デンタルニュース
歯科治療の途中で行かなくなった…再開したほうがいい?
日本橋の歯医者「日本橋グリーン歯科」デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。
歯科治療を始めたものの、忙しさや不安から途中で行かなくなってしまった経験がある方もいるのではないでしょうか?
「今さら再開しにくい」「怒られるのでは」と感じる方も多いですが、実はそのまま放置すると大きなトラブルにつながります。
この記事では、治療中断によるリスクや再開の方法、途中でやめないための工夫をお伝えします。
治療途中になってしまっている方は、ぜひ参考にしてみてください。
治療を途中でやめると起こりやすい3つのトラブル
①痛みがぶり返す
仮詰め・仮歯のまま放置をする危険性
治療の途中でよく使われる「仮詰め」や「仮歯」は、あくまでも一時的な処置です。
見た目では歯がカバーされているように感じても、素材は柔らかく外れやすいため、長期間そのままにしておくと細菌が入り込みやすくなります。
実際に仮詰めの方で、隙間から細菌が入ってしまい再び虫歯になってしまった、という方も居ました。
仮詰めや仮歯は数日〜数週間を想定しているものなので、何かの事情で治療を中断してしまった場合でも、できるだけ早く歯医者で相談することが大切です。
知らないうちに進む歯周病
歯周病は痛みが出にくく、進行に気づきにくい病気です。
放っておくと歯ぐきの炎症が悪化し、気づいたときには歯が揺れ動くほど進行していることもあります。
私が歯科衛生士として感じるのは、患者さん自身が「痛くないから大丈夫」と思って来院をやめてしまうケースが多いことです。
しかし再び来院されたときには、歯がぐらついて噛めなくなっていたり、抜歯が避けられない状態に進行していることも珍しくありません。
歯周病は早期に治療を継続することで進行を食い止めることができます。
途中でやめると元に戻すのが難しくなるため、予防の意味でも最後まで治療を続けることがとても大切です。
②やり直しになる
神経治療を中断した場合のリスク
神経を取る治療(根管治療)は、数回に分けて細菌を取り除き、清潔な状態にしたうえで最終的に詰め物をします。
この途中で治療をやめてしまうと、根の中に細菌が残ったままとなり、強い痛みや腫れを引き起こすことがあります。
実際に私が見てきた患者さんでも「痛みがなくなったから」と中断した結果、数か月後に再び激しい痛みで来院され、再治療が必要になったケースがありました。
しかも、根の中に細菌が広がってしまうと治療はより複雑になり、場合によっては歯を残せないこともあります。
神経治療は見えない部分を扱うため、継続して最後まで行うことがとても大切です。
途中でやめると、かえって大きなリスクを背負うことになると理解しておく必要があります。
型取り後に放置すると被せ物が合わなくなる
被せ物を作るために型取りをしたあと、そのまま通院を中断してしまうと、せっかく作った被せ物が口の中に合わなくなることがあります。
歯や歯ぐきは日々少しずつ動いており、数か月放置するだけでも噛み合わせや形が変化してしまうのです。
当然、再び型を取る必要があり、そのぶん費用も時間も余計にかかってしまいます。
被せ物は正確な型取りをもとに作られるため、治療計画通りに装着しないと意味がありません。
型取りの段階で治療を止めてしまうのは、非常にもったいないことだといえます。
③余計なお金と時間がかかる
一度やった治療が無駄になるケース
治療を途中でやめると、すでに行った処置が無駄になることがあります。
例えば、虫歯の除去や根管治療の一部が完了していても、途中で中断すると再び感染が進み、最初からやり直す必要が出てくる場合です。
このように途中で治療をやめることは健康面だけでなく、これまでの努力や費用も無駄にしてしまう可能性があると理解しておくことが大切です。
通院回数や費用が増える
治療を途中で中断すると、再開する際に追加の通院や費用が発生することがよくあります。例えば、前回の処置から時間が空くと再度レントゲンや検査を行う必要があり、被せ物や詰め物も作り直す場合があります。
最初に予定していた回数よりさらに数回多く通うことになり、費用も追加でかかるので、結果として時間もお金も余計にかかることになります。
治療の途中でやめることは、短期的には負担を減らせたように感じても、長期的には逆に負担が増える可能性が高いといえます。
治療を再開するためのステップ
①まずは電話してみる
歯医者さんは怒らない、むしろ再開を歓迎している
「途中で行かなくなってしまって怒られるのでは」と心配する方は多いですが、歯科医師やスタッフが怒ることはありません。
むしろ治療を再開してくれることを喜びます。
私自身も「来てくれてよかった」と思うことがほとんどです。
安心して再開の一歩を踏み出してください。
治療の途中経過を話すだけでOK
久しぶりに来院したときは、治療の途中経過を簡単に伝えるだけで問題ありません。
症状の変化や気になる点を話せば、歯科医師が必要な検査を行い、最適な再開方法を提案してくれます。
詳しく覚えていなくても大丈夫です。
話せる範囲で共有することが、再開への第一歩になります。
②転院したいときの流れを知っておく
紹介状を書いてもらうのがスムーズ
引っ越しや仕事の都合で転院を希望する場合は、紹介状を書いてもらうのがスムーズです。
治療の経過や使用した材料などがわかるため、新しい歯医者でも引き継ぎがしやすくなります。
紹介状は患者さん自身が依頼するだけで用意してもらえます。
レントゲンや検査をやり直す可能性あり
新しい医院に移ると、レントゲンや検査をやり直すことがあります。
これは現状を正確に把握するために必要な手順です。
「二度手間かな」と思うかもしれませんが、治療を確実に進めるためには大切なプロセスです。
③再開をスムーズにするコツ
通いやすい曜日や時間を優先して予約する
予約を取るときは、自分が通いやすい曜日や時間を優先しましょう。
無理のあるスケジュールにすると、通院が負担になり途中で挫折しやすくなります。
実際に「仕事帰りに寄れる時間」に予約をしている患者さんは、継続率が高い傾向があります。
自分の生活リズムに合わせることが成功のポイントです。
痛みや不安は事前に伝えておく
再開するときに痛みや不安を感じているなら、必ず事前に伝えましょう。
歯科医師やスタッフは症状や気持ちに配慮して、麻酔の用意や治療の進め方を調整してくれます。
不安を共有するだけで安心感が増し、治療を続けやすくなります。
途中でやめないためにできる工夫
①治療のゴールを確認する
「あと何回くらい通えばいいか」を必ず聞く
残りの通院回数を聞いておくと、スケジュールが立てやすくなります。
症状によってその通りにいかないこともありますが、目安があるだけで心理的な負担が減り、継続しやすくなります。
疑問や不安は遠慮せず質問する
少しでも疑問や不安があれば、必ず質問しましょう。
わからないままでは不安が募り、途中で通院をやめてしまう原因になります。
質問することで治療の全体像が理解でき、納得感を持って最後まで通えるようになります。
②通いやすい環境を整える
家や職場から近い歯医者を選ぶ
立地は治療継続に直結します。
近ければ通院のハードルが低く、忙しい日でも立ち寄りやすくなります。
通院するにあたり、立地条件は非常に大きなポイントです。
どうしても行けないときはキャンセル連絡を
急に行けなくなった場合も、キャンセルの連絡を入れるだけで安心できます。
医院側も予定を調整でき、患者さんも「行けなかった」と落ち込まずに済みます。
連絡を入れておけばスムーズに次回の予約につなげられるので、途中離脱を防ぐ効果があります。
まとめ
ここまで、治療を途中でやめることによるリスクと、再開・継続のための工夫について解説しました。
治療を途中でやめてしまった方も、再開の一歩を踏み出すことで、歯の健康を取り戻すことができます。
まずは電話や相談から始め、無理のない計画で通院を続けることを心がけましょう。