デンタルニュース

前歯と奥歯のインプラントって同じ?それとも違う?

日本橋の歯医者「日本橋グリーン歯科」デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。

インプラント治療と聞くと、「どこに入れても同じ治療」というイメージを持たれる方も多いかもしれません。

ですが、実際には前歯と奥歯では役割も治療で大切になるポイントも少し違うことがあります。

前歯は、笑ったときや話したときによく見えるため、見た目の自然さや歯ぐきとのバランスがとても大切になります。

一方で奥歯は、毎日の食事をしっかり支える場所です。強い噛む力に耐えられる安定性が大切になります。

日々患者さんと関わっていると、前歯では「見た目の自然さ」、奥歯では「しっかり噛める安心感」と、心配されるポイントも少し違うと感じています。

この記事では、前歯と奥歯のインプラントの違いをお伝えしていきます。

これからインプラント治療を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

口を開いた様子

前歯と奥歯のインプラントの役割はこんなに違う

①前歯の役割

笑ったとき・話したときに見える審美性

前歯は、笑ったときや会話中にいちばん目に入りやすい部分です。

そのため、インプラントでは「噛めるようになる」だけではなく、「自然に見えること」もとても大切になります。

歯の色だけでなく、長さや角度、歯ぐきとの境目のラインまで、細かな部分が見た目の印象を左右します。

診療をしていると「周りの人にインプラントと気づかれたくない」「できるだけ今まで通りの見た目にしたい」とお話しされる方が多く、それだけ前歯には見た目の役割が大きいと感じます。

発音や表情との関わり

前歯は、言葉を発音するときにも大きく関わっています。

特に「サ行」や「タ行」など、歯と舌・唇が関係する音は、前歯の形や位置によって微妙に発音が変わることがあります。

また、前歯は表情づくりにも影響しているため、見た目・笑い方・話し方まで含めて生活の中での自然さが求められる部分だと感じています。

②奥歯の役割

食事の中心を支える大切な部分

一方、奥歯は見た目よりも機能が中心の歯です。

食事のときに大きな力で噛む役割を担い、食べ物をすりつぶして消化を助ける重要な仕事をしています。

奥歯がしっかりしていないと、「硬いものが噛みにくい」「片側だけで噛んでしまう」といった負担が出やすくなり、食事の満足度や顎への負担にもつながります。

強い力に耐える設計が必要になる理由

奥歯は前歯よりも強い噛む力がかかるため、インプラントにはより高い安定性が求められます。

本数のバランスや噛み合わせ全体との調和を考えながら、「長く安心して噛める」状態を作ることが大切です。

歯科衛生士として日々患者さんと関わる中でも、「とにかくしっかり噛めるようになりたい」という声を奥歯の相談では多く感じます。

それだけ生活の質に直結する部分なのだと思います。

食事をする女性

前歯のインプラントが難しいと言われる理由

①見た目を自然に仕上げる難しさ

歯ぐきの形やラインまで影響する

前歯のインプラントでは「歯そのもの」だけでなく、その周りの歯ぐきの形やラインまで含めて整える必要があります。

少し歯ぐきが下がっただけでも歯が長く見えてしまったり、左右のバランスが崩れて見えてしまうことがあります。

診療の中でも、「歯の色や形だけでなく、歯ぐきまで自然に見せたい」というご希望はとても多く、見た目の美しさをどこまで追求するかが前歯のインプラントの大きなポイントだと感じます。

ほんの少しのズレでも印象が大きく変わる

前歯は、笑ったときや話したときに真正面から見える部分です。

そのため、角度がほんの少し違うだけでも「なんとなく違和感がある」と感じてしまうことがあります。

歯の位置・角度・長さが少し変わるだけで、笑ったときの印象が大きく変わるため、仕上がりにはとても繊細な調整が必要になります。

診療では患者さんと鏡や仮歯を使いながら、「これなら安心して笑える」と思える状態を一緒に確認していくことが大切だと日々感じています。

②骨や歯ぐきの量が仕上がりに直結

前歯の骨は薄くて繊細なことが多い

前歯の部分はもともと骨が薄いことが多く、抜歯して時間が経つと骨や歯ぐきが下がってしまう場合があります。

骨が足りないとインプラントをしっかり支えにくくなるため、治療前に骨の量や厚みを丁寧に確認することが欠かせません。

実際の診療でも、見た目は大丈夫そうに見えても精密検査をすると骨が少なくなっていることがあり、「前歯はやっぱりデリケートだな」と感じる場面が多くあります。

場合によっては歯ぐきや骨を整える治療が必要

前歯で自然な見た目と安定した機能を目指すために、必要に応じて骨を補ったり、歯ぐきの厚みを整えたりする治療を組み合わせることがあります。

これは決して「大変な治療」という意味ではなく、より自然で安心できる仕上がりを目指すための大切な過程です。

患者さんの表情や笑い方まで想像しながら治療を組み立てていくのが、前歯のインプラントの大きな特徴です。

輝く口元

奥歯のインプラントが難しいと言われる理由

①強い噛み合わせの力に耐える必要がある

毎日の食べる力を受け止める場所

奥歯は、毎日の食事を支えるとても大切な歯です。

硬いものを噛んだり食べ物をしっかりすりつぶしたりする役割があり、前歯よりもずっと大きな力がかかります。

そのため、奥歯のインプラントは「入れられればいい」というわけではなく、しっかり支えとして働けるかどうかがとても大切になります。

歯科衛生士として患者さんのお口を見ていると、奥歯のインプラントは「毎日の食生活を守る土台」のような存在だと感じます。

本数や位置のバランスも大切

奥歯を何本か失っている場合、「どこにインプラントを入れるか」「何本必要か」といったバランスもとても大切になります。

もし力が一ヶ所に集中してしまうと、その部分だけに負担がかかり、トラブルにつながりやすくなってしまいます。

だからこそ治療前の段階でしっかり計画を立て、「無理なく噛める状態」を一緒に考えていくことが大切です。

実際にお話していると、奥歯の相談では「しっかり噛めるようになりたい」という声がとても多く、それだけ生活の安心感に直結している歯なんだと実感しています。

②骨の状態が治療を左右することがある

奥歯は骨が少なくなっていることがある

奥歯を失って時間が経つと、その部分の骨がやせてしまうことがあります。

特に上の奥歯は、鼻の奥にある空洞(上顎洞)の影響で、骨の高さが足りなくなっている場合もあります。

見た目には問題がないように感じても、実際に検査をしてみると「思っていたより骨が少なくなっていた」ということもあり、奥歯ではこの骨の状態がとても大きなポイントになります。

必要に応じて土台づくりから進めることも

安心して長く使えるインプラントにするために、骨が足りない場合は必要に応じて骨を補う治療を行うことがあります。

これは決して特別なことではなく、家を建てる前に地盤を整えるように、しっかりした土台をつくるためだと思っていただけるとイメージしやすいかと思います。

治療の過程を丁寧に進めていくことで、その後も安心して使い続けていただける確率がぐっと高まると感じています。

インプラント

治療の流れや判断ポイントも少し違う

①前歯の場合に大切にしていること

見た目と機能、どちらも無理なく両立させる

前歯のインプラントでは「噛めるようにすること」と同じくらい、見た目の自然さも大切に考えています。

たとえば周りの歯との色のなじみ方や、並び方のバランス、笑ったときの見え方など生活の中で自然に感じられる状態を目指して治療を進めていきます。

患者さんと鏡を見たり仮歯で確認したりしながら、「これなら安心して笑える」と思っていただける形を一緒に整えていくことが、とても大切なポイントだと感じています。

仮歯の期間が重要になることもある

前歯の場合、すぐに最終的な歯を入れるのではなく、仮歯の期間を大切にすることがあります。

これは見た目や噛み心地を確認しながら、歯ぐきの形や笑ったときのラインを整えていくためです。

この期間があることで患者さん自身も「自分に合った前歯ってこういう感じなんだ」と少しずつ慣れていけるので、仕上がりへの安心感にもつながっていると感じます。

②奥歯の場合に大切にしていること

長くしっかり噛める安定性を第一に

奥歯のインプラントでは、見た目よりもしっかり噛めることがいちばんの目標になります。強い力がかかる場所なので「長く安定して使えるか」「無理なく力を支えられるか」がとても大切です。

そのため、治療の計画段階から噛み合わせや力のかかり方を丁寧に確認し、安心して使い続けられる状態を目指して進めていきます。

お口全体のバランスを一緒に考える視点

奥歯の場合欠けている部分だけを見るのではなく、お口全体の噛み合わせや残っている歯とのバランスも一緒に考えます。

左右どちらかだけに負担がかからないようにしたり、全体として無理のない噛み方ができるように整えていくことが大切です。

歯科衛生士としてサポートしている中でも、奥歯の治療は「その歯だけ」ではなく「お口全体の快適さ」につながる治療だと感じています。

歯医者で相談する様子

まとめ

前歯のインプラントと奥歯のインプラントは、同じ治療のように感じられることが多いですが、実はそれぞれに大切な役割や気をつけるべきポイントがあります。

前歯は「自然で自分らしい見た目」を、奥歯は「しっかり噛める安心感」を大切にしながら、それぞれに合った方法で治療やケアを進めていくことが大切です。

歯科衛生士として感じるのは、「どこにインプラントを入れるか」以上に、「その方がどんな毎日を過ごしたいか」「どんなことを大切にしているか」を一緒に考えていくことが、とても大切だということです。

もし、「前歯と奥歯、どちらが難しいの?」「自分の場合はどうだろう?」と迷うことがあれば、そのまま抱え込まずいつでもご相談ください。

この記事を監修した人

医療法人社団周優会 常務理事 笠原幸雄

医療法人社団周優会
常務理事 笠原幸雄

所属学会

東京シティー日本橋ロータリークラブ会員
お江戸日本橋歯科医師会選挙委員会 委員長
一般社団法人 日本橋倶楽部会員
東京科学大学歯学部 東京同窓会参与

略歴

私立開成高校卒業
早稲田大学理学部卒業
東京医科歯科大学歯学部卒業
東京医科歯科大学病院勤務
笠原歯科医院 蔵前開設
医療法人社団寿幸会 笠原歯科医院 人形町開設
医療法人社団周優会 日本橋グリーン歯科 常務理事
医療法人社団寿幸会 笠原歯科医院 六本木開設