デンタルニュース

マウスウォッシュの効果について解説!使わない方が良いと言われる理由は?

日本橋の歯医者「日本橋グリーン歯科」デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。

皆さんは、「マウスウォッシュ」を使用していますか?

歯ブラシ以外にフロスや歯間ブラシを使用している方は多いですが、マウスウォッシュを使用している方は少ないのではないでしょうか?

株式会社サンスターが世界15カ国で実施したグローバル調査によると、日本はマウスウォッシュの使用率が最下位だそうです。※1

マウスウォッシュは、正しく使用することでさまざまな効果が得られますが、間違った使い方をするとその効果が得られないため、使い方に注意が必要です。

この記事では、マウスウォッシュを使用することで得られる効果と、使用上の注意点や正しい使い方について解説しています。

今までマウスウォッシュをなんとなく使っていた方や、気になっていたけどまだ使ったことがない方は、ぜひ参考にしてみてください。

※1引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000319.000005120.html

マウスウォッシュ

マウスウォッシュとは

マウスウォッシュは、口臭の予防や、虫歯や歯周病を予防する効果のある洗口液です。

似たような商品でデンタルリンスがあります。その違いについても解説します。

①マウスウォッシュの目的

口臭の予防や殺菌

市販のマウスウォッシュには、「化粧品」と「医薬部外品」があります。

「化粧品」は薬用成分を含まないので、口の中を洗浄することによる一時的な口臭予防の効果のみになりますが、「医薬部外品」は薬用成分が含まれているため、お口の中の細菌を減らし、口臭や虫歯、歯周病を予防する効果があります。

しかし、菌を減らすことはできますが、菌が減ったからといって虫歯や歯周病を治せるわけではありません。

虫歯や歯周病を治すには、歯医者での治療が必要になります。

デンタルリンスとの違い

市販されている似たような商品で、マウスウォッシュの他にデンタルリンスがあります。

どちらも液体の商品ですが、マウスウォッシュはお口をすすぐ洗口液で、デンタルリンスは歯磨き粉の代わりに使う液体歯磨きなので、使用方法が全く異なります。

似たようなパッケージが多く違いがわかりにくいですが、購入の際に間違わないようにしましょう。

②マウスウォッシュの効果

口臭の予防

口臭は、お口の中の細菌が食べ物の残りカスなどを分解することで発生します。

マウスウォッシュの使用でお口の中の細菌数を減らすことができるため、口臭を予防する効果があります。

ミントフレーバーなど爽やかな味のものが多いので、使用後にすっきりとした爽快感を得られます。

虫歯の予防

マウスウォッシュの中にはフッ素が含まれている商品があり、虫歯予防に効果的です。

フッ素は歯磨き粉にも含まれていますが、マウスウォッシュは液体のため歯ブラシでは届きにくい噛み合わせの溝や、歯と歯の間の隙間などの細かいところにまでフッ素を行き渡らせることができます。

歯医者で販売している歯科専売品のものは、市販のものよりフッ素が多く含まれており、虫歯予防効果も高いです。

歯周病の予防

歯周病の原因となる菌を殺菌するため、歯周病予防にも効果的です。

殺菌成分(イソプロピルメチルフェノール、塩化せちるピリジニウムなど)や、抗炎症成分(グリチルリチン酸、トラネキサム酸など)が配合されているものがおすすめです。

プラークをつきにくくする

プラーク(歯垢)は細菌の塊でできています。マウスウォッシュの殺菌作用によりお口の細菌を減らすことができるため、プラークの付着を抑制する効果が期待できます。

清潔な息

使わない方が良いと言われる理由

お口のケア用品として便利なマウスウォッシュですが、使わない方が良いと言われることもあります。それは何故なのでしょうか?その理由を解説します。

①アルコールによる作用

口腔乾燥

マウスウォッシュにはアルコールの成分が配合されているものと、配合されていないものがあります。

アルコール成分配合のものは、爽快感が強くスッキリします。しかし、アルコールは刺激が強く揮発性も高いため、お口の中の乾燥に繋がることがあるとも言われています。

私は、アルコール成分が配合されているタイプと、配合されていないタイプの両方を使用したことがありますが、アルコール成分が配合されているものは、かなり刺激が強くピリピリとしてしまい、長い間お口の中に留めておくことができませんでした。

その刺激が好きという方もいらっしゃいますが、特にそういった好みがないようであれば、アルコール成分が配合されていないものがおすすめです。

唾液の減少

マウスウォッシュを使用しすぎると、アルコールの作用によって唾液を減らしてしまい、お口の中の乾燥に繋がります。

唾液にはお口の中の細菌を洗い流す自浄作用があるため、唾液の量が減ってしまうと、虫歯や歯周病になりやすくなってしまいます。

マウスウォッシュの中には、唾液の分泌を促す成分が配合されているものもあります。

唾液の減少が気になる方は、そういった保湿効果の高いものがおすすめです。

対象者が限られる

アルコール成分が配合されているものは、アルコール過敏症の方、妊娠中の方や子供には向かないため、そのような方はノンアルコールタイプを使用しましょう。

②健康な細菌の排除

必要な常在菌

お口の中には体に害を及ぼす悪い菌だけでなく、必要な常在菌も存在しています。

マウスウォッシュは悪い菌だけでなく、そういった健康な細菌も洗い流してしまう可能性があるため、注意が必要です。

口内環境の乱れ

健康な細菌が洗い流されることで、お口の中の環境が乱れてしまい、口内炎ができやすくなってしまったり、お口のトラブルの原因となってしまいます。

口腔内の細菌

効果的に使うためには

マウスウォッシュを効果的に使うためには、どのようなことに注意すれば良いのでしょうか。注意点について解説します。

①使用上注意すること

すぐに吐き出さない

マウスウォッシュをお口に含んでからすぐに吐き出してしまうと、せっかく使用しても殺菌の効果が得られません。

効果的に使用するためには、20〜30秒ほどお口の中でキープする必要があります。

また、使用した後はすぐに水ですすいでしまうと効果が薄れてしまうので、すすがないように気をつけましょう。

フッ素入りの歯磨き粉との併用

フッ素入りの歯磨き粉を使用した後にすぐマウスウォッシュを使用すると、歯磨き粉のフッ素の成分が洗い流されてしまいます。

日中は水分をとる機会も多く、元々フッ素の成分も流されやすいので、マウスウォッシュは朝やお昼などのタイミングでの使用がおすすめです。

夜寝る前にマウスウォッシュを使用したい場合は、フッ素が配合されているものの使用がおすすめです。

回数

口臭などが気になると、1日に何回もマウスウォッシュを使用したくなってしまいますが、使いすぎるとお口の中に必要な常在菌まで洗い流してしまいます。

1日1〜3回程度の使用に留めましょう。

歯磨きはちゃんとする

マウスウォッシュは歯磨きの代わりにはなりません。

歯にこびりついたプラークを落とすには、歯ブラシでこすって落とす必要があります。

歯磨きをせずにマウスウォッシュのみでセルフケアを完了させてしまうと虫歯や歯周病のリスクは防ぐことができないので注意しましょう。

②使用しない方が良い場合

トラブル

お口の中に傷や強い炎症などがある状態でマウスウォッシュを使用すると、刺激を与えてしまうことがあります。

そのような症状がある場合は使用を控えましょう。

年齢

子供の場合、マウスウォッシュの成分は刺激が強く、痛みや粘膜のトラブルの原因になることがあります。

対象年齢をしっかり確認して使用しましょう。

どうしても使用したい場合は、子供用のマウスウォッシュを選びましょう。

マウスウォッシュを使用する人

まとめ

マウスウォッシュを使用しすぎたり間違った方法での使用は、トラブルの原因となってしまったり効果が得られないこともあるので、注意する必要があります。

しかし正しく使用すれば、お口のケアにとても役立つアイテムです。虫歯や歯周病の予防効果以外にも、使用後の爽快感でとてもスッキリとした感覚が得られます。

今まで使用していなかった方も、ぜひ一度使ってみてください。

この記事を監修した人

医療法人社団周優会 常務理事 笠原幸雄

医療法人社団周優会
常務理事 笠原幸雄

所属学会

東京シティー日本橋ロータリークラブ会員
お江戸日本橋歯科医師会選挙委員会 委員長
一般社団法人 日本橋倶楽部会員
東京科学大学歯学部 東京同窓会参与

略歴

私立開成高校卒業
早稲田大学理学部卒業
東京医科歯科大学歯学部卒業
東京医科歯科大学病院勤務
笠原歯科医院 蔵前開設
医療法人社団寿幸会 笠原歯科医院 人形町開設
医療法人社団周優会 日本橋グリーン歯科 常務理事
医療法人社団寿幸会 笠原歯科医院 六本木開設