デンタルニュース

歯周病のクリーニングの頻度はどのくらい?

デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。

「歯周病のクリーニングの頻度ってどのくらいが正しいのかな?」
「今の自分の頻度で合ってるのかな?」
歯科医院で定期的なクリーニングを受けている方は、3ヶ月に1回程度の頻度で通っていらっしゃる方も多いと思います。
私もクリーニングをする際、人にもよりますが、多くの方に3ヶ月ペースで来院してもらっています。
この記事では、どのような基準でクリーニングの頻度が決まるのかを解説します。

なぜ3ヶ月に1回なのか?

前述したように、歯科医院で定期的にクリーニングに通っている方は、「また3ヶ月後に来てくださいね〜」と言われたことがある方も多いのではないでしょうか?
なぜこの頻度で勧めるのか?その理由をお伝えします。

歯周ポケット内の細菌数の変化

歯周ポケット内の歯周病菌に関する研究結果によると、歯周ポケット内の細菌数はクリーニングをしてから3ヶ月で元の細菌数まで戻ってしまうと言われています。

これはいくら気をつけて綺麗に磨いても、歯周ポケット内で起こっていることなので防ぎようがありません。
とは言え、しっかりセルフケアができており綺麗なお口の状態を保てていれば、毎回きっちり3ヶ月でなくても大きな問題はありません。
大切なのは途中で通うことを辞めてしまわず、定期的にクリーニングを受けることです。

健康保険の算定が3ヶ月ごと

健康保険のクリーニングでは、保険点数が決められています。
基本的には歯周病のクリーニングの保険点数は3ヶ月に1回算定できるという決まりがあるので、多くの歯科医院では3ヶ月に1回の頻度でクリーニングを行っています。
恐らく、前述した歯周ポケット内の細菌数の変化などの理由で、この頻度が決められているのでしょう。

1〜2ヶ月で行う場合もある

クリーニングの頻度は、全員がそろって3ヶ月ごとというわけではありません。
ひとりひとり歯周病の程度も違うため、もっと短い頻度で来院するよう指示がある場合もあります。
どのような場合、短い頻度になるのかご紹介します。

重度の歯周病や全身疾患がある方

通常の歯石とりなどの歯周病治療を行っても状態が改善しない場合、歯周外科治療を行うことがあります。
そういった治療をされた方は、3ヶ月以内であってもクリーニングが必要な場合があります。
その他には、全身的な疾患の状態により歯周病の病状に大きく影響を与える場合 、 全身的な疾患の状態により歯周外科手術が実施できない場合、侵襲性歯周炎の場合も、1〜2ヶ月程度の短い頻度でのクリーニングが推奨されています。

口管強、自費クリーニングなどは月1も可能

口管強(こうかんきょう)とは、口腔管理体制強化加算の略で、歯科医院を評価する加算制度です。
患者さんの生涯にわたる口腔機能の管理を評価し、歯科疾患の重症化を予防することを目的としています。
口管強の認定を受けている歯科医院では、健康保険内の治療でも、歯周病のクリーニングの保険点数を1ヶ月に1回算定できるという決まりがあります。
しかし、口管強の認定を受けるには、厚生労働省が定めた基準を満たしていなければならないため、口管強の認定を受けている歯科医院は全国でわずか10%程度とも言われています。
当院では口菅強の認定を受けていますので、歯周病のクリーニングをより頻繁に受診することが可能です。

また、健康保険外の自費クリーニングであれば、保険点数などの縛りがないため、1〜2ヶ月程度の短い頻度でのクリーニングも可能です。

実際に来院される方のお口の状況は?

では、実際にクリーニングに来院される方のお口の中はどうなのか?
本当に3ヶ月の頻度でクリーニングが必要なくらい汚れているのか?
私の経験から解説します。

歯石のつきやすい方は3ヶ月程度でついてくる

患者さんひとりひとり、お口の中の環境やセルフケアの技術は違うので、歯石のつきやすい方は3ヶ月程度の期間でもしっかりついてきます。
日々のセルフケアをちゃんと行っている方でも、どうしても磨き方のクセはあるので、100%綺麗に磨けるわけではありません。
自分ではしっかり磨けたつもりでも、実は磨き残しや歯石がたくさん着いていた、というのはよくあることです。
さらに歯石は歯と同じような色をしており、なかなか見分けがつきません。
歯石の付きやすい位置は、下の前歯の裏側や、一番奥の歯だったりするので、肉眼で確認するのは難しいです。
歯科の実習生や新人のクリーニングで、歯石の取り残しがないか先生や先輩に確認してもらう、なんてこともあるので、素人目に見つけるのはかなり困難でしょう。
また、着色に関しても、付きやすさに個人差があるので、中にはクリーニング後1ヶ月程度でも着色が付いてしまう方もいます。

3ヶ月すぎても綺麗な人もいる

クリーニング後、3ヶ月経っても歯石がほぼ見当たらないくらい綺麗な方もいます。
このような方は、磨き残しの染め出しなどを行っても、100%ではありませんが、ほとんど綺麗に磨けています。
私はこのような方には、きっちり3ヶ月でなくてもご自分の都合に合わせての来院で大丈夫ですよ、とお話ししていますが、このような方は歯に対する意識も高いため、自らすすんで3ヶ月の頻度でクリーニングに来てくださる方が多い印象です。

まとめ

歯石の付き具合、歯周病の進行具合は、患者さんひとりひとりの環境によって大きく変わってくるので、個人差があります。
そのため、クリーニングの頻度が3ヶ月ごとの方も居れば、1〜2ヶ月ごとの頻度を勧める方も居ます。

なぜ自分がこの頻度なのか疑問に思ったら、検査の結果などをしっかり聞いて、自分のお口の状態を把握しましょう。
仕事やプライベートが忙しく勧められた頻度で通うことが難しかったり、1度行かなくなって行きづらいという場合もあるとは思いますが、歯周病は自覚症状がわかりにくく、気がつかないうちに進んでしまう病気です。
見た感じ綺麗だから、自分は気をつけているから、などと自己判断せずに、定期的にクリーニングを受診しましょう。

この記事を監修した人

医療法人社団周優会 常務理事 笠原幸雄

医療法人社団周優会
常務理事 笠原幸雄

所属学会

東京シティー日本橋ロータリークラブ会員
お江戸日本橋歯科医師会選挙委員会 委員長
一般社団法人 日本橋倶楽部会員
東京科学大学歯学部 東京同窓会参与

略歴

私立開成高校卒業
早稲田大学理学部卒業
東京医科歯科大学歯学部卒業
東京医科歯科大学病院勤務
笠原歯科医院 蔵前開設
医療法人社団寿幸会 笠原歯科医院 人形町開設
医療法人社団周優会 日本橋グリーン歯科 常務理事
医療法人社団寿幸会 笠原歯科医院 六本木開設