デンタルニュース
歯の神経を抜くとどうなるの?
歯科医院で「歯の神経を抜く」という言葉を耳にしたことがある方は多いと思います。
歯科の治療で「歯の神経」と言われているものは、一般的に「歯髄」のことを言います。
歯の神経は、歯に栄養を運んだり、歯の異変を知らせる役割をしています。
では実際に歯の神経を抜くとどうなってしまうのでしょうか?
歯の神経を抜いた後に起こる症状と、歯の神経を抜く必要がある症状について解説します。

歯の神経を抜いた後に起こる症状とは?
①感覚がなくなる
歯の神経があることによって、歯に異変が生じた際に、痛みや刺激を感じるようになっています。
そのため歯の神経を抜くと、痛みを感じなくなります。
一見メリットのように感じますが、痛みがなくなってしまうことで、虫歯などのトラブルが起きた時に気付きにくくなってしまいます。
②歯が脆くなる
歯の神経には血管が入っており、歯に栄養を供給しています。歯の神経がなくなると、歯に栄養が行かなくなり脆くなります。
神経のある健康な歯と比べて、割れたり、折れる可能性も高くなるため、被せ物で保護する必要があります。
③歯が変色する
神経を抜いた後の歯は、時間の経過とともに黒く変色していきます。
神経を抜くことで、歯の内部への血液の循環がなくなり、残っている血液の成分や、古いコラーゲンが代謝されず、そのままになってしまうためです。
内部から変色してしまった歯は、ブラッシングや表面のホワイトニングでは白く戻すことはできません。
白く戻すためには、内部からのホワイトニング(ウォーキングブリーチ)や被せ物で対応する必要があります。

歯の神経を抜く必要がある症状とは?
①歯髄炎が起きている
歯髄炎とは、歯髄が炎症を起こして痛みが出ている状態です。
虫歯の細菌によって感染したり、噛み合わせが高い被せ物が当たる刺激や、知覚過敏の刺激などが伝わり続けることで歯髄炎が起きます。
そのまま放置していると次第に痛みは消えますが、歯の中では神経が壊死しており、細菌の住処になってしまいます。痛みがなくなってもそのままにせず、歯科医院で治療を受けましょう。
以下の症状に当てはまる場合は、歯髄炎が起きている可能性があります。
•何もしていなくてもズキズキと強い痛みがある
•噛むと痛い
•熱いもの、冷たいものがしみる
②歯の神経の壊死
事故や怪我などによって歯が外傷を受けた場合、その強い刺激により歯の神経の壊死が起きてしまうことがあります。
外傷後、痛みがなくても知らず知らずのうちに神経が壊死してしまい、歯が黒ずんでくることがあります。
その場合は神経を抜く処置をする必要があります。
また、前述したように歯髄炎を放置した場合も歯髄壊死が起こります。
③歯茎から膿が出ている
歯茎から膿が出ている場合、根尖性歯周炎の可能性が考えられます。
根尖性歯周炎とは、大きな虫歯により神経が細菌感染し、根っこの先まで感染が広がり炎症が起きている状態です。
根尖性歯周炎になると、根っこの先に膿が溜まり、歯茎におできのような膿の出口ができることがあります。
放置すると悪化してしまい、最悪の場合抜歯する必要が出てきてしまいます。

まとめ
歯の神経を抜くと、感覚がなくなる、歯が脆くなる、歯が変色するなどの症状が起きます。
歯の寿命を延ばすためにも、歯の神経は極力抜かない方が良いですが、状況によっては抜かなければならない場合もあります。
神経を抜いた歯はご自分で異変に気づくことが難しくなるため、歯科医院での定期的なメンテナンスで管理する必要があります。
また、日頃から定期的にメンテナンスを受けることで、虫歯の早期発見・早期治療に繋がり、神経を抜く必要がない小さな虫歯のうちに対処することができます。
定期的なメンテナンスを受け、少しでも気になる症状がある場合は歯科医院を受診しましょう。
口臭の原因とは?自宅で行える対策
口臭の原因のほとんどが、口の中にあります。主に、歯周病や舌苔がその大部分を占めると考えられています。
口臭は誰もが起こり得る可能性があります。自分で気づくことが難しいため、無自覚にしている人が多いのです。
当記事では、口臭の原因と自宅でできる対策を紹介します。

口臭の原因
①生理的なものが原因
生理的な口臭とは、生活していく上で誰にでも発生する口臭のことを言います。
起床時、空腹時、緊張時には、唾液の分泌量が低下しお口の中の細菌が増殖するため、口臭が発生します。
その他にも、月経や妊娠によるホルモンバランスの乱れや、加齢によっても唾液の分泌量が低下することから口臭が発生します。
②お口のケアが原因
•舌苔(ぜったい)の付着
口臭の原因としてもっとも考えられるのが、舌苔です。
舌苔とは、舌の表面についている白いもののことで、歯垢と同じく、細菌のかたまりです。しかし、舌苔は病気ではありません。舌の全体に薄くついている分には正常の範囲です。
舌苔は自宅でケアすることが可能です。舌は傷つきやすいので、舌ブラシや柔らかめの歯ブラシで、優しく行いましょう。
•歯周病
歯周病の細菌が発生させるガスが、口臭となります。
歯周病とは、細菌感染によって歯肉に炎症が起き、歯の周りの骨が溶けてしまう病気です。
口の中のネバネバ感や、歯肉の腫れ・出血、歯と歯の間に食べものが詰まりやすい、歯が浮いたような感じがする、歯が揺れているなどの症状が徴です。
•虫歯
虫歯になり歯に穴があくと、その中に食べカスが入ったり細菌が繁殖するため、口臭の原因となります。
•入れ歯の清掃不良
入れ歯のお手入れを怠っていると、入れ歯の隙間に溜まった汚れなどから細菌が繁殖し、口臭が発生しやすいです。
③全身疾患が原因
鼻・のどの病気、呼吸器系・消化器系の病気、糖尿病などの病気によって、口臭が発生する場合があります。
④飲食物・嗜好品が原因
にら、ねぎ、にんにくなどの匂いが強い食べ物を食べた後や、タバコやアルコールを摂取すると、口臭として匂いが残ります。時間の経過とともに口臭は減少します。
⑤心理的なものが原因
実際に口臭が発生していなくても、「自分には口臭があるのではないか」と思い込んでしまうことを、心理的口臭と言います。

自宅でできる対策
①丁寧なセルフケア
食後にしっかり歯磨きをすることが大切です。
フロス、歯間ブラシ、舌ブラシ、洗口液などの補助的な清掃用具も使用しましょう。ご自分に合った清掃用具がわからない方は、歯科医院でのブラッシング指導を受けましょう。
②よく噛んで食事をする
しっかりと噛んで食べることで、唾液の分泌量が増えて口臭の予防に繋がります。
ガムを噛むことも効果的です。
③水を飲む
適度に水を飲むことで口の中の乾燥を防ぎ、唾液の分泌が促されるため、口臭予防になります。
④ポリフェノールを摂取する
ポリフェノールには、口臭を抑える効果があります。緑茶や紅茶、リンゴなどに含まれており、それらを摂取することで口臭の対策に繋がります。
⑤健康的な生活をする
緊張やストレスを感じていたり、睡眠不足の状態だと、唾液の分泌が低下し口臭が発生しやすくなってしまいます。また、朝食を抜いたり、食事を簡単に済まそうとすると、きちんと噛むことができず口臭に繋がります。
緊張やストレスを溜め込まないようにする、睡眠をしっかりとるなど、規則正しく過ごしましょう。

歯科医院でできる対策
①虫歯や歯周病の治療
セルフケアで改善しない場合、虫歯があったり歯周病にかかってしまっている可能性があります。歯科医院を受診し、治療しましょう。
②定期的なメンテナンス
定期的に歯科医院でのクリーニングを受診することで、歯周病予防や、虫歯の早期発見にも繋がります。
③ブラッシング指導を受ける
正しいブラッシング方法の指導を受けることで、ご自分のお口の中の状況に合ったセルフケアを身につけることができます。
④入れ歯のお手入れ指導を受ける
正しいお手入れ方法を取り入れることで、入れ歯を清潔に保てます。
長く使用している場合、破損していたり、お口に合わないまま使用していることもあるため、歯科医院で定期的にチェックしてもらいましょう。

まとめ
口臭の原因は、口の中によるものが大部分を占めます。歯科医院に通い、自宅でしっかり対策すれば解決できるものがほとんどです。
口臭が気になっている方や、口臭の原因について心当たりがある場合は、取り入れられるものから始めてみましょう。
インプラント治療のメリット・デメリットとは?
ご自身の歯を失ったあとの治療法に、入れ歯・ブリッジ・インプラントと、3つの治療法があります。
その中でもインプラントは大きなメリットがありますが、その反対にデメリットもゼロではありません。
当記事では、インプラントが入れ歯やブリッジと比較して、どのようなメリットやデメリットがあるのか解説していきます。
インプラント治療を始める前に、メリット・デメリットについてしっかり把握しておきましょう。

インプラントのメリット
①周囲の歯を削る必要がない
ブリッジの場合、歯を失った場所の両隣の歯を削る必要があります。
部分入れ歯の場合も、ブリッジのように大きく削る必要はありませんが、バネがかかる部分を少し削ります。
また、ブリッジも部分入れ歯も、実際には歯がないところを両隣の歯が支えることになるので、負担がかかり、歯の寿命を縮めてしまう可能性があります。
一方でインプラントは人工の歯根を単体で埋めるため、周囲の歯を削ったり、負担がかかる心配はありません。
②自分の歯に近い感覚で使用できる
入れ歯の場合、天然の歯と比較して、噛む力が大幅に低下してしまいます。
インプラントは自分の歯と同じような噛む力で使用できるため、違和感なくお食事を楽しめます。
また、入れ歯の場合、厚みがあったり、口の中の形に合っておらず隙間ができていると、喋りにくくなってしまうケースがあります。
インプラントの場合は、発音にあまり影響がないため自然な会話を楽しめます。
③審美性が良い
保険のブリッジの場合、治療する部位によっては、材料の選択肢が金属のみの場合があります。
また、部分入れ歯の場合も、バネが金属なので目立ってしまいます。
その点インプラントは、セラミックを人工歯に用いることで、天然の歯に近い審美性を回復することが可能です。
④顎の骨が痩せるのを防げる
歯を失ってしまうと、噛む力の刺激が顎の骨に伝わらないため、顎の骨が徐々に痩せてしまいます。
インプラントの場合は、顎の骨に人工歯根を直接埋め込むため、噛む力の刺激が顎の骨に伝わり、顎の骨が痩せることを防げます。

インプラントのデメリット
①健康保険が利用できない
インプラントは健康保険で取り扱うことができないため、自由診療になります。
そのため、健康保険適用の入れ歯やブリッジと比較すると、費用が高額になってしまいます。
しかし、なんでも噛める、健康を回復できるということは、費用以上の価値があります。
②治療期間が長い
埋め込んだインプラントと、顎の骨が結合するまで待つ期間も含まれるため、一般的な歯科治療に比べて治療期間が長くかかります。
お口の中の状態によって治療期間には個人差がありますが、通常はインプラント手術後、4〜8ヶ月程度かかります。
③外科手術が必要
インプラント手術は、歯茎を切って顎の骨を削る必要があります。
外科手術が嫌でインプラントを迷われる方もいらっしゃると思います。
手術の内容にもよりますが、通常の場合は歯を抜く程度で、痛みや腫れはそこまでありません。
手術は局所麻酔をして行うため、手術中に痛みを感じることはありません。また、当院では麻酔医による静脈内鎮静法をお選びいただけるため、快適に手術を受けることが可能です。
外科処置を伴うため、基礎疾患のある方は手術可能かどうか事前に相談する必要があります。
④定期的なメンテナンスが必須
人によっては、定期的なメンテナンスをデメリットに感じてしまうかもしれません。
インプラントは、天然の歯に比べて細菌感染に弱いという特徴があります。
金属とセラミックでできているため虫歯にはなりませんが、歯周病(インプラント周囲炎)にはなるため、日々のセルフケアと定期的なメンテナンスが必要不可欠です。
定期的なメンテナンスを怠っていると、インプラントの破損や、細菌感染などのトラブルの原因になってしまいます。
インプラントを長持ちさせるためにも、定期的なメンテナンスを受けましょう。

まとめ
以上のように、インプラント治療には、メリットとデメリットがあります。
インプラント治療が合っているのかそうではないのかは、患者さんの生活スタイルや、口の中の状況、考え方によって変わってきます。
インプラント治療におけるメリット・デメリットを把握し、納得した上で治療を選択しましょう。
自宅でできる?知覚過敏の治し方
知覚過敏とは?
虫歯でもないのに、歯ブラシの毛先が触れたり、冷たいものを食べたり飲んだりするとき、風にあたったときなどに、痛みを感じる症状を知覚過敏と言います。
痛みは一過性で、刺激がなくなると痛みもなくなりますが、場合によっては歯みがきに支障をきたすほど強い痛みを感じることもあります。
自宅でも治せる?
結論から言うと、自宅でも知覚過敏の症状を改善することは可能です。
ただし、知覚過敏の症状が軽度の場合に限ります。
今回は、自宅ですぐに始められる知覚過敏の治し方と、歯科医院でできる治し方についてご紹介します。
自宅でできる治し方①知覚過敏用の歯磨き粉を使う
知覚過敏用の歯磨き粉には、硝酸カリウムや乳酸アルミニウムといった成分が含まれており、その成分が歯の神経に通じる細かい穴を塞ぐことで、神経への刺激が伝わりにくくなります。
効果を得るためには、継続的に使用する必要があります。
軽度の知覚過敏であれば、2週間程度で症状が改善されますが、継続的に使用しても症状が改善されない場合は、他の原因があるかもしれません。
その際は、歯科医院を受診しましょう。
自宅でできる治し方②ブラッシング方法を見直す
歯を磨く際に力強くブラッシングすると、歯や歯ぐきを傷つけ、知覚過敏の症状を引き起こす原因となります。
ゴシゴシと強い力で磨くのではなく、歯ブラシの毛先が広がらない程度の軽い力で磨くことが大切です。
硬めの歯ブラシを使用すると、歯が削れたり歯ぐきが傷ついて下がってしまうこともあるため、柔らかい歯ブラシを使い、優しく磨くよう心がけましょう。
歯科医院での治し方①知覚過敏用の薬を塗る
歯がしみやすくなっている部分に専用の薬剤を塗布することで、神経への刺激が伝わりにくくなり、しみる症状を抑えることができます。
一度の塗布で症状が改善される場合もありますが、複数回の塗布が必要な場合もあります。
効果には個人差があるため、症状が改善しない場合は、他の治療法を検討する必要があります。
歯科医院での治し方②歯科用プラスチックで削れた部分を覆う
歯の根元が削れてしまってしみる症状が出ている場合は、削れた部分を歯科用プラスチック(コンポジットレジン)で覆うことで、症状が改善します。
だいたいの知覚過敏の症状はこの方法で改善することが多いですが、歯科用プラスチックを詰めるために、必要に応じてわずかに歯を削る必要があったり、処置の際にしみる症状が出ることもあります。
また、歯ぎしりや食いしばりの力が歯にかかり続けると、詰めたプラスチックが取れたり、すり減ることがあるため、定期的な検診でチェックしてもらうことをおすすめします。
歯科医院での治し方③マウスピースを使用する
歯ぎしりが原因で知覚過敏の症状を起こしている場合は、マウスピース(ナイトガード)を使用して治療を行います。
自分で歯ぎしりや食いしばりをしないよう意識することも大切ですが、就寝中の歯ぎしりは無意識に行われるため、治すのは簡単ではありません。
マウスピースを装着して寝ることで、就寝中の歯ぎしりによって歯の表面や根元が削れるのを防ぐことができます。
歯科医院での治し方④歯周病治療をする
歯周病が進行すると、歯ぐきが下がり歯の根元が露出して、歯がしみる症状が出やすくなります。
歯周病治療では、歯垢(プラーク)や歯石を取り除くことで歯周病の進行を防ぎ、健康な歯ぐきを取り戻します。
歯石を取り除くと、歯石によって隠れていた部分が露出し、しみる症状が一時的に強くなることがあります。
しかし、知覚過敏の症状を恐れて歯垢や歯石を放置すると、歯周病が悪化し歯ぐきがさらに下がる可能性があるため、まずは歯周病を改善し、歯ぐきが下がることを食い止める必要があります。
まとめ
今回は、知覚過敏の自宅でできる治し方と、歯科医院でできる治し方についてまとめました。
自宅での知覚過敏用の歯磨き粉の使用や、日々の正しいセルフケアによって、知覚過敏の症状は改善できます。
しかし、知覚過敏だと思っていた症状が、実は虫歯だったというケースもあります。
自宅でのセルフケアで症状が改善しない場合や、しみる症状が続く場合は、お早めにご来院ください。
身近なお口のトラブル「口内炎」
口内炎ができてしまい、食事をするときや歯磨きをするときにとても痛い。
でも気が付いたら治っていた、なんて経験はありませんか?口内炎は、口の中やその周辺の粘膜におこる炎症の総称です。
頬っぺたの内側にできることが多いですが、唇にできるものは「口唇炎」、口角にできるものは「口角炎」、舌にできるものは「舌炎」と呼ばれ、お口の中の広い範囲で発生します。
また、一つだけできることもあれば、何個もできてしまったり、同じところにできたり、その症状はさまざまです。
口内炎の原因は、ストレスや栄養不足などによる免疫力低下や、口の中を噛んでしまうなどの物理的刺激、ウイルスなどによる感染など様々です。
他の病気の一症状として起こる場合もあるので、長引く場合は注意が必要です。
口内炎の種類
アフタ性口内炎
一般的にもっとも多くみられる、表面が白く、大きさが2~10㎜ほどの浅い潰瘍性の口内炎です。
少し触れただけでも鋭い痛みを感じます。
治療を行えば1週間程度で治りますが、それ以上経過しても治らない場合は、腫瘍(癌)が潜んでいたり、治るけど何度も再発してしまう場合は、他の病気が関係したりしている可能性があるため注意が必要です。
カタル性口内炎
入れ歯や矯正器具が接触したり、ほおの内側を噛んでしまったりしたときの細菌の繁殖、熱湯や薬品の刺激などが原因で起こる口内炎です。
アフタ性とは異なり、境界が不明瞭で、唾液の量が増えて口臭が発生したり、口の中が熱く感じたり、味覚がわかりにくくなることもあります。
ウイルス性口内炎
ウイルスが原因で起こる口内炎もあります。
ヘルペスウイルスの感染が原因の「ヘルペス性口内炎(口唇へルペス)」は、主に唾液などの接触感染や飛沫感染によって感染します。
またカビ(真菌)の一種であるカンジダ菌は、もともと口の中に存在する常在菌のひとつですが、免疫力が低下したりすると増殖し、「カンジダ性口内炎」を発症することがあります。
口内炎が長引く場合は?
口内炎の症状があまりにも辛いと食事をするのも億劫になってしまいます。
辛いと感じたら早めに歯医者を受診してください。
また、口内炎がなかなか治らない場合は、全身疾患による免疫低下や口腔がんなど、重大な病気が隠れている可能性があります。
口内炎だと決めつけて放置し、口腔がんが進行して取り返しのつかなくなったというようなケースもあります。
「たかが口内炎」と決めつけず、2週間以上治らない場合は、早めにご来院してください。
お口のなかに銀歯はありますか?
暑い夏、冷たい飲み物を飲むとズキーンと痛みが知り、その原因が銀歯だったというケースは少なくありません。
みなさんのお口のなかに銀歯はありますでしょうか?
数年前までは虫歯治療は銀歯が主流でした。

日本で多く使われている銀歯は金・銀・パラジウムなどの金属をかけ合わせた「金銀パラジウム合金」と呼ばれる金属です。
加工しやすいため保険治療で使われており、何らかの形で口の中に銀歯が残っている成人は全体の7~8割を占めると言われています。
しかし、欧米ではセラミックの治療が一般的であり、銀歯はほとんど使用されていません。
ドイツではパラジウムが体に与える悪影響の観点から使用禁止の勧告がされており、スウェーデンにおいては小児・妊婦への使用が禁止されています。
銀歯は、保険制度によって安価に使用できることがメリットですが、ロシアのウクライナ侵攻で、金銀パラジウムの価格が高騰しており、患者さんの負担も以前に比べて多くなっています。
銀歯のデメリット
金属アレルギーを引き起こしやすくなる
お口の中の銀歯が唾液に触れると、金属の成分が溶け出して金属イオンになります。
この金属イオンが体の中のたんぱく質と結合してアレルギーの原因となるアレルゲンとなり、時間とともにこのアレルゲンが体内に蓄積され、金属アレルギーを引き起こすリスクが高まってしまいます。
二次むし歯になりやすくなる
銀歯は高温になると金属が膨張し低温になると収縮しますが、歯と熱膨張係数が違うので、熱いお茶を飲んだり、冷たいアイスを食べたりしたときに、金属と歯をくっつけているセメントが剥がれ、そこから唾液が入りこんで銀歯の下が虫歯になってしまうのです。
歯は何度も治療できないので、長持ちするセラミックがお勧め
銀歯の下が虫歯になっても、また治療をやりなおせばいいじゃないか、とお考えの方もいると思います。
しかし、治療を繰り返すたびにむし歯になったところを削るので、三度ぐらい繰り返すと神経を抜かなければならなくなってしまいます。
最近は保険でもプラスチックとセラミックを混ぜた白い歯を選べるようになりました。
しかし柔らかいため、大きく歯を削る必要があります。
また、大きな荷重がかかると、たわんで脱離したり破折したりすることがあり、神経を抜く治療が必要になることもあります。
そのため当院としては、身体に優しくて長持ちし、白くてきれいなジルコニアなどのセラミック治療をおすすめしています。
自費治療になりますが長持ちするので、長い目でみれば保険治療を繰り返すよりも生涯の歯科治療費が安くなる可能性もあります。
順番に銀歯をセラミックに付け替えていくことも可能ですので、お気軽にご相談ください。
歯が溶けていく!? 酸蝕歯とは?
酸蝕歯とは?
歯周病、虫歯に次ぐ第3の疾患として酸蝕症が注目を集めています。
小さい頃「コーラを飲むと歯が溶ける」と言われた経験はありませんか?
実は本当です!
私たちの歯は、食べ物や飲み物に含まれる酸に長時間触れ続けると、簡単に溶けだしてしまうのです。
歯を覆っているエナメル質は、体のなかで最も固い組織ですが、強い酸に触れると化学反応を起こして分解し、溶けだします。
エナメル質が溶けると、その下にある象牙質がむき出しになります。象牙質は柔らかいので、摩擦でどんどん磨り減って行きます。
また着色しやすくなります。
こうした状態を放置していると、虫歯になりやすくなったり、冷たいものが滲みる知覚過敏になったり、歯のトラブルを引き起こしやすくなるのです。
現在このような酸蝕歯の罹患率は国民のおよそ4人に1人もいると言われています。
酸蝕歯は夏こそ気をつけよう
歯のエナメル質は、pf5,5以下で溶け始めます。
この表は、普段よく口にする飲み物のpHの数値です。ミネラルウォーターのpH7が中性です。
通常は唾液の自浄作用が働いているため、PH値の低い飲み物を飲んでも、すぐにはむし歯にはなりません。
唾液には、歯の汚れを洗い流す働きと、酸を中和する働き、そして溶けた歯の再石灰化を促進する働きがあるからです。
しかし、長い時間をかけてちびちび甘い飲み物を飲み続けると、お口の中が酸性環境に長くさらされ、唾液による再石灰化の時間が短くなって、酸蝕歯になるリスクが高くなります。
夏は、スポーツ後の水分補給にスポーツドリンクを飲む機会が多くなります。
また、健康意識の高い人で「ビタミンドリンク」や「酢ドリンク」を日々愛飲している方も要注意です。
水分補給はなるべく水かお茶で。
ジュースやスポーツドリンクを飲むときは短時間で飲み切って、飲み終わったらすぐに水で口をゆすぎましょう。
ホワイトニングで明るい笑顔に!
新型コロナ対策としてのマスクの着用について、政府は、3月13日から屋内・屋外を問わず個人の判断に委ねる方針を決定しました。
これから人前でマスクを外す時間が長くなっていくと思いますが、3年間もマスクを着けて生活をしていたので、外すのが恥ずかしく感じる方もいるかもしれませんね。
歯が白くなると「レフ板効果」でお顔が明るく見え、口元も健康的に見えます。笑顔に自信をつけるため、今のうちにホワイトニングをしてはいかがでしょうか?
なぜ歯が着色するの?
歯の着色の原因には、ステインによるものと、歯そのものの色によるものがあります。
ステインによる着色
コーヒーや紅茶、赤ワイン、カレーなどの飲食物や、たばこのヤニなどが原因の着色です。
歯の表面に付着した汚れなので、歯科医院でクリーニングを受ければきれいに落とすことができます。
歯そのものの色
歯は、エナメル質、象牙質、神経という3つの構造からなっています。
エナメル質は半透明で、歯の色は象牙質の色に左右されます。象牙質の色には肌や髪の色と同じように個人差があり、生まれつき白っぽい人もいれば黄色味を帯びた人もいます。
日本人は、歯の表面のエナメル質が相対的に薄いため歯が黄色く見える人が多いといわれています。
このエナメル質は加齢により次第に薄くなるので、中高年になると象牙質が透けて、黄ばんで見えてくるのです。
これを白くするにはホワイトニングが有効です。
ホワイトニングの種類と仕組み
歯科医院で行うホワイトニングには、大きくわけて2種類あります。
ホームホワイトニング
歯科医院で専用のマスピースを制作し、患者様自身に自宅で行ってもらうホワイトニング。
白くなるのに2か月ほどかかりますが、透明感のある白さに仕上がります。自分のペースで行うことができます。
オフィスホワイトニング
歯科医院で有資格者に専用の機器を用いて行うホワイトニングです。
1回の施術でも効果が出やすいといった特徴があります。
※ただし、どちらも10ヶ月ぐらいで色が戻ってくるため、繰り返して行なう必要があります。
~白くなる仕組み~
①色素を分解する…歯科専用のホワイトニング剤に含まれる過酸化水素が歯の内部に浸透し、色素と反応し分解します。
これにより、歯の黄ばみが漂白され、歯そのものの色が白くなります。
②光を反射させる効果…ホワイトニング剤が歯の表面の組織構造を曇りガラス状に変化させることで、光の乱反射が発生し、黄ばみが白く見えます。
ホワイトニングにご興味をお持ちの方は、お気軽にご相談ください。
抜けた歯を放置するとどうなる?
歯周病や事故で残念ながら歯を失ってしまったとき、「抜いたのは奥歯で目立たないから」「1本くらい歯がなくても不便はないから」「痛みはないから」と抜けたまま放置してしまうと、時間が経つにつれ様々なお口や体の不具合が出てしまいます。
歯並びや噛み合わせが崩れる
歯は、空いたスペースを埋めようとする働きがあります。
歯が抜けた部分をそのままにしていると、両側の歯が傾いて倒れてきたり、反対側の歯が伸びてきて歯並びや噛み合わせが乱れ始めます。
見た目が悪くなる
歯が抜けると歯茎が下がってきます。
また、歯並びのバランスが悪くなると、頬がこけたり、口元の皺が増えたりして、顔の見え方が変わってきます。
歯が抜けている所は、笑った時やお話をしているときに目立ちます。
そのため、あまり笑えなくなって表情が不自然になったり、口元を手で隠すような仕草も増えてきます。
胃腸に負担がかかる
歯が抜けてしまうと噛む能力が下がるため、食べ物をうまく噛めないまま飲み込んでしまいがちになります。
そうすると胃に負担をかけ、消化不良を招きます。
きちんと栄養を吸収できなければ、免疫力が低下し、栄養不良に陥って、フレイル(虚弱)体質になっていきます。
認知症のリスクが上がる
歯が抜けると、噛むことによる脳への刺激が減少して、認知症のリスクが高まります。
奥歯を一本失うと、なんと40%もかみ砕く力が低下し、認知症のリスクは2倍になるといわれています。
歯を失ったときの治療法の比較
歯を失った際には、主にインプラント、入れ歯、ブリッジの3つの治療法があります。
歯科医師と相談の上、ご自分にとって納得のいく治療を選びましょう。
インプラント
メリット
・天然歯と同じような仕上がりになる
・自分の歯と同じように噛める
デメリット
・保険がきかない
・手術が必要
入れ歯
メリット
・治療回数や通院回数が比較的短い
・種類が選べる
・手術が不要
・保険がきく素材もある
デメリット
・違和感がある
・目立つ
・毎日のお手入れが必要
ブリッジ
メリット
・治療回数や通院回数が比較的短い
・手術が不要
・保険がきく素材もある
デメリット
・汚れがたまりやすい
・両隣の歯を削る必要がある
・隣の歯が健康な場合、削ることに抵抗感がある
歯周病と骨粗鬆症の関係
骨粗鬆症はどんな病気?
骨粗鬆症は、全身の骨強度が低下し、骨がもろくなって骨折しやすくなる病気で、日本では推定約1.000万人以上いると言われています。
骨粗鬆症になると、背中がまがる、身長が縮む、背中や腰が痛むといった症状だけでなく、骨がもろくなるため、背骨が体重を支えきれずにつぶれたり、胸骨が圧迫骨折を起こしたりします。
また、転倒した時に手をついて、手首や肩等を骨折しやすくなります。特に高齢者は、骨折から長期入院となり、寝たきりや認知症になってしまうケースもあります。
骨粗鬆症と歯周病の関係
骨粗鬆症は女性に多い病気です。閉経により、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が低下し骨密度が低くなるからです。
歯を支える歯槽骨も脆くなります。また、歯周ポケット内に炎症を引き起こす物質が作られ、歯周病が悪化しやすくなると考えられています。
歯周病によって歯を失うと、かむ能力が低下して、食物の消化吸収力の低下を招きます。
その結果、低栄養となり、更に骨粗鬆症を悪化させるという悪循環に陥ることもあります。
愛知学院大学短期大学部の研究で、「残っている歯の数」と「骨密度」の関係性を調べたところ、「正常な骨密度の人の90%以上は歯が20本以上残っていた」が、「骨密度が低い人の70%は歯が20本未満しか残っていなかった」ことが分かりました。
また、歯周病の進行度と骨粗鬆症との関係性では、歯周病が進行しているほど、骨粗鬆症の疑いが強いと診断される人が多かったそうです。
骨粗鬆症と歯周病を予防するには?
カルシウムやイソフラボンを摂る
骨の強度はホルモンの影響を強く受ける事が分かっています。女性の場合、エストロゲンというホルモンが多ければ多いほど骨密度も上がります。
乳製品や大豆製品、小魚、緑黄野菜、海草など、カルシウムを沢山ふくんだ食品をしっかりとりましょう。
また、イソフラボンは、エストロゲンと同じような働きをする力があります。納豆・豆腐・味噌・しょうゆ・豆乳・きなこ・油揚げ・厚揚げなどに含まれているので、毎日摂取しましょう。
よく噛んで食べる
だ液には、口の中の細菌を洗い流してくれる自浄作用があります。よく噛んで食べることは歯周病予防に効果的です。
定期的に歯の予防処置を受ける
毎日歯磨きをしていても、汚れは落としきれません。
その落としきれない汚れが歯石になり、やがて歯周病になってしまうリスクもあります。
歯科医院で、定期的にプロによる予防処置を受けましょう。