デンタルニュース

歯石がつきやすい人の原因と対策

日本橋の歯医者「日本橋グリーン歯科」デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。

「毎日しっかり歯を磨いているのに、気がつくとまた歯石がついてしまう…」

という経験はありませんか?

月に何回も歯医者でクリーニングするわけにもいきませんし、正直困ってしまいますよね。

歯石の正体は、歯磨きで落としきれなかったプラークが、唾液の中の成分でカチカチに硬くなったものです。そのため、十分な歯磨きができていないと歯石はつきやすいです。

でも実は、十分に磨いていても、歯石がつきやすいタイプの方もいます。

歯磨き以外にも、私たちの普段の生活習慣など、色々な理由が複雑に関わって、歯石がつきやすくなることがあるんです。

今回は、歯石がつきやすい原因から、今日すぐに始められる簡単な対策まで、詳しくご紹介します。「もしかして、私歯石がつきやすいタイプかも?」と感じている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

歯石の付いた歯

歯石がつきやすい人の特徴

歯石は、お口の中にいる細菌のかたまりであるプラークが、唾液の中のミネラルとくっついて硬くなったものです。

歯石のつきやすさは、単に歯磨きが足りないだけでなく、私たちの体質や生活習慣など、色々な理由が影響しています。

①お口の環境

唾液が多い人

唾液には、プラークを硬くする成分が含まれているため、唾液の量が多いと、それだけ歯石がつきやすくなることがあります。

アルカリ性の唾液の人

唾液の性質がアルカリ性寄りだと、歯石がつきやすい傾向があります。

一方で、酸性の唾液は虫歯になりやすいですが、アルカリ性の唾液は歯石がつきやすい代わりに、虫歯には比較的強いと言われています。

私自身、過去に唾液の検査をした経験がありますが、やや酸性よりで虫歯のリスクが高いという結果でした。思い返せば、虫歯になることはあっても、目で確認できるほどの歯石がついた経験はありません。

どちらの唾液のタイプにも利点と欠点がありますが、「虫歯になりにくいから」「歯石がつきにくいから」と油断せずに、毎日の歯磨きや歯医者での定期検診を怠らないことが大切です

歯並びが凸凹

歯が重なっていたり、デコボコしている歯並びは歯ブラシの毛先がうまく届かない部分を作ってしまいます。

そうすると、そこにプラークが残りやすくなり、時間をかけて硬くなり歯石になってしまいます。

お口が乾燥しやすい

唾液には、お口の中を常に潤して、細菌を洗い流す大切な働きがあります。

しかし、ストレスや薬の副作用、口呼吸などのせいで唾液が減ってしまうと、お口の中が乾燥しやすくなります。

すると、プラークが洗い流されにくくなり、歯の表面に長く留まって、歯石になるリスクが高まってしまうのです。

②生活習慣

普段の生活習慣も、歯石のつきやすさに影響を与えていることがあります。

タバコを吸う

タバコのヤニ自体が歯にこびりつきやすく、そのザラザラした表面はプラークがさらに付きやすい温床になります。

その結果、歯石もどんどんつきやすくなってしまいます。

また、喫煙する人は、無意識のうちに口で呼吸していることが多く、お口の中が乾燥しやすくなることも、歯石のリスクを高めます。

甘いものが好き

甘い食べ物や飲み物には、細菌の大好物である糖分がたくさん含まれています。

これらを頻繁に摂ると、お口の中の細菌がプラークをどんどん作ってしまいます。

プラークが増えれば、当然それを元にできる歯石も増える、というわけです。

体の抵抗力が弱い

風邪をひいたり、疲れていたりして体の抵抗力が弱っていると、お口の中の細菌のバランスも崩れやすくなります。

普段はおとなしい細菌が暴れだしたり、いつもよりプラークがたくさん作られたりして、結果的に歯石もつきやすくなることがあるのです。

プラークが付いた歯

歯石をつきにくくする対策

では、どうすれば歯石がつきにくくなるのでしょうか?

歯石は元をたどればプラークが硬化したものなので、プラークコントロールが一番大切です。

プラークを減らすための具体的な方法について解説します。

もし「歯石がつきやすい」と感じているなら、今日からできる簡単な対策を始めてみましょう。

①自宅での口腔ケアを見直す

自分に合った歯ブラシを選ぶ

歯ブラシのヘッドの大きさや毛の硬さは、人それぞれのお口に合ったものを選ぶことが大切です。かかりつけの歯医者があれば、相談してみるのも良いでしょう。

正しい歯磨き

歯磨きの回数が少なかったり、歯磨きの時間が短いと、お口の中に細菌が長時間留まることになります。

また、何かをしながら磨くのではなく、しっかり丁寧に歯磨きをする必要があります。

歯ブラシの持ち方、動かし方、磨く順番を意識するだけで、プラークの除去率はぐんとアップします。

私は、これまでたくさんの方の磨き残しを染め出しして実際に見てきましたが、多くの場合、プラークが残りやすいのは、歯間と、歯と歯ぐきの境目の部分です。

歯ブラシの毛先を小刻みに動かしながら、歯と歯の間に入れ込むこと、歯と歯ぐきの境目に当てることを意識して、歯を磨きましょう。

歯ブラシ以外のプラスαのアイテム

歯ブラシだけでは、お口の中の汚れの約6割しか落とせないと言われています。

デンタルフロス、歯間ブラシ、タフトブラシなど、ご自身の歯の状態に合わせて、積極的に使用しましょう。

また、マウスウォッシュや舌ブラシなども、お口の細菌を減らすことに役立ちます。

適切な歯磨きのタイミング

睡眠中は唾液の分泌量が減少し、細菌が繁殖しやすい状態になります。

そのため、1日の中で寝る前の口腔ケアをより丁寧に行うことが大切です。

②プロの力を借りる

定期的なメンテナンス

特に歯の痛みなどの自覚症状がない場合でも、定期的に歯医者でクリーニングを受けることをおすすめします。

自分では気づかないうちに歯石がついていたり、クリーニングの際に虫歯などのトラブルが見つかることも多いです。

専用の器具で徹底的に

歯医者のクリーニングでは、専用の器具や材料を使って、こびりついた歯石をしっかり取り除いて、歯の表面をツルツルに磨きます。

特に、歯と歯ぐきの間の溝の歯周ポケットと呼ばれる部分は、日頃の歯ブラシではなかなか清掃が難しい場所です。

一見綺麗に歯磨きできていると思っていても、意外と歯周ポケット内にはプラークや歯石が残っている可能性があるため、歯医者での専門的なクリーニングは不可欠です。

③歯石を自分で取ることはできる?

歯ぐきを傷つけるリスク

市販の歯石取りのグッズもありますが、自分で取ろうとするのはやめましょう。

歯石は見えにくいところにつきやすく、自分で無理にどうにかしようとすると、歯の粘膜や歯自体を傷つけてしまう可能性が大きいです。

うまい具合に一部分が取れたとしても、完全に除去することは難しいでしょう。

歯科医療従事者も自分では行わない

歯石の除去を専門とする私たち歯科衛生士でさえ、自分の歯石を自分で取ることはありません。

私たちも皆さんと同じように歯医者に定期的に通ったり、スタッフ同士で相互にクリーニングを行う場合がほとんどです。

自分一人では裏側の細かい部分までしっかりと確認することは難しく、歯ぐきの内部に触れる処置は、衛生的な観点からも滅菌した器具を使用するべきだと考えています。

④生活習慣を見直す

禁煙チャレンジ

歯石予防だけでなく、健康のためにも禁煙は大きなメリットがあります。

もし喫煙をしている方で、歯石のつきやすさをお悩みの方が居れば、これを機に禁煙を視野に入れてみるのはいかがでしょうか。

甘いものとの付き合い方を見直す

甘いものを食べる回数や量を減らすだけでも、お口の中の細菌を減らす助けになります。

また、甘いものの食べ過ぎは、虫歯や歯石などの問題だけでなく、健康にも影響します。

意識して鼻呼吸をする

口呼吸はお口の中を乾燥させて、細菌を増やしやすくします。何気なくお口が開いていることが多い方は、普段から意識して鼻で呼吸するように心がけましょう。

歯石除去の様子

まとめ

歯石は、プラークが残っている限り、どうしてもついてきてしまいます。

歯石がつきやすいと感じる方も、毎日の歯磨きを工夫することで、歯石をつきにくくすることは可能です。

「もしかして私、歯石がつきやすい?」と感じたら、今回掲載している色々な原因を思い出してみてください。そして、今日からできる簡単な対策を一つでも二つでも始めることが、未来の健康な歯につながります。

しかし、どんなにしっかり対策している方でも、期間が開くと、どうしてもある程度の歯石はついてしまいます。

大事なのは、ついてしまった歯石を放置せずに、毎日のセルフケアと歯医者での定期的なクリーニングをしっかりと行うことです。

歯石を放置しそのままにしてしまうと、歯周病や虫歯などのリスクを高めることに繋がるため、歯医者での定期的なクリーニングを受けていない方は、早めに歯医者を受診するよう心がけましょう。