2025-12
吸わなければ大丈夫?喫煙とインプラントの関係
日本橋の歯医者「日本橋グリーン歯科」デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。
インプラント治療を考える際に、「タバコはもうやめているから大丈夫かな」と思われる方も多いのではないでしょうか。実際、診療の中でもそのような声をよく耳にします。
禁煙はインプラントにとって大切なポイントのひとつですが、今は吸っていなくても過去の喫煙習慣や加熱式・電子タバコの影響が、歯ぐきの状態にゆっくりと表れていることがあります。
ご本人には気づきにくい変化でも、治り方や歯ぐきの反応に違いが見られることがあるため、日常の習慣を一緒に確認していくことが大切です。
この記事では喫煙とインプラントの関係について、治療前後で気をつけたいことや、無理なく向き合っていくための考え方をまとめました。
これからインプラント治療を検討されている方にも、すでに治療を終えられている方も、ぜひ参考にしてみてください。

喫煙はインプラントにどんな影響がある?
①タバコが治りを遅らせる理由
血流が悪くなり歯ぐきが治りにくくなる
タバコに含まれるニコチンには血管を収縮させる作用があり、歯ぐきや骨への血流が悪くなりやすくなります。
インプラント治療では、手術後に歯ぐきや骨がしっかり治ることがとても大切ですが、血流が不足するとその回復がゆっくりになります。
歯科衛生士としてメンテナンスに関わっていると、喫煙習慣がある方は、同じ時期に治療を受けた方と比べて歯ぐきの落ち着きに時間がかかる印象があります。
体の内側で起きている変化が影響していると感じます。
免疫力が下がり炎症が起きやすくなる
喫煙は免疫の働きにも影響し、細菌に対する抵抗力が下がりやすくなります。
その結果、インプラントの周りで炎症が起きやすくなり、気づかないうちに状態が進んでしまうこともあります。
特にインプラントは、炎症があっても強い痛みが出にくいことが多いため、「自覚症状がない=問題ない」と思ってしまいやすい点も注意が必要です。
実際の診療でも、腫れや出血が少なくわかりにくいまま進んでいた、という方を診ることがあり、日頃の習慣が静かに影響していることを感じます。
②天然歯とインプラントで違いはある?
インプラントは炎症に気づきにくい
天然歯には歯根膜というクッションのような組織があり、違和感や噛んだときの感覚でトラブルに気づきやすい特徴があります。
一方、インプラントにはその構造がないため、炎症が起きても違和感を覚えにくいことがあります。
喫煙によって歯ぐきの色や出血の反応が鈍くなると、見た目でも変化に気づきにくくなり、「気づいたときには進んでいた」という状況につながりやすくなります。
進行が早くなりやすい理由
インプラントの周りで炎症が起きると、歯ぐきだけでなく骨にも影響が及びやすいとされています。
そこに喫煙による血流低下や免疫の影響が重なると、状態が一気に進んでしまうことがあります。
私自身、定期的に通っていた方でも、喫煙量が増えた時期に歯ぐきの状態が変わったことをきっかけに生活習慣の話をするようになった経験があります。
インプラントは毎日の積み重ねが結果に表れやすい治療だと実感しています。

「今は吸っていない」だけでは足りない理由
①過去の喫煙歴も影響することがある
長年の喫煙で残る歯ぐきや骨への影響
「もうタバコはやめているから大丈夫ですよね?」という質問は、診療の中でもとてもよく聞きます。
もちろん、禁煙していること自体はインプラントにとって大きなプラスです。
ただ、長年の喫煙習慣があった場合、歯ぐきや骨の状態にその影響が残っていることもあります。
歯科衛生士としてお口の中を見ていると、見た目は落ち着いていても、歯ぐきの厚みや血色が回復しきっていないと感じる方もいます。
これはすぐに問題になるわけではありませんが、治療を進めるうえでは知っておきたいポイントのひとつです。
本数や年数が関係することも
過去にどれくらいの本数をどれくらいの期間吸っていたかによって、体への影響の残り方には個人差があります。
「若いころに少しだけ」「何十年も吸っていた」など背景はさまざまです。
私自身、喫煙歴のある方には、インプラントを安定した状態で長く使ってもらうために治療のスピードを少しゆっくりにしたり、メンテナンスの間隔を短めに設定したりすることがあります。
②加熱式・電子タバコなら大丈夫?
ニコチンの影響は変わらない
最近は加熱式タバコや電子タバコに切り替えている方も増えています。
「煙が少ないから安心」「紙巻きよりは体にやさしいのでは」と思われがちですが、ニコチンが含まれている場合、歯ぐきや血流への影響は完全になくなるわけではありません。
実際にメンテナンスの場面でも、加熱式に変えたあとも歯ぐきの反応が落ち着かず、生活習慣をもう一度一緒に見直したことがあります。
形が変わっても、体への影響が続くことがある点は知っておいてほしいところです。
歯ぐきの回復への影響
インプラント治療では、歯ぐきが健康な状態を保てるかどうかがとても重要です。
ニコチンの影響が続くと、歯ぐきの回復がゆっくりになり、ちょっとした刺激で不安定になりやすくなることがあります。
「吸っていないつもりでも、実は影響が残っていた」という方も少なくありません。
だからこそ、「今どうしているか」だけでなく、「これからどう付き合っていくか」を一緒に考えていくことが大切だと、日々感じています。

インプラント治療前・治療後で気をつけたいこと
①治療前に知っておきたいポイント
禁煙期間の目安
インプラント治療を考える際、「いつから禁煙すればいいの?」と聞かれることがよくあります。
理想的なのは、手術の前からある程度の期間、タバコを控えた状態をつくっておくことです。
これは歯ぐきや骨の血流を少しずつ回復させ、治療後の治りを助けるためです。
「いきなり完全にやめるのは難しい」という声も多く聞きます。
その場合でも、量を減らしたり、吸う回数を意識的に減らしたりするだけでも、体の反応が変わってくる方もいます。
無理なく続けられる形を一緒に考えていくことが大切です。
喫煙状況を正直に伝える大切さ
治療を安全に進めるためには、現在の喫煙状況や過去の喫煙歴を正直に伝えてもらうことがとても大切です。
遠慮して伝えなかったり、「もう関係ないかな」と思って省いてしまうと、治療計画や術後のケアに影響することがあります。
実際の診療でも事前にしっかり状況を共有してもらえた方ほど、治療後のフォローがスムーズに進み、安心して通院されている印象があります。
責められることはありませんので、気になることはそのまま伝えてもらえると助かります。
②治療後も注意が必要な理由
インプラント周囲炎につながりやすくなる
インプラント治療が終わったあとも、喫煙の影響は続きます。
タバコによって歯ぐきの血流が悪くなると、インプラントの周りに汚れがたまりやすくなり、炎症が起きやすい状態になります。
メンテナンスの中でとても多いのが、「本数も減らしたし、少しなら大丈夫ですよね?」という相談です。
気持ちはとてもよく分かりますし、完全にゼロにすることが難しい方も少なくありません。
ただ、歯科衛生士として日々お口の中を見ていると、少量であっても喫煙の影響が歯ぐきの反応に出ていると感じることがあります。
本人は特に違和感がなくても、歯ぐきの引き締まりや色の変化から「あ、少し負担がかかっているな」と気づく場面もあります。
そうした小さな変化を一緒に確認しながら話をすることが、治療後の安心につながっていると感じます。
メンテナンス間隔の考え方
喫煙習慣がある方や、過去に長く吸っていた方の場合、メンテナンスの間隔を少し短めに設定することがあります。
これはトラブルを防ぐためというより、「安心して使い続けるための確認の時間」と考えてもらえるとよいと思います。
実際にこまめに通ってくださっている方は、小さな変化の段階で対応できるため、大きな問題につながりにくい傾向があります。
インプラントは治療が終わってからが本当のスタートだと日々感じています。
禁煙できない方へ、現実的な向き合い方
どうしても禁煙が難しい方に対して、「やめないとダメです」と一方的に伝えることは、現実的ではないと感じています。
大切なのは、できる範囲でどう付き合っていくかを一緒に考えることです。
実際に、喫煙量を減らすことで、歯ぐきの状態が落ち着いてきた方もいます。
無理なく続けられる方法を探しながら、メンテナンスを通して状態を確認していくことで、インプラントを安定した状態で使い続けている方をたくさん見てきました。

まとめ
喫煙とインプラントの関係は、「吸っているか・吸っていないか」だけで単純に判断できるものではありません。
過去の喫煙歴や現在の習慣、そして治療後のケアの積み重ねが、インプラントの状態に少しずつ影響していきます。
私が日々歯科衛生士として感じるのは、完璧を目指すよりも、現実的に続けられる選択を重ねていく方が、結果的にインプラントが安定しているということです。
禁煙できている方はその状態を維持すること、難しい方は量や頻度を見直しながら、定期的なメンテナンスで状態を確認していくことが大切です。
インプラントは治療が終わったあとも、日々の生活と一緒に育てていくものだと感じています。
無理をせず、できることを少しずつ続けていくことが、インプラントを長く快適に使うための近道です。
高齢でもインプラントはできる?
日本橋の歯医者「日本橋グリーン歯科」デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。
インプラントは「年齢を重ねたら難しいのでは…」と心配される方も少なくありません。
とくに75歳以上になると、飲み込みやお口の乾燥、持病や服薬など、気になるポイントが増えるのも自然なことです。
ただ、その不安は「治療ができない」という意味ではなく、少し丁寧なサポートが加わるだけで安心して進められるという捉え方に近いものです。
「焦らず、自分のペースで進めたい」「サポートがあるなら安心してお願いできる」とお話しされる方は多くいらっしゃいます。
年齢そのものよりも、体の状態に合わせたケアや治療計画が、長く快適に使い続けるための支えになります。
この記事では、75歳以上でインプラント治療を考えている方に知っておいてほしいポイントを、飲み込み(嚥下)やお薬、メンテナンスの視点から分かりやすくまとめました。
ご自身はもちろん、ご家族や介護スタッフの方にも安心して読んでいただける内容ですので、ぜひ読み進めてみてください。

75歳を過ぎてからのインプラント治療は何が心配?
①年齢とともにお口の環境が変わる
唾液が減りお口が乾きやすい
年齢が進むと、以前よりお口の中が乾きやすく感じる方が増えてきます。
唾液が少なくなると、粘膜が乾燥して汚れが停滞しやすくなり、インプラントの周りにも影響が出ることがあります。
実際にメンテナンス場面でも「最近口が渇くことが増えて…」とお話される方は多く、その時期から丁寧な清掃補助や保湿ケアを取り入れることで、インプラントをより楽に維持されている方をたくさん見てきました。
乾燥は珍しいことではなく年齢と共に自然に起こる変化なので、「特別悪い状態」と捉えず、無理せず対策を続けることが大切です。
歯ぐきや骨の治りにも時間がかかる
インプラント治療は、顎の骨がインプラント体としっかり馴染むまでの期間が必要になります。
75歳以上の方の場合は若い方より治りがゆっくり進むことがありますが、それは体の回復ペースが穏やかになっているだけで、異常なことではありません。
焦らず体のペースに合わせて治療を進めることが、安心につながると感じています。
②飲み込み(嚥下)が少し弱くなるとどうなる?
食事が飲み込みにくくなることがある
年齢を重ねるにつれて、飲み込む力が以前より弱くなることがあります。
食べ物が喉に引っかかりやすい、むせやすい、と感じる方もいらっしゃいます。
インプラント治療後は、硬いものを無理に噛もうとすると口の中に負担がかかることもあるため、食事の柔らかさや温度を工夫し、噛む位置を意識するだけでも楽になります。
実際、「少し形を変えただけで食事が楽になったよ」と笑顔で話される方も多く、ちょっとした調整が日々の安心につながるのだと感じます。
リハビリや食事の工夫が役立つことも
飲み込みづらさが続く場合は、食事の形状を変えたり、必要に応じて飲み込みの訓練をすすめることもあります。
特別なことをするというより「今の状態に合った食べ方に寄り添う」というイメージです。
周りの人と情報を共有しながら進めると、本人にとっても安心感が大きくなるように感じます。

持病や服薬によって注意が必要な場合も
①血液をサラサラにする薬を飲んでいる場合
出血が続きやすくなることがある
高齢の方では、血栓予防のためのお薬(いわゆる血液をサラサラにする薬)を服用されている方が少なくありません。
このお薬は、血液を固まりにくくする働きがあるため、治療後ににじむ程度の出血が少し長く続くことがあります。
私の経験でも、「普段どおりの生活をしていたけれど、止まるまでに少し時間がかかった」という声を聞く場面は多くありました。
ただ、ほとんどの場合は緊急性のあるものではなく、落ち着いて経過を見守ることが大切です。
薬を止める・止めないは自分で決めない
血液をサラサラにする薬は、急に中断するとかえって危険な場合があります。
そのため、歯科側だけで判断せず、内科やかかりつけ医と情報を共有しながら進めることが基本になります。
「歯科治療だし一時的に止めたほうがよいのかな」と患者さんご自身で判断されることもありますが、薬は全身管理と深く関わるため、自己判断せず相談していただくことが安心して治療を受けるうえでとても大切です。
②糖尿病や高血圧などの病気がある場合
炎症が出やすく治りがゆっくり進むことも
糖尿病や高血圧といった生活習慣病があると、傷の治り方が若い方よりゆっくり進むことがあります。
これは珍しいことではなく、体の自然な反応としてよく見られる経過です。
歯ぐきの治りが穏やかに進む方の場合、通常より通院の間隔を少し短くしたりホームケアの確認を増やすことで、安心して治療を続けていける印象があります。
主治医との連携が心強さにつながる
高齢の方の場合、歯科治療と内科治療の情報をつなげるだけで、本人もご家族も安心して治療の日々を過ごしやすくなります。
例えば血糖値のコントロール状況や血圧の変化を確認しながら進めることで、トラブルを未然に防ぎやすくなります。
③骨粗しょう症のお薬を飲んでいる場合
骨の回復に慎重になることがある
骨粗しょう症のお薬には、骨の代謝に関わる働きがあり、種類によってはインプラント治療の進め方に注意が必要な場合があります。
過度に心配する必要はありませんが、お薬の種類や期間を確認しながら進める方が、結果的に安心して治療に臨むことができます。
歯科と内科で情報を共有するとより安心
骨のお薬は歯やあごだけではなく、全身の骨に作用する特徴があります。
治療を安全に進めるために、必要に応じて内科や整形外科と連携し、情報を共有しながらゆっくり治療を組み立てていくことがあります。
とくに75歳以上の患者さんでは、複数の医療機関を受診されている方も多いため、橋渡し役として私たち歯科側が関わることは、安心感にもつながる部分だと実感しています。

高齢の方は回復のスピードがゆっくり
①若いころより治りに時間がかかりやすい
インプラントが馴染むまでに少し時間をかけることも
インプラント治療では、人工歯根が顎の骨になじむまでの期間が必要になります。
75歳以上の方の場合、その結合や粘膜の回復がゆっくり進むことがあります。
ただそれは異常ではなく、体が無理をしないペースで落ち着いているという自然な流れです。
私が診療で関わってきた高齢の患者さんの多くは、「少し時間がかかっても良いので、安心して治療を終えたい」とお話されます。
ゆっくり進める方が結果として噛む力に安定感が出て、長く違和感なく使える印象があります。
装着までの期間が伸びることもあるが心配はいらない
若い方と比較すると、最終の被せ物(上部構造)を装着するまでの期間が少し長くなることがあります。
これは、急がずに骨の状態や歯ぐきの変化を丁寧に確認するための時間でもあります。
私自身、焦らずに進めたことで治療が安定し、その後のメンテナンスでも問題なく過ごされている高齢の患者さんを多く見てきました。
「長く使えるようにひとつひとつ確かめながら進める」ことが、インプラント治療では何より大切だと感じています。
②メンテナンスは少し短い間隔で
早めの確認で無理なく安心して使い続ける
高齢の方の場合、唾液量や清掃性の変化、お口の乾燥が進むことがあるため、メンテナンスの間隔を少し短めに設定することがあります。
定期的に状態を確認していくことで、小さな不調も早めに見つけやすくなり、炎症を防ぎながら安心して使い続けられます。
「気づいたら腫れていた」「違和感はなかったけれど汚れが溜まっていた」という方も、短い間隔で通っていただくことで、不安を抱える前にケアができます。
ご家族や介護スタッフとケア方法を共有
75歳以上になると、ご家族や介護スタッフと一緒に口腔ケアを支えることも増えてきます。
ブラッシングの方法や清掃用具の選び方など、医院と周囲のサポートがつながることで、本人が無理なく続けられる日常ケアが整います。
支え合いながらケアを続けていくことは、高齢になってもインプラントを快適に使うための大切なポイントです。

まとめ
75歳を過ぎてからのインプラント治療は、若い頃と全く同じように進められる場合もあれば、体の変化に合わせてゆっくり時間をかけた方が良いこともあります。
唾液の減少や飲み込みの変化、服薬の影響など、年齢とともに自然に起きる変化は誰にでもあるもので、特別なトラブルと捉える必要はありません。
むしろ、その変化に寄り添いながら治療を進めていくことが、インプラントを長く使うためのいちばん大切な視点だと感じています。
治療後の経過観察やメンテナンスを少し短い間隔で行うことで、炎症や不快感を早めに解消できたり、ケア方法をその時の状態に合わせて調整できたりします。
ご家族や介護スタッフと情報を共有しながら、無理のないペースでケアを積み重ねていくことで、ご本人の負担も大きく減っていきます。
私は年齢は治療を諦める理由ではなく、必要なサポートを少し増やしていくきっかけだと考えています。
高齢であっても、口から食べる喜びや会話のしやすさを守りながら、インプラントを無理なく快適に使い続けていくことは十分可能です。
ご自分のペースで、安心して治療に向き合っていきましょう。
インプラント手術当日はどう過ごすべき?
日本橋の歯医者「日本橋グリーン歯科」デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。
インプラントの手術を受けた日は、楽しみよりも「このあとどう過ごせばいいんだろう…」と不安が大きくなる方が多いように感じます。
食事はいつから?お風呂に入っても大丈夫?夜は普通に眠れる?
そんな疑問が次々と浮かんできますよね。
実際、私が診療で患者様とお話をする中でも、「当日の過ごし方だけ先に知っておきたかった!」という声をよく耳にします。
ちょっとしたポイントを知っておくだけで、腫れや痛みが少なく、安心して過ごせるようになることがほとんどです。
この記事では、インプラント手術の日に気をつけたい食事・入浴・生活・眠り方について、できるだけわかりやすくまとめました。
手術の前に軽く目を通しておくのもおすすめですし、当日ふと不安になったときにも役立つ内容になっていますので、参考にしてみてください。

手術当日の「食事」の注意点
①食べて良いもの・控えるべきもの
刺激物・熱いものを避ける理由
インプラント手術当日は、辛い料理や熱い汁物、アルコールといった刺激のあるものは避ける必要があります。
これらは体温や血流を急激に上げてしまい、痛みや腫れを強める原因になります。
また、麻酔が残っていると熱さを感じにくく、知らない間に口の中を火傷してしまうこともあります。
柔らかい食事の具体例
手術当日は、噛まなくても飲み込めるような柔らかい食事が理想的です。
ヨーグルトやプリン、おかゆ、冷ましたスープや茶碗蒸し、絹ごし豆腐など、刺激の少ないものが向いています。
私は診療で「小さなお子さんでも食べられそうなものを選ぶと間違いないですよ」とよくお伝えしています。
口の中の負担が少なく、麻酔の残るタイミングでも安心して食べられます。
②食べる際の注意点
反対側で噛むコツ
食事をするときは、インプラントを入れた側ではなく、反対側だけを使って噛むことが大切です。
傷口に刺激が加わると痛みや出血につながるため、最初の数日は特に意識する必要があります。
焦らず小さく一口ずつ口に運ぶと、反対側で噛みやすく、誤って手術側に力が入るのを防ぐことができます。
患者様からも「気をつけていたつもりなのに無意識に手術側を使っていた」という声が多いため、意識してゆっくり食べることが大切です。
飲み込みにくい時の対処法
術後の腫れや緊張で、飲み込みづらく感じる方も少なくありません。
そのような時は、一口量を小さめにしたり、冷たい飲み物を少し含んで流すように食べると楽になります。
無理に噛もうとせず、飲める状態の食事を選ぶことで負担が減ります。
特に高齢の患者さんでは「喉に力が入らない気がする」と相談されることが多いため、焦らずゆっくり進めることが安心につながります。
手術当日の「入浴・生活」の注意点
①入浴・シャワーのポイント
当日は湯船NGの理由
インプラント手術当日は、湯船に浸かるのは避けた方が安心です。
温かいお風呂は全身の血流を急に高めてしまうため、傷口からの出血や腫れが強くなる可能性があります。
特に体が温まりすぎるとズキズキとした痛みが増すこともあり、実際に「お風呂に少し浸かったら腫れが気になってきた」と不安を訴えた患者様もいました。
手術当日は、体を温めすぎないことが大切です。
シャワーの温度と時間
手術当日は、シャワーを浴びる場合でも短時間で済ませ、ぬるめの温度が望ましいです。
長く浴びていると体温が上がりやすく、腫れや痛みを誘発することがあります。
髪や体を洗うときも、できるだけ手早く済ませて、顔まわりを強くこすったり温めたりしないよう注意が必要です。
②運動・飲酒・喫煙の注意点
血流を上げる行動がNGな理由
激しい運動やサウナ、長距離の移動など、体を強く動かしたり温めたりする行動は当日控える必要があります。
これらはすべて血流を急激に上げるため、腫れや痛みが強くなる原因になります。
特に手術後は体が敏感になっているため、普段よりも軽い運動でも影響が出ることがあります。
「普段は大丈夫だから」と動いてしまうと、翌日に腫れが強くなり、治りが遅れることにつながります。
喫煙は特に要注意
手術当日の喫煙は、他の生活習慣よりも強く控えるべき行動のひとつです。
たばこの煙は歯ぐきの血流を悪くし、治りを大きく妨げます。
傷口の治りが遅くなることで細菌が増えやすくなり、手術部位の腫れや痛みにつながるだけでなく、インプラント周囲炎のリスクも高まります。
実際に喫煙している患者様では、術後の腫れが長引いたり、痛みが強く出るケースも見てきました。
どうしても吸いたいという方でも、最低限「手術当日だけでも控える」だけでリスクは大きく下がります。

手術当日の「就寝」の注意点
①寝る姿勢と枕の高さ
腫れを防ぐ体勢
インプラント手術当日の夜は、横になる姿勢によって翌日の腫れの出方が大きく変わります。
頭を高くして寝ることで、手術した部分に血液が集まりにくくなり、腫れを抑える効果があります。
枕にバスタオルなどを重ねたり、ソファで軽く上体を起こして眠るような姿勢でも構いません。
実際に患者様からも「枕を高めにしたら翌日の腫れが気になりませんでした」と言われることも多く、就寝姿勢は見た目の回復にも影響します。
横向き寝の注意点
普段から横向きで寝ることが多い方は、その日の夜だけは手術した側を下にして寝ないよう注意が必要です。
頬が枕に押されることで、手術部位に負担がかかり、内出血や腫れが強くなることがあります。
また、無意識に触れてしまうことで痛みが出ることもあります。
どうしても横向きでしか眠れない方は、手術していない側を下にして、できるだけ優しく頭を支えるような姿勢が安心です。
②寝ている間に気をつけたいこと
出血した場合の対処法
手術当日の夜は、眠っている間に少量の出血が続くことがあります。
枕に少し血がついている程度であれば心配いりませんが、もし口の中に血が溜まる感覚や生温かい味を感じた場合は、軽くティッシュを噛んで圧迫し、しばらく落ち着くのを待つことで多くの場合止まります。
強いうがいをすると再び出血しやすくなるため、ゆっくりと口をゆすぐ程度にとどめることが大切です。
寝返りで患部を圧迫しない工夫
眠っているときはどうしても寝返りをしてしまいますが、術側を下にして寝てしまうと頬が枕に押されてしまい、腫れや痛みが強まることがあります。
特に、横向き寝が習慣になっている方は、寝る前に「手術していない側を下にする」ことを意識してみてください。
枕の両側にタオルやクッションを軽く置き、自然に仰向けになりやすい環境をつくると、寝返りを抑えやすくなることもあります。
体が冷えすぎないようにするポイント
腫れを抑えるために冷やすことは必要ですが、就寝中に体全体が冷えすぎてしまうと睡眠が浅くなり、無意識の噛みしめが強くなる方もいます。
頬の冷却は手術当日のみで十分なので、寝るときは顔以外が冷えないよう軽いブランケットを使い、体のリラックスを心がけると良い睡眠につながります。

翌日からはどうなる?回復の目安
①腫れ・痛みのピーク
一般的な経過
インプラント手術の翌日になると、多くの方が「腫れが強くなってきた気がする」と感じます。
これは異常ではなく、手術後の生理的な反応として、ごく自然な経過です。
腫れは通常、手術の翌日から2日目あたりが最も強く、その後3〜4日目にかけてゆっくりと落ち着いていきます。
また、痛みに関しても同様で、術後すぐより翌日に重たさを感じることがありますが、処方されている痛み止めを適切に使えばコントロールできるケースがほとんどです。
患者様からも「翌日が一番腫れて驚いたけれど、そのあと少しずつ引いて安心した」という声をよく伺います。
異常が疑われる場合の目安
通常の経過とは異なり、痛みが日ごとに強くなる、腫れが一週間以上たっても減らずに広がっていく、触れていなくてもズキズキと熱を感じる、口の中に膿のような味が続くといった症状がある場合は、炎症が進んでいる可能性があります。
そのような変化は、ご自身では様子を見ていて良いのか判断がつきにくいことも多いため、気になることがあれば早めに受診していただく方が安心です。
過去には「たいしたことないと思って放置したら、治るまでに時間がかかってしまった」という方もいらっしゃいました。
少しでもいつもと違うと感じたときは、遠慮なく歯医者で相談していただくことをおすすめします。
③セルフケアの開始時期
うがい・歯みがきはいつから?
手術翌日になると、軽いうがいなら可能になることが多いですが、強く何度もゆすぐと傷の治りが遅くなることがあります。
歯みがきも同様で、インプラント部位を避けながら、他の部分だけ優しく磨くようにすると安心です。
術後数日は特に傷がデリケートなため、歯ブラシを当てると痛みが出ることもあります。
患者様の中には「怖くて手術側に歯ブラシを近づけられなかった」という方も多いので、無理せずできる範囲からスタートするのが良い方法です。
消毒や処方薬の使い方
術後に処方される抗生剤やうがい薬は、決められた回数と期間を守ることで炎症を最小限に抑える役割があります。
とくに抗生剤は途中でやめてしまうと細菌が残りやすく、痛みや腫れが長引く原因になります。
私は診療で「薬は症状が落ち着いても、指示通り最後まで飲み切ってくださいね」と必ずお伝えしています。
消毒に関しても必要以上に行う必要はなく、指示があれば優しく行う程度で十分なことがほとんどです。
まとめ
インプラントの手術後は、翌日以降は腫れのピークを迎えることが多いものの、基本的には数日かけてゆっくり落ち着いていきます。
無理のない範囲でうがいや歯みがきを再開し、処方された薬をきちんと使うことで、治りをスムーズに進められます。
痛みや腫れが日ごとに強くなる、膿のような味がするなど、普段と違う変化を感じた場合は早めの相談が必要です。
手術当日から翌日までの過ごし方は難しいことをする必要はなく、ほんの少しの注意を心がけるだけで大きく結果が変わります。
安心して回復の期間を過ごすために、お伝えしたポイントが少しでも役に立てば嬉しいです。
インプラント周囲炎になりやすい人の5つの特徴
日本橋の歯医者「日本橋グリーン歯科」デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。
インプラントは自分の歯のようにしっかり噛める優れた治療ですが、実は「歯周病のような炎症」が起こることがあり、それを「インプラント周囲炎」といいます。
一度進行すると気づきにくく、最悪の場合、せっかく入れたインプラントを失う可能性もあります。
私が歯科衛生士として診療している中でも、炎症が出やすい方には共通する生活習慣や傾向があり、早めに知っておくことで予防につながる場合が多くあります。
この記事では、インプラント周囲炎になりやすい人の特徴5つを解説し、今日からできる予防法もお伝えします。
「まだインプラントを入れて間もない」「これから治療を考えている」という方には、ぜひ参考にしてみてください。

インプラント周囲炎とは?まず知っておきたい基礎知識
①インプラント周囲炎は「歯周病に似た病気」
天然歯との違い
インプラント周囲炎は、見た目こそ歯ぐきの腫れや出血など歯周病と似ていますが、実は進行のスピードが速いという特徴があります
天然歯には「歯根膜」というクッションの役割をもつ組織がありますが、インプラントにはそれがありません。
そのため炎症が起きると、骨にまで一気に広がりやすく、気づいた時には進行していた…という場合も少なくありません。
進行するとどうなる?
炎症が進むと、インプラントを支えている骨が溶け、土台が不安定になってしまいます。
私が以前担当した患者さんでも「痛くないから大丈夫」と思っていたら、数ヶ月後にはぐらつきが強くなっていたケースがありました。
痛みが出にくいからこそ、日頃のチェックと早期発見がとても重要です。
②なぜインプラントは炎症が起きやすいのか
インプラント特有の構造
インプラントは金属と歯ぐきの境目に、細菌がたまりやすい構造があります。
また、天然歯と違って繊維で結びついていないため、一度細菌が入り込むと排除しにくい傾向があります。
特に奥歯など磨きにくい部分では、プラーク(歯垢)が残りやすく注意が必要です。
メンテナンスの重要性
インプラントは虫歯にはなりませんが、ケアを怠ると歯周病より早く悪化する可能性があります。
私の臨床経験でも、定期的にクリーニングを受けている方と、受けていない方では、炎症の発見率に大きな差がありました。
「治す」より「予防する」方が圧倒的に負担が少ないのがインプラントの特徴です。

インプラント周囲炎になりやすい人の特徴5つ
① 歯ぐきや歯周病の治療をせずに放置している
炎症がある状態で治療するとリスクが高い
歯ぐきに炎症がある状態でインプラント治療を行うと、術後に細菌が増えやすく、インプラント周囲炎のリスクが高くなります。
特に歯周病は慢性的に炎症が続く病気のため、術前にしっかり治しておくことがとても大切です。
実際に、炎症が治まっていないまま治療に進んでしまい、その後トラブルにつながった例もありました。
歯周病の既往がある方の注意点
歯周病になった経験がある方は、インプラント周囲炎も起こしやすい傾向があります。
これは細菌への抵抗力や歯ぐきの質が影響するためです。
私が担当する患者さんでも、過去に歯周病治療の経験がある方は、特にセルフケアやメンテナンスの指導を細かく行うようにしています。
② 自宅でのセルフケアが不十分
磨き残しが起きやすい部位
インプラントは天然歯と形が違うため、境目や裏側にプラークが溜まりやすい特徴があります。
特に奥歯は歯ブラシが届きにくく、バイオフィルムがついたままになってしまうことも少なくありません。
「毎日磨いているのに炎症が出る」という方の多くが、実は細かい部分の磨き残しが原因です。
おすすめのケアグッズ
歯ブラシだけでは落としきれないプラークを取り除くため、フロスや歯間ブラシの活用が効果的です。
サイズの合った歯間ブラシを選ぶだけで磨き残しは大きく減ります。
診療室ではよく、患者さんに実際にサイズを合わせて選んで差し上げることもあります。
ケア用品の選び方で炎症リスクが大きく変わります。
③ 喫煙習慣がある
喫煙がインプラントに与える影響
喫煙は血流を悪くし、歯ぐきの治りを遅らせます。
その結果、インプラントの周りの組織が弱くなり、細菌に対する抵抗力が低下します。
私の経験でも、喫煙している患者さんは術後の炎症が出やすい傾向がはっきりありました。
治療前後の一時的な禁煙でも、予後が改善するケースは多いです。
禁煙できない場合の対処法
完全な禁煙が難しい場合でも、術前・術後の一定期間だけ控える、ニコチン量の少ないタバコに変えるなどの工夫が有効です。
また、歯ぐきの状態をこまめにチェックすることで、早期発見につながります。
患者さんには「まずはできる範囲で減らしてみましょう」とお伝えするようにしています。
④ 定期メンテナンスに来られない
早期発見ができず進行しやすい
インプラント周囲炎は痛みが出にくい病気のため、「変化に気づいたときには進行していた」ということがよくあります。
歯医者のプロケアで、歯周ポケットの深さやレントゲンを定期的に確認することで、早期発見が可能になります。
特にインプラント治療後の1〜2年は変化が出やすいため、こまめな来院が理想的です。
メンテナンスの間隔の目安
一般的には3〜6ヶ月に1度のメンテナンスが推奨されますが、喫煙習慣がある方や歯周病の既往がある方はもっと短い間隔が必要な場合もあります。
実際に私は、歯ぐきの状態やケアの状況を見ながら、一人ひとりに合わせて間隔を調整しています。
⑤ 噛みしめや歯ぎしりが強い
過度な力が炎症の原因に
噛みしめや歯ぎしりが強いと、インプラントに過度な力が加わり、歯ぐきや骨に負担がかかります。
これが続くと炎症の誘因となり、インプラント周囲炎を悪化させることがあります。
特にストレスを抱えている方は無意識に力が入りやすく、来院時に歯ぐきが赤くなっている方もいらっしゃいました。
ナイトガードの活用
就寝中の無意識な歯ぎしりを防ぐためには、ナイトガードの使用がとても有効です。
インプラントだけでなく、自分の歯のトラブル予防にもつながります。
実際にナイトガードを使い始めてから、炎症が落ち着いた患者さんも中にはいらっしゃいます。

インプラント周囲炎の予防のためにできること
①歯医者でできる予防
プロケア
歯医者では、インプラント周囲のプラークやバイオフィルムを専用の器具で徹底的に取り除きます。
特に歯ブラシでは届かない深いところの汚れは、プロケアでしか管理できません。
また、噛み合わせのチェックや必要に応じた微調整、レントゲンによる骨の状態確認など、トラブルを未然に防ぐために多角的なケアが行われます。
「メンテナンスに来るだけで全然違いますね」と実感される方が多い部分です。
インプラント周囲のポケット測定
歯ぐきの状態を把握するために、定期的なポケット測定は欠かせません。
深さの変化は炎症の初期症状であり、早期発見にとても役立ちます。
私自身、ポケットが少し深くなっている段階で気づき、クリーニングや生活習慣の見直しを行うことで症状が改善したケースを多く担当してきました。
小さな変化を見逃さないことが、予後を大きく左右します。
②自宅でできる予防
正しいケア方法
自宅でのセルフケアは、インプラントの健康を守る毎日の土台です。
歯ブラシは毛先を細かく動かし、インプラントの境目を意識して丁寧に磨くことがポイントです。
フロスや歯間ブラシも欠かせない習慣のひとつで、特に歯間ブラシはサイズを合わせることで予防効果が大きく上がります。
磨き方の癖はご本人では気づきにくいので、定期的なブラッシング指導を受けることがおすすめです。

生活習慣の見直し
喫煙、ストレス、睡眠不足、偏った食生活など、生活習慣は歯ぐきの状態に大きく影響します。
特にストレスが強いと噛みしめが増え、インプラントに負担がかかることもあります。
患者さんの中には、生活リズムを整えただけで炎症が落ち着いたケースもあり、日常の小さな変化が予防につながることを実感しています。
まとめ
インプラント周囲炎は、一度進行すると治療が大変になる病気ですが、日頃のケアと定期的なメンテナンスがしっかりできていれば予防は十分可能です。
特に、歯周病の既往がある方やセルフケアに自信がない方は、早めのチェックとプロケアが大切です。
私も日々の診療で、「しっかりケアしている方ほどインプラントが長持ちしている」という実感があります。
少しの意識と習慣で、インプラントは10年、20年と快適に使い続けることができます。

