デンタルニュース

歯医者での麻酔が切れない?効果時間と対処法

デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。

「歯医者さんで麻酔したけど、思っていたより麻酔が切れない…いつまで効いてるの?」

「麻酔が効いたままだけど、食事はどうしたらいいの?」

歯医者の治療で麻酔をした後、なかなか麻酔の効果が切れなかったり、事前に食事の予定を入れてしまっていたということがあるかもしれません。

今回は、麻酔の効き時間と、麻酔が効いている時の注意事項について解説します。

思っていたより麻酔が切れなくて困っている方や、これから麻酔をする処置を控えている方はぜひ参考にしてみてください。

麻酔の効く時間は2〜6時間

通常の麻酔の場合は1〜3時間

歯科で通常使用されている麻酔は、「浸潤麻酔」と呼ばれています。

浸潤麻酔は痛みを取りたい歯の付近の歯茎に注射をして、麻酔薬が浸透したところの感覚を麻痺させる方法です。

浸潤麻酔の場合、効き目は1〜3時間程度になります。

例外として、アドレナリンの使用ができない患者さん(動悸や血圧の上昇が禁忌な方)が使用する麻酔薬は、通常使用される麻酔薬より持続効果が短く、30分程度の効き目になります。

伝達麻酔の場合は4〜6時間

「伝達麻酔」とは、浸潤麻酔より広範囲に麻酔を効かせることができる方法です。神経の周囲に麻酔することで、下唇や舌などの広範囲に長時間効きます。

歯医者では、親知らずの抜歯をする時にこの麻酔法を行うことが多いです。

伝達麻酔の場合、効き目は4〜6時間程度になります。

私も過去に、親知らずの抜歯で伝達麻酔をしてもらったことがあるのですが、夕方に麻酔をしてから寝る前の22〜23時頃まで麻酔の効果が効いていました。

伝達麻酔をするような外科処置の場合は、大掛かりな処置であることが多いです。私の場合も、歯茎を切って骨を削る必要があるような抜歯でした。

そのような大掛かりな処置の場合は、麻酔が切れた後に傷口の痛みが出てしまうので、麻酔が切れる前に痛みどめの薬を飲んでおいたり、私のように夕方〜夜に処置を行った場合は麻酔が切れる前に早めに寝てしまうのがお勧めです。

麻酔の効果には個人差がある

浸潤麻酔も伝達麻酔も人によって効き目に個人差があります。

そのため、麻酔を打っている側の歯医者でも、麻酔の効果時間を正確に予測することは難しいです。

歯医者で「麻酔は◯時間くらい効いてます」「お食事は◯時間後にとってください」など声かけをされることがあるかもしれませんが、あくまで一般的な目安の時間なので、言われた時間を過ぎても麻酔が切れない場合でも焦らず待ちましょう。

必ず麻酔は切れるので、安心してください。

私は今までの経験で、歯科治療で麻酔をされた方を何人も見てきましたが、早い方だと、まだおうちに帰られる前に麻酔が切れてきたという方もいました。

本当に効き目には個人差があると感じています。

 

麻酔が効いている時に注意すること

食事

歯医者で「お食事は麻酔が切れてから」と言われることが多いと思います。

なぜ麻酔が効いている間に食事をしてはいけないのか?

麻酔が効いている間に食事をとっても、体の内部に何か悪影響が出るわけではありません。

しかし、麻酔をすると治療している歯だけでなく、周りの頬や唇まで感覚がなくなります。感覚がない時に食事をしてしまうと、誤って頬や唇を噛んでしまったり、熱いものに気がつかず火傷をしてしまうリスクがあるため、麻酔が切れた後に食事をするよう勧めています。

とは言え、麻酔がなかなか切れないうちに食事の時間になってしまったり、食事の約束を入れていた場合もあるかもしれません。また、夜遅くに麻酔の処置をした場合、食事せずに寝るわけにもいきません。

その場合は、あまり噛む必要がない柔らかいものや、熱いものを避けてぬるめの温度のものを選ぶようにしましょう。

また、勢いで頬を噛んでしまうことがないよう、気をつけてゆっくり食事するようにしましょう。

アルコールを控える

麻酔とアルコールの場合も、食事と同じように体に悪影響が出るわけではありませんが、麻酔をするような虫歯や抜歯などの治療をした場合は、アルコールを避ける必要があります。

アルコールを摂取して血行が良くなることで、傷の治りが遅くなったり、痛みや腫れを引き起こす可能性があるためです。

付き合いなどでどうしても飲酒しなければならない場合は、少量にとどめる、水分補給をする、無理に飲酒せず治療部位の回復を優先するようにしましょう。

とは言え前述した通り、付き合いの場でも飲酒しなくて済む場合はしない方がベターです。

触らない

麻酔をしたことで頬や唇の感覚がなくなっているので、気になって触ってしまうことがあるかもしれません。

しかし、触り過ぎたり引っ張ったりすると、知らないうちに粘膜が傷ついてしまうことがあります。

その時は痛みがなくても、麻酔が切れた後に痛みが出てしまうので、むやみに触らないよう気をつけましょう。

特に子供の場合は、面白がってわざと頬を噛んでみたり、引っ張ってしまうこともあるので注意しましょう。

まとめ

歯医者で治療をしていると、予定していなくても急に麻酔をする必要があるかもしれません。また、予想してした時間よりなかなか麻酔が切れない場合もありますが、できるだけ麻酔が切れてから飲食をしましょう。

麻酔をすると最初からわかっている場合は、その後は予定を入れない、先に食事しておくなど事前に準備をしておくと、後々困らずに過ごせるのでお勧めです。

この記事を監修した人

医療法人社団周優会 常務理事 笠原幸雄

医療法人社団周優会
常務理事 笠原幸雄

所属学会

東京シティー日本橋ロータリークラブ会員
お江戸日本橋歯科医師会選挙委員会 委員長
一般社団法人 日本橋倶楽部会員
東京科学大学歯学部 東京同窓会参与

略歴

私立開成高校卒業
早稲田大学理学部卒業
東京医科歯科大学歯学部卒業
東京医科歯科大学病院勤務
笠原歯科医院 蔵前開設
医療法人社団寿幸会 笠原歯科医院 人形町開設
医療法人社団周優会 日本橋グリーン歯科 常務理事
医療法人社団寿幸会 笠原歯科医院 六本木開設