2025-04
虫歯じゃないのに歯が痛い!原因と対処法
日本橋にある歯医者「日本橋グリーン歯科」デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。
「虫歯じゃないと言われたのに歯が痛い…」
「歯が痛いけど、原因がわからない」
そんなことはありませんか?
歯が痛い症状があるとまず最初に思い浮かぶのが虫歯ですが、実は虫歯以外でも歯が痛くなる原因はたくさんあるのです。
歯が痛む原因には、歯自体が直接関係して起きている場合と、歯とは関係がないのに痛みが起きている場合があります。
この記事では、虫歯以外で歯が痛い時に考えられる原因について解説しています。
虫歯チェックをしてもらったばかりなのに歯が痛くなった、歯が痛いけど原因がわからない、という方はぜひ参考にしてみてください。
歯が痛む原因
虫歯以外で歯が痛む原因には、歯が直接関係する原因によって痛みが出ている場合と、歯以外の原因によって痛みが出ている場合があります。
歯に痛みがあると「虫歯かな?」と考えがちですが、実は様々な原因が考えられます。
ひとつずつ解説していきます。
①歯が直接関係する原因
噛み合わせが合わない
歯の噛み合わせが悪く、強く当たりすぎている部分があると、歯根膜と呼ばれる歯と骨の間の部分に炎症が起きてしまいます。
被せ物の治療後に高さが合わなかったり、歯が動いてしまい噛み合わせが合わなくなったりすることで起こります。
歯が割れている
歯が割れて神経の部分が出てしまっていたり、割れた部分が神経に近い場合は、冷たいものや熱いもので歯が痛む、歯がしみる、ズキズキ痛む、などの症状が現れます。
歯の内部で根っこが割れている場合、噛んだ時に違和感や痛みがあったり、ズキズキとした痛みや、歯肉の腫れの痛みを感じることがあります。
神経を取って歯の治療をおこなった歯は強度が落ちてしまうため、気がつかないうちに歯にヒビが入っていたり割れたりすることがあります。
歯の根っこに膿が溜まっている
神経のない歯は、歯の内部に免疫細胞がなく、細菌感染しやすいです。
細菌に感染すると、歯の根っこに膿が溜まることがあります。
神経がないのでしみることはありませんが、噛むと痛みがあったり、歯が浮いたような感じがする、叩くと違和感があるなどの症状があります。
知覚過敏
知覚過敏は、歯の表面のエナメル質が削れ、内部の象牙質が露出することで歯がしみたり痛みを感じる症状です。
過度なブラッシング圧で歯ぐきが下がってしまったり、歯ぎしり・食いしばりなどで歯がすり減ることによって、象牙質が露出して、痛みが出てしまいます。
知覚過敏の程度によって、冷たい飲み物や食べ物などで症状が出る場合もあれば、歯ブラシが当たることで痛むこともあります。
私は、以前歯が痛んだ時に虫歯かと思ったら知覚過敏だったという経験があります。患者様の中でも、「虫歯っぽいので診てほしい」とおっしゃられた方を確認すると知覚過敏だったということはよくありました。
知覚過敏も虫歯もしみるという症状が似ているので、間違えられやすいです。
知覚過敏の場合は、冷たいものに触れた時や、歯ブラシが当たった時など一時的な症状になります。一方虫歯の場合は、何もしてない時にも継続的にズキズキと痛みが続きやすいです。
食べかすが詰まっている
歯と歯の間に食べかすが詰まってしまい、歯ぐきに炎症が起きている場合に痛みを感じます。実際は歯ではなく歯ぐきに痛みがある状態なのですが、歯が痛いと感じてしまうことも多いです。
食べかすを取り除くことで、すぐに歯ぐきの炎症は治ります。
歯周病
歯周病は初期の段階では痛みを感じることはないですが、歯周病によって歯ぐきが下がると、象牙質が歯ぐきの外に露出してしまうため、知覚過敏の症状として痛みが出てしまう場合もあります。
また、歯周病が進行してくると、歯ぐきに膿が溜まって腫れてしまい、痛みが出る場合もあります。
親知らず
親知らずは他の歯のようにまっすぐ生えずに、斜めに生えてしまうことが多いです。
斜めに生えることで、手前の歯との間に磨き残しができ、周囲の歯ぐきに炎症が起こることで痛みが出やすいです。また、手前の歯を圧迫してしまい痛みを感じる場合もあります。
歯ぎしり・食いしばり
歯ぎしりや食いしばりをすることによって歯が削れたり、かけてしまうと、歯がしみる場合があります。
また歯に強い力が加わるので、歯根膜が損傷し、噛むと痛みが出る場合もあります。
②歯以外の原因
副鼻腔炎(上顎洞炎)
副鼻腔とは、鼻の周囲にある空洞です。風邪の菌やアレルギーなどで炎症が起きると、鼻水や膿が溜まってしまい副鼻腔炎となります。
副鼻腔は4種類に分かれており、そのうちの1つの鼻の横の空洞が上顎洞です。この上顎洞に炎症が起きると、歯の神経が圧迫され、歯に痛みが出る場合があります。
三叉神経痛
三叉神経痛とは、三叉神経が圧迫されるなど何か損傷を受けると発症すると言われています。顔や歯に触れるだけで痛いほどの、激しい痛みが起こります。
三叉神経痛は歯の痛みが起こることから、初めは虫歯かと思い歯科にかかる方が多いようです。
頭痛
偏頭痛や群発頭痛が歯の痛みを引き起こすことがあります。
頭の神経と歯の神経が近くにあるため、頭の痛みと歯の痛みがお互い影響し合うことで起こります。
筋肉の痛み
顎や口の周りの筋肉が疲れていたり炎症を起こしていたりすると、筋肉の中にしこりができ、歯が痛いと感じることがあります。
気圧によるもの
気圧の変化する環境にいる時に、歯の内部で圧力差が生じ、痛みが出ることがあります。
登山や飛行機などで起こりやすいです。
心臓の病気
狭心症や心筋梗塞などの心臓の病気によって、歯の痛みが引き起こされることがあります。
胸や顔、歯に数分から20分程度痛みが起きます。
ストレス
ストレスによって歯ぎしり・食いしばりが無意識に起こっていたり、免疫力が低下し歯ぐきの腫れを引き起こすことで、歯が痛いと感じることがあります。
歯が痛い時の対処法
①歯科医院へ行く
痛みの原因を特定する
歯に痛みを感じたら、まずは歯科医院を受診しましょう。
歯が原因となっている場合であればすぐに治療ができますし、歯以外に痛みの原因がある場合にも、痛みの原因を予測したり、受診するべき科についてのアドバイスを受けることができます。
症状を正確に伝える
痛みの症状を正確に伝えることで、原因の特定に役立ちます。
いつ頃から、どのような時にどのような痛みがあったのか記録しておきましょう。
②自宅でできる応急処置
痛み止めを飲む
その場凌ぎではありますが、すぐに歯科医院にかかれない時などは市販の痛み止めの服用で痛みを和らげることができます。
患部を冷やす
炎症が起きて痛みが出ている場合、患部を冷やすことで痛みが和らぎます。
控えた方が良い行動
歯が痛む時は、入浴、飲酒、運動などの、血行が良くなる行動は控えましょう。
まとめ
歯の痛みは、虫歯以外にもさまざまな原因が考えられます。
痛みの原因によって治療法が異なるため、自己判断せずにまずは歯医者を受診しましょう。
歯医者を受診すれば、すぐに痛みが無くなるというわけではありませんが、受診することで原因の特定や治療法が見つかります。不安を軽減するためにも、まずは相談してみましょう。
また、日頃から歯医者での定期検診やメンテナンスを受けることで、早期発見・早期治療に繋がります。
歯の健康を維持するためにも、定期的な歯医者への受診を心がけましょう。
電動歯ブラシと普通の歯ブラシはどっちが良いの?
日本橋にある歯医者「日本橋グリーン歯科」デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。
「電動歯ブラシって良さそうだけど、高いし…実際普通の歯ブラシとどっちが良いの?」
「自分の場合は電動歯ブラシと普通の歯ブラシどっちが向いてる?」
電動歯ブラシに興味はあるけど、普通の歯ブラシと比べてそんなに良いものなのか疑問に思っている方もいらっしゃると思います。
電動歯ブラシは普通の歯ブラシと比べると高額なので、購入を悩む方もいるかもしれません。
この記事では、電動歯ブラシや普通の歯ブラシのメリット・デメリットに加えて、それぞれの歯ブラシに向いている人についても解説しています。
電動歯ブラシの購入を迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
電動歯ブラシの特徴
電動歯ブラシと言ってもいくつかの種類があり、それによって値段や効果のほども変わってきます。
ここでは、電動歯ブラシの種類とメリット・デメリットについて解説します。
①電動歯ブラシの種類
振動型
ブラシのヘッドが前後に振動することで、プラーク(歯垢)を除去します。本体が小さめで軽いものが多く、持ち運びもしやすいです。また、比較的安価で購入できます。
普通の歯ブラシと形も似ているため、電動歯ブラシ初心者でも使いやすいです。
使用する際は、普通の歯ブラシと同じ要領で動かします。
回転型
ブラシ部分が丸く、回転する動作でプラークを除去します。1本ずつ、毛先を当ててゆっくりと移動させ磨きます。
歯を1本ずつしっかり丁寧に磨きたい方におすすめです。
音波型
細かな音波振動によって、プラークを除去します。
音波振動は、毛先が当たらない周囲2〜3ミリ部分のプラークを落とすことができます。普通の歯ブラシで届きにくい歯と歯の間や、浅い歯周ポケット内のプラークの除去も可能です。
そのため、効率よく短時間でプラークを落とすことに優れています。
ゴシゴシと動かす必要はなく、ゆっくり横にずらすように動かします。
超音波型
音波型よりも、さらに細かく振動します。
振動が細かく毛先の動きが小さいため、普通の歯ブラシのように動かす必要があります。
②電動歯ブラシのメリット
効率的に使える
電動歯ブラシは自動で振動するので、普通の歯ブラシに比べて短時間でプラークを落とすことができます。
また、音波型の電動歯ブラシの場合、普通の歯ブラシでは届きにくい歯周ポケット内の清掃もできます。
電動歯ブラシの種類にもよりますが、ブラシの形状のラインナップが豊富なものもあり、自分の好みやお口の中の状況に合わせてブラシを選べるものもあります。
疲れにくい
細かく動かす動作を自分で行う必要がないため、疲れにくいです。
一見普通の歯ブラシよりも重さがあるので、持ち続けるのが大変なのではないかと思われますが、普通の歯ブラシよりもブラッシング時間が短縮できるのでそこまで疲れることはないでしょう。
簡単に使える
自動で細かい動きをしてくれるので、複雑なブラッシングのテクニックや手先の器用さがなくてもしっかりプラークを落とすことができます。
③電動歯ブラシのデメリット
価格が高い
電動歯ブラシは普通の歯ブラシに比べて購入費用が高く、数千円〜数万円するものまで幅広くあります。
また、1回買ってしまえばOKというわけではなく、替えブラシの交換費用や、電池や充電も必要です。
歯や歯ぐきへの負担
正しい力加減で当てる分には問題はないですが、強い力で当ててしまうと、歯や歯ぐきにダメージを与えやすいです。
また、電動歯ブラシの振動が苦手で使用できないという方もいます。私も電動歯ブラシを使用したことがありますが、振動がくすぐったく感じ、慣れるまで少し時間がかかりました。
磨けている気になりやすい
電動歯ブラシのしっかりした振動から、磨けていなくても磨けている気になりやすいです。
「電動歯ブラシを使っているから歯磨きは大丈夫」というわけでなく、しっかり正しい位置に当てる必要があります。
普通の歯ブラシの特徴
日頃何気なく使用している手動タイプの普通の歯ブラシも、電動歯ブラシと比べたときに様々なメリットとデメリットがあります。
①普通の歯ブラシのメリット
安価である
数百円から購入できるので、1ヶ月に1回の歯ブラシの交換があったとしても、電動歯ブラシより低コストで済みます。
持ち運びしやすい
電動歯ブラシと比べて軽くコンパクトなため、外出先でも持ち運びがしやすいです。
どこでも手に入る
普通の歯ブラシは、ドラッグストア以外にコンビニやスーパーでも販売しているため、いつでも購入できます。
種類が豊富
電動歯ブラシに比べて、各メーカーが様々な種類の歯ブラシを出しているので、たくさんの種類があります。
そのため、毛先の柔らかさや形など、自分の好みのものを選ぶことができます。
②普通の歯ブラシのデメリット
時間がかかる
普通の歯ブラシは全ての動きを手動で行う必要があります。そのため、細かいところまで全て磨き終わるには時間がかかります。
人にもよりますが、私の場合はフロスを含めた1回のセルフケアで5〜10分程度かかります。
ブラッシングの技術が必要
電動歯ブラシと比べて細かい動きを自分で行う必要があるので、正しい動かし方を習得していないと磨き残しが残りやすいです。
どっちを使うべきか
電動歯ブラシと普通の歯ブラシのどちらも、正しく使用すれば大きな差はなく綺麗にプラークを除去できます。そのため、使用する人の状況によってどっちの使用が向いているか変わってきます。
ここでは、電動歯ブラシと普通の歯ブラシ、それぞれ向いている人の特徴をご紹介します。
①電動歯ブラシが向いている人
時間がない方
毎回の歯磨き時間をしっかり確保しにくい方は、電動歯ブラシの使用がおすすめです。
だいたいの電動歯ブラシは、2分間程度で全て磨き終わる設定になっています。
細かい動きが苦手な方
歯を磨くことに欠かせない、細かく動かす動作を電動歯ブラシは自動でやってくれます。
音波歯ブラシであれば、歯に当てて横に動かしていくだけで磨けるので、細かい動作が苦手な方におすすめです。
着色汚れがつきやすい方
電動歯ブラシの種類にもよりますが、ホワイトニングモードなどを搭載しているものもあり、そちらは歯の着色汚れを落とすことに特化した機能がついています。
普通の歯ブラシでは着色汚れは落とすことができないので、着色汚れがつきやすい方におすすめです。
②普通の歯ブラシが向いている人
コストを抑えたい方
普通の歯ブラシの特徴でも述べた通り、数百円から購入できるのでコストを抑えられます。
正しいブラッシング法をしっかり行えていれば、普通の歯ブラシでも十分プラークの除去は可能なので、費用面でのコストを抑えたい方は普通の歯ブラシでしっかり磨くことをおすすめします。
ブラッシングの時間を取れる方
普通の歯ブラシは、電動歯ブラシのように2分程度で綺麗に磨き切るのは難しいです。
磨き方や個人差もありますが、しっかり磨こうと思うと10分程度の時間の確保が必要な場合が多いでしょう。
まとめ
電動歯ブラシであっても、普通の歯ブラシであっても、どっちも正しく使用することで効果が発揮されます。
自己流の磨き方にならないよう、正しい方法で使いましょう。
もし磨き方や使い方に不安がある場合は、歯医者でブラッシング指導を受けることで、自分のお口の中に適した使用方法をレクチャーしてもらえるので、定期検診やメンテナンスの際に相談してみましょう。
マウスウォッシュの効果について解説!使わない方が良いと言われる理由は?
日本橋の歯医者「日本橋グリーン歯科」デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。
皆さんは、「マウスウォッシュ」を使用していますか?
歯ブラシ以外にフロスや歯間ブラシを使用している方は多いですが、マウスウォッシュを使用している方は少ないのではないでしょうか?
株式会社サンスターが世界15カ国で実施したグローバル調査によると、日本はマウスウォッシュの使用率が最下位だそうです。※1
マウスウォッシュは、正しく使用することでさまざまな効果が得られますが、間違った使い方をするとその効果が得られないため、使い方に注意が必要です。
この記事では、マウスウォッシュを使用することで得られる効果と、使用上の注意点や正しい使い方について解説しています。
今までマウスウォッシュをなんとなく使っていた方や、気になっていたけどまだ使ったことがない方は、ぜひ参考にしてみてください。
※1引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000319.000005120.html
マウスウォッシュとは
マウスウォッシュは、口臭の予防や、虫歯や歯周病を予防する効果のある洗口液です。
似たような商品でデンタルリンスがあります。その違いについても解説します。
①マウスウォッシュの目的
口臭の予防や殺菌
市販のマウスウォッシュには、「化粧品」と「医薬部外品」があります。
「化粧品」は薬用成分を含まないので、口の中を洗浄することによる一時的な口臭予防の効果のみになりますが、「医薬部外品」は薬用成分が含まれているため、お口の中の細菌を減らし、口臭や虫歯、歯周病を予防する効果があります。
しかし、菌を減らすことはできますが、菌が減ったからといって虫歯や歯周病を治せるわけではありません。
虫歯や歯周病を治すには、歯医者での治療が必要になります。
デンタルリンスとの違い
市販されている似たような商品で、マウスウォッシュの他にデンタルリンスがあります。
どちらも液体の商品ですが、マウスウォッシュはお口をすすぐ洗口液で、デンタルリンスは歯磨き粉の代わりに使う液体歯磨きなので、使用方法が全く異なります。
似たようなパッケージが多く違いがわかりにくいですが、購入の際に間違わないようにしましょう。
②マウスウォッシュの効果
口臭の予防
口臭は、お口の中の細菌が食べ物の残りカスなどを分解することで発生します。
マウスウォッシュの使用でお口の中の細菌数を減らすことができるため、口臭を予防する効果があります。
ミントフレーバーなど爽やかな味のものが多いので、使用後にすっきりとした爽快感を得られます。
虫歯の予防
マウスウォッシュの中にはフッ素が含まれている商品があり、虫歯予防に効果的です。
フッ素は歯磨き粉にも含まれていますが、マウスウォッシュは液体のため歯ブラシでは届きにくい噛み合わせの溝や、歯と歯の間の隙間などの細かいところにまでフッ素を行き渡らせることができます。
歯医者で販売している歯科専売品のものは、市販のものよりフッ素が多く含まれており、虫歯予防効果も高いです。
歯周病の予防
歯周病の原因となる菌を殺菌するため、歯周病予防にも効果的です。
殺菌成分(イソプロピルメチルフェノール、塩化せちるピリジニウムなど)や、抗炎症成分(グリチルリチン酸、トラネキサム酸など)が配合されているものがおすすめです。
プラークをつきにくくする
プラーク(歯垢)は細菌の塊でできています。マウスウォッシュの殺菌作用によりお口の細菌を減らすことができるため、プラークの付着を抑制する効果が期待できます。
使わない方が良いと言われる理由
お口のケア用品として便利なマウスウォッシュですが、使わない方が良いと言われることもあります。それは何故なのでしょうか?その理由を解説します。
①アルコールによる作用
口腔乾燥
マウスウォッシュにはアルコールの成分が配合されているものと、配合されていないものがあります。
アルコール成分配合のものは、爽快感が強くスッキリします。しかし、アルコールは刺激が強く揮発性も高いため、お口の中の乾燥に繋がることがあるとも言われています。
私は、アルコール成分が配合されているタイプと、配合されていないタイプの両方を使用したことがありますが、アルコール成分が配合されているものは、かなり刺激が強くピリピリとしてしまい、長い間お口の中に留めておくことができませんでした。
その刺激が好きという方もいらっしゃいますが、特にそういった好みがないようであれば、アルコール成分が配合されていないものがおすすめです。
唾液の減少
マウスウォッシュを使用しすぎると、アルコールの作用によって唾液を減らしてしまい、お口の中の乾燥に繋がります。
唾液にはお口の中の細菌を洗い流す自浄作用があるため、唾液の量が減ってしまうと、虫歯や歯周病になりやすくなってしまいます。
マウスウォッシュの中には、唾液の分泌を促す成分が配合されているものもあります。
唾液の減少が気になる方は、そういった保湿効果の高いものがおすすめです。
対象者が限られる
アルコール成分が配合されているものは、アルコール過敏症の方、妊娠中の方や子供には向かないため、そのような方はノンアルコールタイプを使用しましょう。
②健康な細菌の排除
必要な常在菌
お口の中には体に害を及ぼす悪い菌だけでなく、必要な常在菌も存在しています。
マウスウォッシュは悪い菌だけでなく、そういった健康な細菌も洗い流してしまう可能性があるため、注意が必要です。
口内環境の乱れ
健康な細菌が洗い流されることで、お口の中の環境が乱れてしまい、口内炎ができやすくなってしまったり、お口のトラブルの原因となってしまいます。
効果的に使うためには
マウスウォッシュを効果的に使うためには、どのようなことに注意すれば良いのでしょうか。注意点について解説します。
①使用上注意すること
すぐに吐き出さない
マウスウォッシュをお口に含んでからすぐに吐き出してしまうと、せっかく使用しても殺菌の効果が得られません。
効果的に使用するためには、20〜30秒ほどお口の中でキープする必要があります。
また、使用した後はすぐに水ですすいでしまうと効果が薄れてしまうので、すすがないように気をつけましょう。
フッ素入りの歯磨き粉との併用
フッ素入りの歯磨き粉を使用した後にすぐマウスウォッシュを使用すると、歯磨き粉のフッ素の成分が洗い流されてしまいます。
日中は水分をとる機会も多く、元々フッ素の成分も流されやすいので、マウスウォッシュは朝やお昼などのタイミングでの使用がおすすめです。
夜寝る前にマウスウォッシュを使用したい場合は、フッ素が配合されているものの使用がおすすめです。
回数
口臭などが気になると、1日に何回もマウスウォッシュを使用したくなってしまいますが、使いすぎるとお口の中に必要な常在菌まで洗い流してしまいます。
1日1〜3回程度の使用に留めましょう。
歯磨きはちゃんとする
マウスウォッシュは歯磨きの代わりにはなりません。
歯にこびりついたプラークを落とすには、歯ブラシでこすって落とす必要があります。
歯磨きをせずにマウスウォッシュのみでセルフケアを完了させてしまうと虫歯や歯周病のリスクは防ぐことができないので注意しましょう。
②使用しない方が良い場合
トラブル
お口の中に傷や強い炎症などがある状態でマウスウォッシュを使用すると、刺激を与えてしまうことがあります。
そのような症状がある場合は使用を控えましょう。
年齢
子供の場合、マウスウォッシュの成分は刺激が強く、痛みや粘膜のトラブルの原因になることがあります。
対象年齢をしっかり確認して使用しましょう。
どうしても使用したい場合は、子供用のマウスウォッシュを選びましょう。
まとめ
マウスウォッシュを使用しすぎたり間違った方法での使用は、トラブルの原因となってしまったり効果が得られないこともあるので、注意する必要があります。
しかし正しく使用すれば、お口のケアにとても役立つアイテムです。虫歯や歯周病の予防効果以外にも、使用後の爽快感でとてもスッキリとした感覚が得られます。
今まで使用していなかった方も、ぜひ一度使ってみてください。
日頃の習慣で歯茎が下がる!?予防法を解説
日本橋の歯医者「日本橋グリーン歯科」デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。
「以前より歯茎が痩せてきた」
「歯が長くなった気がする」
そう感じたことはありませんか?
健康な歯茎であっても、年齢を重ねるにつれて自然と歯茎が痩せて下がってきます。しかし年齢以外にも、歯周病や不適切なブラッシングなどによって歯茎が下がることがあります。
歯茎が下がると、見た目への影響以外にも、虫歯になりやすくなったり、歯がしみてしまう知覚過敏の症状が出たりと様々な問題が発生してしまいます。
また、一度歯茎が下がると自然に元に戻ることはなく、元に戻すためには外科手術が必要であったりと簡単ではありません。
そのため、歯茎が下がらないよう予防することが大切です。
この記事では、歯茎が下がるのを予防するためにできることを解説しています。
今日からすぐに取り入れられることばかりなので、歯茎の下がりが気になっている方は、ぜひ参考にしてみてください。
口腔衛生習慣
歯茎が下がる原因に、歯周病や不適切なブラッシングなどが挙げられます。
そのため、口腔衛生習慣の見直しが大切です。口腔衛生習慣には、自宅で自ら行うセルフケアと、歯医者で受けるプロケアがあり、どちらも必要不可欠です。
セルフケアとプロケア、それぞれについて解説します。
①セルフケアの見直し
適切なブラッシング
歯周病が進行すると、歯を支えている周りの骨が溶けて歯茎が下がってしまいます。
歯茎が下がらないようにするには、歯周病予防につながる適切なブラッシングを行う必要があります。
ブラッシングは、可能であれば1日3回、出先などで難しい場合は最低1日2回は行いましょう。
プラーク(歯垢)は歯と歯茎の間に残りやすいため、歯ブラシを歯と歯茎の境目に当てて小刻みに動かします。
ブラッシングはプラークを落とすことが目的です。ささっと短い時間で終わらせてしまうと、プラークが落としきれていない可能性があります。しかし、ブラッシングの時間が長ければ良いというわけでもないので、ダラダラ磨くのではく、磨く順番を決めて隅から隅までプラークを落とすつもりで磨きましょう。
力を入れすぎない
ブラッシングの際に強い力で磨くと、歯茎を傷つけてしまい、歯茎が下がる原因となります。
また、力を入れすぎると歯ブラシの毛先が広がってしまい、プラークを取りきれず磨き残しが発生してしまう可能性があります。
実は、私も以前ブラッシング圧が強かったため、歯茎が退縮してしまっている部分があります。頑張って磨こうとすると余計に力が入ってしまうかもしれませんが、プラークはゴシゴシと強くこすらなくても優しい力で落とすことができます。
ブラッシングの適正な力加減は、100〜200g程度と言われています。
私は学生時代にはかりを使用して適正な力加減を練習したことがありますが、思っていたよりもかなり軽い力でした。
とは言え、目安の数字だけではなかなか想像がつかないと思います。最近ではブラッシング時に、過度な力が入るとカチッと音が鳴り知らせてくれる歯ブラシも販売されているので、力加減に自信のない方はそのような商品を試してみると良いでしょう。
歯間のケア
フロスや歯間ブラシを使って歯と歯の間のケアをすることで、歯ブラシのみでは磨けない部分のケアができます。
歯ブラシのみでは歯と歯の間にプラークがついたままになってしまい、そこから歯周病が進み歯茎が下がる原因となってしまいます。
フロスや歯間ブラシは使い慣れるまでは時間がかかり大変ですが、毎日使用しましょう。
②プロケアを受ける
プロケア
毎日のセルフケアはもちろん大切ですが、健康なお口の中を保つためにはプロケアである歯医者での定期的なクリーニングを受けることも大切です。
どんなに綺麗に磨けている方でも、数ヶ月期間が開くと少量の歯石がついてしまいます。
定期的に検診やクリーニングを受けることで、歯周病の初期段階で気がつくことができます。
また、歯茎の下がりに気がついていない場合でも、歯医者で診てもらうことで早期発見できることもあります。
ブラッシング指導
プロケアでは、クリーニングのみではなくブラッシング指導も一緒に行っていることがほとんどです。
ブラッシング指導では、正しい磨き方や適切なブラッシングの力加減も確認できます。
お口の中はひとりひとり違います。歯並びの関係で磨きにくいところがあったり、被せ物の有無でお手入れ方法も変わってきます。
歯医者のブラッシング指導では、実際にお口の中を診てもらいながら自分に合ったブラッシング指導を受けることができます。
検診・プロケアの頻度
検診やプロケアを受ける頻度は、お口の中の状況によって変わってきます。
歯周病にかかっていたり、歯周病の予防のためには3ヶ月前後での頻度で受けることが多いでしょう。
特にお口の中に問題がなくても、少なくとも半年〜1年に1回の頻度で受けることをおすすめします。
生活習慣
歯茎が下がる原因に、日々の生活習慣によるものも挙げられます。ご自身に当てはまることはないか見直してみましょう。
①歯ぎしり・食いしばり
ストレス対策
歯ぎしりや食いしばりは、歯茎にとても負担がかかり歯茎が下がる原因となります。
歯ぎしりや食いしばりの多くは、無意識のうちに行われています。ストレスや緊張を感じているときや何かに集中している時に起こりやすいです。
私も集中している時に、ふと気づくと歯を噛み締めていることがありました。
日中の歯ぎしり・食いしばりは意識的に治せるので、注意して気をつけてみてください。
また、ストレス対策として、リラックスできる時間を作ることも大切です。
マウスピースの使用
寝ている時の歯ぎしりや食いしばりは、意識的に防ぐことができません。
そのため、マウスピースの使用で、歯ぎしりによる歯茎へのダメージを軽減していきましょう。
マウスピースは用途によって素材や厚みなどが変わってきます。インターネットで購入できるものもありますが、自己判断で選ぶのではなく、歯医者で相談し作製してもらうことをおすすめします。
②嗜好品・飲食
タバコ
タバコによる喫煙は、お口の中の血の巡りを悪くしてしまい、歯茎に栄養や酸素が行き届かず、歯茎が下がりやすいです。
喫煙していて歯茎の下がりを気にされている方は、禁煙をおすすめします。
水分の摂取
水分を摂取することで、唾液の分泌が促進されます。唾液の洗浄効果により、お口の中の細菌の増加を抑えます。
そのため、健康的なお口の状態を保ちやすくなります。
栄養バランスの良い食事
健康な歯茎になるための栄養素は、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンB群が効果的とされています。
ビタミンAは、皮膚や粘膜を正常に保つ働きがあります。
ビタミンCは、歯茎の成分であるコラーゲンの合成に欠かせない栄養素です。
ビタミンB群は、細胞の再生やエネルギーの回復に必要です。
まとめ
歯茎の下がりを元に戻すのは簡単ではありませんが、今以上に下がらないよう予防する方法はあります。まずは今すぐできることから始めてみましょう。
また、歯茎の下がりを放置してしまうとさらに歯茎が下がったり、虫歯や知覚過敏のリスクもあります。
痛みや不快な症状がなくても、少しでも歯茎が下がったと感じるようであれば、歯医者で相談しましょう。