシは存在していても敢えて併用している人もいるのだとか。
日本の歯ブラシはとても小さくて、子供用なのかと海外から来た人は驚くようです。
お口の大きさを考えると小さいほうが隅々まで磨きやすく、奥歯の裏だって親知らずまでもよく届くのです。
良く見てみると歯ブラシの植毛状態も様々です。丸や、楕円形のものもあります。
海外旅行に行く機会があれば、歯ブラシコーナーを見てみるのも面白いかもしれませんね!
舌のおはなし
最近ニュースなどで舌の病気について見聞きした人がいるかもしれません。
ある市町村では口腔外科の予約が3ヶ月先まで一杯になってしまったとか。
お口に関心を持ってくれる人が多いのはとても嬉しいことではありますが、どうか診察を希望する皆さんが大きな病気ではないよう祈るばかりです。
さて、歯について話題になることあってもこのように舌について考えたことがある人はそう多くないかもしれません。
じっくり舌を見てみるチャンスさえあまりないかもしれませんね。
舌は筋肉でできています。焼肉屋さんなどで牛タンを食べる人がいるかもしれません。舌の形は見えている部分だけではないことを知っていますか。
人間の舌はなんと200グラムもあるのだそうです。
口を開けて見える部分以外にも根元に向けて長く大きく続いているので、実際はとても大きく重いものなのです。
その大きく重たい舌は、その筋力が弱れば様々な問題を引き起こすことがあります。
いびきとも関係しているのは結構知られていますよね。
筋肉が鍛えられている舌は締まってよく働きますが、筋肉が弱ればダラっと形だけ大きく、喉元を塞ぐように存在してしまいます。
舌のトレーニングをするだけでも随分と顔の印象も変わるなどと言われています。
筋肉だといわれればそれも想像がつくでしょうか。
他にも舌のトレーニングは、舌の汚れからくる誤嚥性肺炎を予防するとか、いびきが少なくなる、口呼吸を防ぐことができるなどのメリット、その他認知症や脳疾患、心筋梗塞などの病気のリスクを低下させることができると言われています。
舌には口の中の汚れがたまり、こびりついています。
カレーやワインなど着色しやすいものを口にしたとき、舌の表面にも色がついているのを見たことがある人もいるかもしれません。
こうした汚れを取り込みやすい舌の汚れは、
気になるお口のニオイの原因の8割を占めているとも言われています。
鏡で見たとき舌が白く見えたら、1日一度でもいいので舌専用のブラシなどで掃除をすると良いでしょう。
ザラザラした舌触りを活かした、舌ケアのラムネのようなお菓子も見かけるようになりました。
擦り過ぎは味覚異常を起こしてしまうこともあるので、優しく奥から舌の先に向かってかき出すようにしてみましょう。
毎日舌を見ていると、舌の異常やトラブルにも気付きやすくなります。
舌のトラブルとしては、主に口内炎のようなものができて治らないとか、普段ないはずの白いもの黒いものなどの何かができたとかいった見た目の異常、また味を感じにくいとか、ヒリヒリするなど感覚のご相談があります。
何か異変を感じたら、かかりつけの歯科医にご相談ください。