デンタルニュース

フッ素は体に悪いの?フッ素の安全性について解説

デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。

「フッ素って体に悪いって聞いたけど、歯磨き粉で使ってて大丈夫?」
「禁止されている国もあるんでしょう?」

歯医者に行くとフッ素をおすすめしているところがほとんどだと思います。

また、市販の歯磨き粉にもほとんどフッ素が含まれています。

一方で、フッ素は「危険」「体に悪い」という意見を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?

結局体に良いの?悪いの?と気にされている方もいらっしゃるかもしれません。

結論からいうと、虫歯予防のためのフッ素の活用は安全であり、効果も実証されています。

しかし、誤った使い方をすると危険な場合もあるのは事実です。

この記事では、フッ素が体に悪いと言われる理由や、フッ素の安全性について詳しく解説しています。

また、フッ素の効果的な使い方についてもまとめているので、フッ素との付き合い方に悩まれている方は参考にしてみてください。

フッ素で虫歯を予防するイメージ

Ⅰ フッ素とは

「フッ素」とは、自然界に存在する物質の一つで、土壌や海水などに含まれています。土の中で育つ野菜や、海水に生息している魚介類、そして人間にも含まれているのです。

そのため、フッ素=体に悪いというわけではありません。

Ⅰ-1.フッ素は毒?体に悪いと言われる理由

①元素のフッ素は毒

元素単体の状態のフッ素は、毒です。

しかしフッ素には酸化作用があるので、すぐに化合物となり、ほぼ毒の状態では存在できません。

歯医者でフッ素と呼ばれて使われているのは、元素の組み合わせでできたフッ化ナトリウムです。

元素単体と、元素の組み合わせでできたものは全く別のものになります。

②急性中毒

フッ素の急性中毒は、大量のフッ素を一気に摂取することによって起こります。

吐き気や嘔吐、腹痛、下痢、けいれんなどの症状が現れます。

中毒を起こす量はフッ素の濃度や個人の体重によって変わってきますが、大人(60kg)であれば1450ppmの歯磨き粉を80g程度飲むと中毒症状が出る可能性があります。

歯磨き粉の1回の使用分が1〜1.5gと言われているので、80gとは相当な量です。

なかなかその量を飲む機会はないと思います。

体重15kgのお子様だと、子供用歯磨き粉を1本飲むと中毒症状が出る可能性があります。

子供用の歯磨き粉はお子様の好みの味になっていることが多いので、手の届く範囲に置くのは避け、誤飲に気をつけましょう。

しかし実際に、私が10年以上歯科の診療に携わってきて、フッ素の急性中毒になったという話は聞いたことがありません。

しっかり管理に注意していれば、日常生活で使用する歯磨き粉のフッ素量で急性中毒になる心配はないでしょう。

③慢性中毒(フッ素症)

慢性中毒とは、長期間にわたって過剰なフッ素を摂取することで起こります。

歯が出来あがるまでの時期(生まれてから7、8歳まで)に、過剰なフッ素を長期間摂取すると、歯の表面に白い斑点などが見られます。

私の知り合いの歯医者の先生に、歯のフッ素症になってしまっている先生がいます。

ご実家が歯医者で、お父様がフッ素を頻繁に塗りすぎたそうです。

決められた定期検診の頻度であればそのような心配はないですが、かかりつけの歯医者がなかったり、かかりつけの歯医者以外でフッ素を塗る機会がある場合は、「いつ塗ったかな?」とならないようにしっかり把握しておきましょう。

Ⅰ-2.フッ素の安全性

①世界各国で推奨されている

フッ素の使用は、世界保健機(WHO)や、アメリカ歯科医師会などの国際的な医療機関でも推奨されています。

また、「ヨーロッパではフッ素が禁止されている」と聞いたことがある方も居るかもしれませんが、ヨーロッパでは虫歯予防のためのフッ素は使用されています。

国によっては水道水へのフッ素の添加をしていませんが、歯磨き粉にはフッ素が添加されています。

②適切な濃度や頻度での使用が大切

歯科で使用されるフッ素は危険ではありませんが、前述したように、適切な使用頻度や量を守らなければ体に悪影響が出てしまいます。

これはフッ素に限ったことだけでなく、薬や食品でも同じことが言えます。

薬は、決められた容量であれば効果的ですが、大量に摂取すると体に害がある場合があります。

日常的に摂取している醤油や塩なども、大量に摂取すると死に至ると言われています。

過剰摂取にならないよう注意し、適切な方法で使用することが大切です。

フッ素を使用したデンタルケア用品

Ⅱ フッ素の効果的な使い方

フッ素を上手に活用することで、虫歯予防の効果を得られます。

では、フッ素を上手に活用するには、どのような方法があるのでしょうか?

日常的に取り入れられるフッ素の使用方法についてまとめていますので、参考にしてみてください。

Ⅱ-1.フッ素を使用する機会

①フッ化物配合歯磨剤

毎日の歯磨きの際に、フッ素入りの歯磨き粉をつけて使用します。

年齢に応じた適切な濃度と量は、

5歳以下:1,000ppm以下の濃度、米粒大

6歳~大人:1,450ppmの濃度、1~2cm

となっています。

使用後に大量のうがいをすると、フッ素の効果が弱まってしまうので、うがいは少量の水で1回のみ行うようにしましょう。

市販の歯磨き粉のほとんどにフッ素が含まれているので、1番日常に取り入れやすい方法だと思います。

②フッ化物歯面塗布

歯医者や、市区町村の乳幼児検診などで、フッ素を塗ってもらう方法です。

高濃度のフッ素を歯の表面に塗ります。

1回の塗布だけでは効果は得られず、年2回以上継続して塗布することで虫歯予防に効果的です。

③フッ化物洗口

フッ素の含まれる洗口液で、1分程度ブクブクうがいをします。

毎日法(週5回法)と、週1回法があります。

学校などで集団で行われていますが、最近は市販でも洗口液が販売しており、おうちで手軽に行うことができます。

ブクブクうがいができるようになる4歳以上の使用が推奨されています。

Ⅱ-2.フッ素の利点

①虫歯予防

フッ素には、虫歯菌の活動を抑える効果があります。

通常、虫歯菌が作り出す酸によって、歯が溶けてしまい虫歯ができます。

フッ素はその虫歯菌の働きを弱め、酸が作られるのを抑制します。

②再石灰化を促進する

再石灰化とは、溶けた歯を元に修復する働きのことを言います。

虫歯菌によって酸が作られると、その酸によって歯のカルシウムやリンが溶け出します。これが「脱灰」と言われる働きです。

それに対して、口の中の唾液が溶け出したカルシウムやリンを歯の表面に戻す「再石灰化」をしています。

口の中では常に「脱灰」と「再石灰化」が行われているのです。

フッ素は、その再石灰化の働きを促進する効果があります。

③歯質を強化する

フッ素は、歯の表面のエナメル質を強化し、酸に溶けにくい強い歯にする効果があります。

歯質が強化されることで、虫歯の発生を抑制することができ、虫歯になりにくい歯になります。

歯の再石灰化を促進するイメージ

Ⅲ まとめ

フッ素の中毒症状などを知り、怖いと感じる方も居るかもしれません。

しかし、フッ素は濃度や量を適切に使用すれば、安全で効果的な虫歯予防の方法です。

正しい情報を選択して、フッ素を使用するかどうか、考えていきましょう。

ただし、「フッ素を塗っているから絶対に虫歯にならない」というわけではありません。

虫歯菌が多ければ、フッ素を塗っても酸が作られてしまい歯が溶けて虫歯となってしまいます。

虫歯にならないためには、毎日の歯磨きを丁寧に行うことが大切です。

毎日の歯磨きをしっかり行った上で、フッ素を取り入れて虫歯予防の効果を高めていきましょう。

2025-02-14 | Posted in デンタルニュースComments Closed 

 

虫歯にならない人の特徴は?改善方法も紹介

デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。

「ちゃんと歯磨きしているのに、すぐ虫歯になる」
「同じようにケアしていても虫歯にならない人は、自分と何が違うんだろう」

そう思ったことはありませんか?

実は虫歯になりやすさは個人差があり、世の中には虫歯になりやすい人となりにくい人がいます。

虫歯は歯だけでなく、お口の中の環境や生活習慣などの要因によって大きく変わってきます。

お口のケアをしっかりしていても何回も虫歯になる人もいれば、しっかりケアをしているわけではないのに虫歯にならないという人もいるのです。

 

私は虫歯になりやすく、毎日フロスまでしっかりしていますが、検診で見てもらうと小さな虫歯や虫歯になりそうなところが見つかるということが多々ありました。

しかし、知人の歯医者の先生は「実はフロスなんてほとんどしたことがない」とおっしゃっていましたが、虫歯にならないそうです。

皆さんの身近にも、特別なケアをしているわけではないのに虫歯にならない人がいらっしゃるのではないでしょうか。

 

この記事では、虫歯にならない人の特徴を解説しています。

虫歯のなりやすさは、体質によるものもあればご自分で気をつけて改善できることもあるので、虫歯になりやすいと感じている人は参考にしてみてください。

虫歯にならない人

虫歯にならない人の生理的特徴

生理的特徴とは、身体の機能や状態に関する特徴です。

自分ですぐにコントロールできる部分ではないですが、中には意識することで改善できることもあります。

Ⅰ-1.唾液の分泌量が多い

①唾液の作用

唾液には「自浄作用」「抗菌作用」「再石灰化」など、虫歯を抑制する作用がたくさんあります。

唾液の分泌量が多い人は、これらの作用によりお口の中が清潔に保たれ、虫歯になりにくくなります。

②唾液の分泌を多くするには

唾液を増やすためには、食事の時にしっかりとよく噛んで食べることが大事です。

よく噛むことで、唾液腺が刺激され、唾液の分泌が促されます。

Ⅰ-2.唾液の性質がサラサラしている

①唾液の種類

唾液には2種類あり、「ネバネバした唾液」と「サラサラした唾液」があります。

ネバネバした唾液は、お口の中が乾きやすく虫歯リスクが高いですが、サラサラした唾液はリラックス状態の時に分泌され、お口の中の汚れを洗い流してくれるので虫歯予防に効果的です。

②唾液をサラサラにするためには

緊張していたりストレスを感じていると唾液がネバネバしやすいので、日常的にそういった機会が多い方は、リラックスできる時間を増やしてみましょう。

Ⅰ-3.歯質が強い

①歯質が強い人

歯質は人によって違い、歯質が強い人は、虫歯菌が放出する酸に対する抵抗力が高いです。

そのような方は、エナメル質が溶けにくく、結果的に虫歯リスクが低くなります。

②歯質が弱い人

歯の表面のエナメル質が薄い「エナメル質形成不全」などで先天的に歯質が弱い人や、乳歯や生えたばかりの永久歯などの歯質が弱い時期の歯は、虫歯になりやすいです。

③歯質を強くするには

まだ歯が生えていない子供の場合は、歯質が作られる時期に、歯の成分であるカルシウムをしっかり摂取することで、歯質を強くすることができます。

歯質が作られる時期は、乳歯の場合は妊娠3〜4ヶ月頃、永久歯の場合は乳幼児期〜小学校低学年頃と言われています。

歯質が強く虫歯にならないイメージ

Ⅱ 虫歯にならない人の口腔内環境

お口の中の環境は体質と違い、お口のお手入れをしっかりしたり矯正治療で歯並びを良くすることで、自分で変えることができます。

Ⅱ-1.虫歯菌の数が少ない

①虫歯菌の数は幼少期に決まる

お口の中の虫歯菌の数が少ない人は、虫歯になりにくいです。

虫歯は遺伝などではなく細菌感染なので、小さい頃に虫歯菌を保有する親と同じ食器を使用したり、食べ物の口移しなど何らかのタイミングで感染します。

2歳半から3歳までの時期に虫歯菌に触れる機会が少なかった人は、その後の人生でも虫歯になりにくくなることがわかっています。

そもそも虫歯とは、虫歯菌が飲食物などの糖分を分解して放出する酸で、歯が溶かされることにより起こります。

虫菌菌はほとんどの人のお口の中に存在する常在菌ですが、虫歯になりにくい人はその細菌の数が少なかったり、存在していない場合もあるため、虫歯になるリスクが低くなります。

冒頭で書いた、「実はフロスなんてほとんどしたことがない」知人の歯医者の先生は、恐らくお口の中の虫歯菌が少ない方なのでしょう。

②虫歯菌を減らす対策

まだ3歳未満の子供が虫歯菌に触れる機会を少なくするためには、親との食器の共有や口移し、糖分の多い食事を控えることが大切です。

一度虫歯菌に感染した場合、全ての菌を除去することはできませんが、丁寧な歯磨きを行うことや歯医者のクリーニングを受けることで虫歯菌の数を減らすことは可能です。

Ⅱ-2.歯並びが整っている

①歯並びが良いと磨きやすい

歯並びが悪い人は歯が重なっている部分や引っ込んでいる部分に歯ブラシの毛先が届きにくく、磨き残しが多くなってしまうため、虫歯リスクが高くなります。

歯並びが良い人は歯磨きがしやすく、隅々まで清潔にすることができるため、虫歯のリスクを減らすことができます。

②噛み合わせの影響

歯並びが良いと噛み合わせも良くなるため、よく噛んで食事ができ、唾液の分泌もよくなります。

虫歯菌が少ない歯

Ⅲ 虫歯にならない人の生活習慣

体質だけではなく、日々の生活の過ごし方も虫歯の原因に直結します。

こちらは今すぐに改善できる部分もあるので、虫歯になりやすさが気になっている方は参考にしてみてください。

Ⅲ-1.丁寧に歯磨きする

①補助的清掃用具を使う

虫歯予防にとって、基本となるのが丁寧な歯磨きです。虫歯菌は歯と歯の間や、歯の溝などの細かいところに入り込むため、歯ブラシだけでなくフロスや歯間ブラシなどの補助的清掃用具の使用も大切です。

②フッ素を取り入れる

多くの歯磨き粉に含まれるフッ素は、歯を強くし虫歯を予防する効果があるので、虫歯になりやすさが気になる方は、フッ素入りの歯磨き粉を使用しましょう。

Ⅲ-2.甘いものをあまり食べない

①糖分は虫歯菌のエサ

砂糖や甘い食べ物をほとんど食べない人は、虫歯になるリスクも低いです。

糖分は虫歯菌の主なエサであるため、甘いものをたくさん摂取してしまうと、お口の中に虫歯菌による酸が増え、虫歯になりやすくなってしまいます。

②お口に止まりやすいものを控える

お口の中に糖分が長時間留まることで、細菌が増殖しやすい環境になります。

飴やガムなど長時間お口の中に留まりやすいものは、虫歯予防効果のあるキシリトール入りのものにするなど気をつけましょう。

また、歯にくっつきやすいキャラメルやソフトキャンディー、ヌガーなどを摂取した後は、丁寧な歯磨きを心がけましょう。

以前担当させていただいていた患者様で、磨き残しが少なく綺麗で歯磨きは上手なのに、しょっちゅう虫歯になってしまう方がいました。

よくよく話を聞いてみると、夜に歯磨きをした後、寝る直前に飴を舐める習慣があることが発覚しました。

いくら日頃の歯磨きを丁寧にしていても、糖分を摂取した後に磨かないと、本当に虫歯になりやすいのだなと実感しました。

Ⅲ-3.よく噛んで食べる

①唾液の分泌が良くなる

食事をよく噛むことで唾液の分泌が促進され、お口の中の自浄作用が高まります。

前述した通り、唾液には虫歯を抑制する成分がたくさん含まれています。そのため、よく噛むことで、虫歯のリスクを軽減することができます。

②食べ物の種類

柔らかい食べ物ばかりを摂取していると噛む回数が減ってしまうため、適度に硬い食べ物も摂取するよう心がけましょう。

Ⅲ-4.鼻呼吸をしている

①口呼吸による影響

口呼吸をしていると、お口の中が乾燥状態になるため、唾液の「自浄作用」「抗菌作用」「再石灰化」などの働きが低下し、虫歯になりやすい環境になってしまいます。

口呼吸によって舌の位置が下がると歯並びや顎の発達にも影響があるため、まだ歯が生えそろっていなかったり顎の成長が終わっていない子供の場合は注意をしましょう。

②鼻呼吸による影響

鼻呼吸をしている人は、お口の中が乾燥しにくく、唾液の働きによって細菌が繁殖しづらいため、虫歯リスクが低くなります。

鼻呼吸をしている人

Ⅳ まとめ

以上の特徴を持つ人は虫歯になりにくいですが、こういった特徴に当てはまらないからといって必ず虫歯になるわけではありません。

毎日の丁寧なセルフケアと歯科医院での定期的なプロケアが、虫歯予防には重要です。

定期的に検診やプロの口腔ケアを受けることで、初期虫歯の早期発見や、ご自身にあった正しい歯磨き方を身につけることができます。

2025-02-07 | Posted in デンタルニュースComments Closed 

 

歯医者の飛び込みは迷惑?当日診てもらうには

日本橋の歯医者「日本橋グリーン歯科」デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。

「歯医者の飛び込みって迷惑かな?」
「すぐ診てもらいたいんだけど、予約なしでも行けるの?」

内科のクリニックと違い、歯医者は予約が必要なところがほとんどです。

歯医者に急に診て欲しい時に予約が無い場合でも、飛び込みでも診てもらえるのでしょうか?

結論から言うと、当日に飛び込みで診てもらうことが可能な場合もあります。

しかし、飛び込みでの診療は歯医者側にも患者様側にも問題が出てしまうこともあります。

 

私は今まで10年以上臨床の場で勤務してきて、予約なしで飛び込みで来院された患者様を何名も見てきましたが、ほとんどの場合できる限りの応急処置になることが多いです。

しっかりと治療を進めるには、飛び込みでの来院ではなく予約が必要です。

ただ、痛みなどがあると、応急処置でも良いのでどうしても当日に診て欲しい時もあると思います。

 

この記事では、歯医者にはなぜ予約が必要か、飛び込みでのデメリット、当日に診てもらう方法を解説しています。

歯医者に向かう女性

歯医者の予約はなぜ必要か

そもそも、内科などは予約がいらず飛び込みで行くことがほとんどなのに、歯医者はなぜ予約が必要なのでしょうか?
歯医者に予約が必要な理由を解説します。

①診療自体に時間がかかることが多い

時間のかかる理由

内科の場合、診察をして薬を処方するという流れがほとんどで、数分で終わることが多いですが、歯科の場合は治療が必要なことがほとんどなので、数分というわけにはいきません。

1人の患者様の平均治療時間

消毒や抜糸などすぐ終わる処置もありますが、基本的には15〜30分程度かかる処置が多いです。

また、診療台も予約時間の間はその患者様専用になるので、治療中は他の患者様を診ることはできません。

中には麻酔の待ち時間や歯科衛生士を上手く使って、同じ時間帯に数名の患者様を診る先生も居ますが、私が今まで診療に携わってきた中では同時に診るのは2〜3名が限界という感じがします。

どの治療も一定の時間がかかり、一度に多くの患者様が来院しても診ることができないため、スムーズに治療が進められるよう予約制となっています。

②治療を計画的に進めるため

口腔内の状況の確認

小さい虫歯の場合は一回の来院で終わることもありますが、虫歯の治療や歯周病の治療は程度によっては一回で終わらないこともあります。むしろ一回では終わらないことの方が多いでしょう。

検査を行った上で、患者様のお口の中の状態に合わせて治療計画を立て、治療を進めていく必要があります。

治療の内容によっては、被せ物やマウスピースなど作成するのに時間がかかるものもあり、予約の日にちに合わせて計画的に作成しています。

治療計画に必要な検査

治療の内容にもよりますが、虫歯や歯周病の程度を診るためには、レントゲンの撮影による検査が必要です。また、歯周病治療を行うにあたって、歯周ポケットの数値を測る検査も必要になってきます。

③治療の準備片付けが必要なため

治療に必要な機材

歯科の治療では、「基本セット」と呼ばれる診察に必ず使用する器具のセットを患者様ひとりひとりに用意しています。

それに加え、歯を削る器具や詰めるための材料、型取りの材料など、治療内容に合わせて用意する必要があります。

治療の準備内容

前述した通り治療の内容によって準備する機材は変わってきますが、限られた時間内で治療をスムーズに行うため、ある程度治療の流れを予測して機材を準備しています。

偶然立て続けに同じ内容の処置が入ってしまうと、その処置で使用する器具の在庫がすぐに無くなってしまうため、予約で管理する必要があります。

治療後の片付けは「滅菌」することが大切

歯医者では、患者様のお口の中に使用する器具は全て滅菌する必要があります。そのため、用意していた器具の数よりたくさんの患者様が来院してしまうと、使用する器具がなくなってしまいます。また、滅菌をかけるのにも時間がかかるため、ある程度の来院数を把握し器具の準備をしておかなければならないのです。

予約がいっぱいの歯医者だと、スタッフも皆忙しいため滅菌作業のタイミングが遅くなり、器具の在庫がギリギリになってしまうことなどもあります。

滅菌は120〜135度まで温度を上げて行うものなのですが、私は以前器具の在庫がギリギリになってしまった時に、滅菌が終わったばかりの熱々の器具をなんとか冷やしながら使用した経験が何度かあります。

予約制を取り入れていてもこういったことが起こるため、予約なしで診療していたら、すぐに足りない器具が出てきてしまうでしょう。

機器の消毒を行う歯科衛生士

飛び込みでかかる時のデメリット

歯医者で予約が必要だとわかっていても、どうしても当日診て欲しい時もありますよね。

飛び込みで歯医者にかかる場合のデメリットを解説します。

①予約の患者様が優先となるので待つことが多い

歯医者の基本的な待ち時間

治療が予定通りに終わらないこともあるので、多少予約時間とのズレが生じることもありますが、予約している場合であれば、基本的には待っても5〜10分程度でしょう。

飛び込みの待ち時間

歯医者は予約制なことがほとんどのため、事前に予約していた患者様が優先となります。

予約している患者様を時間通りに診ながら、空いたタイミングで飛び込みで来院された患者様を診るため、長時間待たなければならないことが多いです。

中には、偶然空き時間がありすぐ診てもらえる場合もありますが、1時間以上待つ場合もあるでしょう。

②応急処置だけになることがある

応急処置の内容

治療内容にもよりますが、飲み薬の処方や、お口の中の消毒や薬の塗布など、対処療法になることが多いでしょう。

応急処置の治療時間

予約の患者様の治療の合間に診るため、治療時間をしっかり確保することが難しく、通常の診療のようにしっかり診れないことが多いです。

そのため治療の続きを進めたい場合は、飛び込みではなく予約をして治療時間を確保する必要があります。

当日診てもらっている男性

どうしても当日診てもらいたい場合は?

いつもしっかり予約を守っている方でも、急に歯が痛くなって、どうしても当日に診てもらいたい時もあると思います。その場合どのように行動したら良いかまとめたので、参考にしてみてください。

①電話で当日予約をする

電話の必要性

飛び込みで歯医者に行くのではなく、事前に必ず電話をしましょう。

場合によっては、数時間かかるオペなどの処置が入っていたり、どうしても対応できない時間があります。

事前に電話しておくことで、そういった時間帯を避けることができます。

事前予約のメリット

歯医者側に予約のキャンセルがでて、空いている時間がある場合もあります。また、治療が早く終わり空き時間ができそうなところを案内してくれたりもするので、飛び込みで行くよりも待ち時間を短縮できる可能性があります。

歯医者側からしても、予約外の患者様が来る時間帯がわかっていた方が、事前に準備できることもあります。

②現在の症状を伝える

出ている症状を全て伝える

痛みや腫れなどがあることをきちんと伝えないと、緊急性がないと思われ断られる可能性もあるので、出ている症状は全て伝えましょう。

症状から治療の予測ができる

どのような症状が出ているか伝えておくことで、歯医者側も必要な治療の予測ができます。治療の予測ができると、必要な器具もあらかじめ準備することができ、スムーズな診療が行えます。

③当日予約可の歯医者を探す

かかりつけで対応できない場合もある

通っている歯医者が休診日であったり、オペなどの中断できない長時間の処置が入っていて診てもらえない場合もあります。

その場合は痛みを我慢せずに、他の歯医者で診てもらいましょう。

治療中なのに他の歯医者に行っても大丈夫かな?と思ってしまう方も居るかもしれませんが、私の経験上「かかりつけが休診日でやっていなかったから他院に行った」という方は結構居ます。

歯医者で勤務している立場からしても、緊急性のある症状の場合は早めに応急処置をした方が良いとわかっているので、痛みや腫れなどがある場合は早めに診てもらえるところに行きましょう。

歯医者の探し方

歯医者の中には、当日予約が可能であったり、初診・急患随時受付などの表記がある歯医者もあります。

検索サイト等で調べ、電話してみましょう。

④予約のマナーを守る

遅刻しないようにする

歯医者では患者様のために、治療時間や診療台の確保、器具の準備をしています。当日の電話をして診てもらえることになったら、遅刻しないようにできれば早めに来院するようにしましょう。

無断キャンセルはしない

やむを得ず予約を変更したい時は早めに連絡しましょう。

予約したのに行かないという無断キャンセルは、歯医者で働いている人だけでなく、他の患者様の迷惑にもなるので絶対にやめましょう。

歯医者を予約しようとしている女性

まとめ

歯医者では、予約の治療内容に合わせて器具やスタッフの人数などの調整をしています。

飛び込みでの受診は、事前に予約していた患者様の迷惑になってしまう可能性がありますし、十分な治療を受けられない可能性もあります。

緊急時以外は、きちんと予約をして計画的に治療を受けましょう。

また、緊急時の場合もいきなり飛び込みで歯医者に行くのではなく、当日であっても電話予約をしましょう。そうすることで、歯医者側も前もって準備できたり、患者様も待ち時間が少なくなるなど、双方がスムーズに治療を行う状態にすることができます。

2025-01-17 | Posted in デンタルニュースComments Closed 

 

歯医者を途中で変えることはできる?

デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。

歯医者に通院していると、「治療途中だけど、通うのを辞めたい」「歯医者を変えたいけど、勝手に変えていいのかな?」と思ったことのある方もいるのではないでしょうか?理由としては、引っ越しや仕事の都合で通院が難しくなったり、担当医と治療方針について合わないと感じていたりなど、さまざまだと思います。

結論からいうと、治療途中で歯医者を変えることは可能です。

この記事では、歯医者を途中で変えることのメリット・デメリットや注意点、自分に合う歯医者の探し方を紹介しています。治療途中で歯医者を変えようと思っている方は参考にしてみてくださいね。

歯科医院のイメージ

歯医者を途中で変えることはできる

歯医者を治療途中で変えることは可能であり、法的な手続きも必要ありません。私が今まで歯医者で勤務してきた経験上でも、治療途中で来院された方もいれば、転院された方もいらっしゃいました。担当医に歯医者を変えることを言いづらいと感じるようであれば、必ず報告しなければならないという義務もありません。

ただし、今すでに歯医者の予約を取っている場合は、無断キャンセルしてしまうと他の患者さんの迷惑になってしまうこともあるので、必ず予約をキャンセルしてから転院するようにしましょう。転院には以下のようなメリットとデメリットがあります。

歯医者を途中で変えるメリット

歯医者が変わることで、設備や担当医も変わるので、新しい検査や診断により、見逃されていた問題を見つけることができる可能性があります。また、今よりも家や職場から通いやすい歯医者を選ぶことで、通院がしやすくなりますね。事前に歯医者の情報を調べ、自分の症状や希望に合った歯医者を選択することで、治療方針や説明に納得できる可能性が高まるでしょう。

歯医者を途中で変えるデメリット

治療するにあたってお口の中の情報が必要であるため、転院先でもレントゲン写真や検査などは再び行うことがほとんどです。そのため、レントゲン撮影の料金や初診料などの費用が二重にかかります。

紹介されて転院する場合は紹介状を作成するため、治療内容の引き継ぎがきちんとされていることが多いですが、無断で転院した場合は、引き継ぎがスムーズにされていないため、診察や治療が最初からやり直しになる可能性があります。

また、合わないからといって何回も安易な転院を繰り返すと、適切な治療が受けられない可能性があります。その理由としては、コロコロ担当医が変わると、経過を見ていないので症状や身体の状態を把握しにくいのと、担当医によって治療方針が違うため、一貫した治療を行えないことが挙げられます。

メリット・デメリットを考えている女性

歯医者を途中で変える注意点

転院先を慎重に選ぼう

転院することを決めたものの、次の歯医者を慎重に選ばないと、また治療途中で変えるという結果になりかねません。新しく通おうとしている歯医者のホームページや口コミ情報を確認し、自分の症状に合った専門分野や治療方針での受診が可能か事前に調べておきましょう。

せっかく良い歯医者を見つけても、場所や診療時間が合わないとなかなか継続して通うことが難しいため、通院の利便性を考慮して探しましょう。

現在の担当医との相談

言いにくいということもあるかもしれませんが、転院を考えている場合は、まず現在の歯医者で相談してみるのも一つの方法です。自分の意見を伝えてみることで、歯医者を変えなくても問題が解決できる可能性もあります。

また、やっぱりどうしても歯医者を変えたいと言う場合は、現在の治療内容を確認しておくと、転院先に伝えられるためスムーズに引き継ぎができます。歯医者にとっては患者様の転院はさほど珍しいことでもないので、正直な理由を話してみても良いと思いますし、言いにくければ「仕事の都合で通いにくくなった」などの理由で十分だと思います。

費用に関する注意

現在の歯医者で、矯正治療や被せ物の治療途中であった場合、中断による返金が可能か、新たな費用が発生しないか確認しておきましょう。転院後、最初から診察し直しになる可能性は高いので、転院先で思わぬ出費とならないよう、新たな費用(初診料、検査料など)を把握しておきましょう。

歯科医師の話を聞く親子

自分に合う歯医者の探し方

転院先を慎重に選ぶためには、転院先の下調べが必要不可欠です。きちんと下調べをして、自分に合う歯医者を探しましょう。

口コミの活用

口コミはたくさんの方が参考にしている重要な情報源です。インターネットの口コミサイトの評価やGoogleマップのレビューなども参考にしましょう。私も歯科に限らず、病院やお店などの情報はGoogleマップのレビューを参考にすることが多いです。

また、近所の歯医者であれば知人や家族からの評判で、信憑性の高い情報を得られます。ただし、極端な評価だけを参考にするのではなく、複数の意見を見て総合的に判断しましょう。

医院の情報確認

公式ホームページで、診療内容や設備を確認しておきましょう。中には治療の実績や症例写真を載せている場合もあるので、そちらも合わせてチェックしておきましょう。歯科医の経歴や専門分野も調べておくと、自分の望む治療に対応可能かどうか事前にわかります。

通院のしやすさ

歯医者の立地だけでなく、診療時間や予約システムもチェックしておきましょう。

私は歯科ではないのですが、以前急ぎでかかった自宅の近隣の病院がありました。しかし、仕事の勤務時間の都合上どうしても頻繁に通うことができず、転院することになってしまいました。急ぎだったとは言え、今後継続して通院が可能かの確認をしておくべきだったと感じました。

歯医者での治療は週1程度のペースで継続的に通うことが多いです。また、自分の予定が空いていても、歯医者の予約がいっぱいで希望通りに予約が取れない場合もあるので、余裕を持って通える時間帯や曜日の歯医者を選びましょう。

重視すべきポイント

自分がどこに重きを置くかで変わってきますが、ポイントとしては

①歯医者の環境:衛生管理や設備の充実度
②担当医の人柄:丁寧な説明と対応
③担当医の技術:治療実績、幅広い症例への対応力

が挙げられます。総合的に見て、自分の希望と合いそうか判断しましょう。

口コミで歯医者を選んでいる様子

まとめ

歯医者を途中で変えても、必ず今より良い歯医者と出会えるわけではありません。良い歯医者に出会おうとして何回も転院を繰り返すと、その度に治療が遅れ、どんどん完治から遠のいてしまうことになります。歯医者を変える場合は、転院を繰り返すことにならないよう、事前にしっかりリサーチしておきましょう。

最終的には実際に足を運び、雰囲気や対応を直接確認することが大切です。

2025-01-10 | Posted in デンタルニュースComments Closed 

 

「歯医者の治療で終わりが見えない…」理由や解決策を紹介

デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。

歯医者に行った時に毎回「次はいつにされますか」と聞かれ、「治療に終わりが見えない」「いつまで通えばいいの」と思うことってありますよね。

通い続けるのが嫌で通わなくなってしまう方もいると思います。

私も以前、歯医者ではありませんが、接骨院に数ヶ月間通い終わりが見えないと感じ、通うことが嫌になってしまった経験があります。

プライベートの予定も立てにくい上に、1回にかかる治療費が数千円だとしても、週に1〜2回通っていると月数万円になってしまうので、痛い出費ですよね。

この記事では、歯医者の治療が、終わり見えないと感じるほど長くなってしまう理由について解説しています。

また、治療期間を短くするための方法や、治療期間を短くしてもらうための伝え方について考えてみたので、歯医者の治療に終わりが見えないと感じている方は参考にしてみてください。

歯科治療の治療期間について考えている男性

歯医者の治療期間が長くなる理由

歯医者に通っていて治療に終わりが見えないと感じるのは、治療期間が思っていたよりも長くかかってしまっているからだと思います。

しかし、治療期間が長くかかってしまうのには複数の理由があるのです。

ひとつずつ解説します。

⒈虫歯の進行具合

一言で「虫歯治療」と言っても、虫歯の進行状況によって治療の期間は大きく違います。

初期の小さな虫歯の場合、1回の治療で終わることもありますが、神経まで進行した虫歯の場合、1ヶ月以上の治療期間がかかることが多いです。

なぜこんなにも治療期間に差が出るのか?

それは、小さな虫歯の場合、虫歯を削ってプラスチックの材料で埋めるだけで済みますが、神経まで達した虫歯の場合、根管治療(歯の根の治療)で5回前後と、歯の土台作り、被せ物を型取りしてセットするまでと長い道のりであるためです。

2.全体のバランスを考慮している

虫歯が複数ある場合は、一度に全ての治療を行いません。

小さな虫歯なら同時に行うことがあるかもしれませんが、ある程度の大きさの虫歯を左右同時に行ってしまうと、治療期間中に噛めるところがなくなってしまったり、本来の噛み合わせの位置がわからなくなってしまいます。

全体の噛み合わせの状態を見ながらバランスを考えて治療を行うため、複数回の通院が必要になります。

3.患者様への負担を考慮している

一度に多くの虫歯の処置を行うためには、治療中に長時間お口を開けていなければいけません。そのため、患者様への負担が大きくなってしまいます。

また、前述したように、噛めるところがなくなってしまうと治療期間中に食事がしづらくなるなど日常生活に支障が出る可能性が高いため、治療をわけて行うことがあります。

4.保険診療のルール

健康保険適用の歯科治療では、原則として一度に多くの治療を行うことはできません。

健康保険内で行う治療は、処置ごとに保険点数が決まっています。この点数が高い患者様が多い歯科医院は、厚生労働省から指導や処分を受けることになります。

また、歯医者の予約システムの都合も関係しています。

一人あたりに長時間の診療時間を確保していると、他の患者様の予約がとりづらくなってしまいます。 患者様への治療を複数に分けて行うことで、一回あたりの診療時間が短くなり、多くの患者様が予約を取りやすくなります。

5.メンテナンスを継続する必要があるため

治療以外にも、メンテナンスについて終わりが見えないと感じる方もいらっしゃると思います。

メンテナンスというのは生きている限り一生続くものであるため、終わりはありません。

歯の健康を維持するためにはメンテナンスは不可欠だからです。

そのため、歯医者側からメンテナンスに通うよう指示されることがあります。

私も歯科衛生士という立場からすると、メンテナンスに通わないというのはおすすめではありませんが、嫌であれば断ることもできます。

中には仕事が忙しく、メンテナンス期間を長めに設定している方も居るので、メンテナンスに通うことを負担に感じるようであれば、担当医に相談してみましょう。

メンテナンスをしている様子

治療期間を短くするためにはどうしたらいい?

実際に治療期間を短く済ますためには、何かできることはあるのでしょうか?

いくつか取り組めそうな対策を考えてみました。

1.定期的な歯科検診を受ける

小さな虫歯など初期のうちは症状がわかりにくく、自分で気がつかないことが多いので、検診で見つけてもらうことが大事です。

また、定期的に歯科検診を受けている方は、お口の中も定期的なプロケアでメンテナンスされているので清潔に保たれ、虫歯や歯周病になりにくい環境であると考えられます。

2.早期発見・早期治療を心がける

虫歯ができても小さなうちに見つけることで、大掛かりな処置になる前に治療ができます。

定期的に歯科検診を受けたり、日常でのわずかな異変(フロスが引っかかる、舌での触感の変化、噛んだ時の違和感など)を感じたら早めに受診することが大事です。

3.日頃から丁寧な歯磨きを行う

治療が必要になる主な原因は、歯周病や虫歯であることがほとんどです。

日頃から丁寧な歯磨きを行うことで、お口の中の細菌数を減らすことができるため、歯周病や虫歯になりにくくなります。

実際に日々メンテナンスを行っている私の立場から見ても、しっかりセルフケアができている方は、お口のトラブルが少ないように感じます。

4.必要に応じて自費診療を検討する

自費診療にしても治療期間が変わらない処置もありますが、保険点数のルールなどは関係なくなるため、場合によっては治療期間を短くすることが可能かもしれません。

担当医に相談してみると良いでしょう。

フロスをしている様子

歯医者に治療期間を短くしたいと伝える方法

治療期間を短くしたいけど、そう伝えたところで短くしてもらえるのか?どのように伝えたらより短くしてもらえるのか?

治療期間を短くしてもらうための効果的な伝え方についてご紹介します。

1.治療方針の相談

まずは担当医に、今後の治療方針についてしっかり説明をしてもらいましょう。

その上で、「治療期間をできるだけ短くしたいこと」「仕事やプライベートの予定で長期の通院が難しいこと」「短期で集中して治療を行うことは可能か」というポイントを伝えましょう。

全てを担当医任せにせず、どういった治療でどのくらいの間隔が必要なのかなど、治療方針を自分でも把握しておくと、予定を立てやすいです。

2.具体的な要望を伝える

ただ「治療期間を短くして」と伝えるよりも、具体的に「1回の診療時間を長くすることは可能か」「複数の歯を同時に治療はできないか」「より効率的な治療方法や最新の機器の使用は可能か」などの提案を伝えることで、担当医側も答えやすくなります。

3.自分の状況を説明する

治療期間を短くしたい理由がある場合は、自分の状況を事前に伝えておきましょう。

「転勤や引っ越しの予定がある」「海外出張や長期休暇の予定がある」「痛みや不安感が強く、治療を早く終えたい気持ちがある」というのは理由としてよく耳にします。

担当医としっかりコミュニケーションをとることで、より効率的な治療計画を立てることにつながります。

歯科医に相談している様子

まとめ

歯医者での治療は、通っているとひたすら終わりが見えないと感じてしまうこともあると思います。

しかし、自分でもお口の中の状況を把握し、治療の流れを理解することができれば、治療の終わりまでの道のりがわかります。

治療の全体像を把握すると、案外終わりが見えてくることもあるでしょう。

また、全てを担当医任せにせずに、自分の状況などを説明したり、担当医と治療について相談することも、治療期間を短くするためには必要です。

2024-12-27 | Posted in デンタルニュースComments Closed 

 

歯医者のホワイトニングと歯医者以外のホワイトニングの効果の違い

デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。

「歯医者でやるホワイトニングって、やっぱり他と比べて効果があるの?」

「どのくらいで白くなるの?」

ホワイトニングをしようと思って調べると、歯医者のホワイトニング以外にもホワイトニング専門のサロンなど、たくさんの情報が出てきます。

歯医者のホワイトニングと歯医者以外のホワイトニングでは一体何が違うのか?効果に違いがあるのか?を調査してみました。

私も過去にホワイトニングをした経験があるので、その時のホワイトニング効果の感想と、注意したことについてもまとめてみました。

ホワイトニングに興味のある方や、ホワイトニングをこれからしようと思っている方は参考にしてみてください。

ホワイトニングイメージ

歯医者のホワイトニングの種類

歯医者のホワイトニングの方法はいくつかあり、効果にも違いがあります。

歯医者で行うオフィスホワイトニングと、専用のトレーと薬剤を受け取り自宅で行うホームホワイトニング、その両方を併用したデュアルホワイトニングがあります。

また、あまり知られていませんが、神経が死んでしまって変色してしまった歯を白くするウォーキングブリーチという方法もあるのです。

ホワイトニングは一度行えばずっと白いままではなく、後戻りと言って元の色に戻ってしまうのですが、ホワイトニングの種類によってその効果の期間も違ったりします。

それぞれのホワイトニングの種類の特徴について解説します。

オフィスホワイトニング

オフィスホワイトニングは歯医者で治療を受けるように、歯科医師や歯科衛生士に施術してもらう方法です。

使用している薬剤も濃度が高いものなので、短期間で白くすることができます。

効果には多少個人差がありますが、中には1回の施術で白さを感じる人もいます。

1〜2週間おきに3回程度施術を受けるのが一般的です。

短期間で効果が出るため、結婚式の前など、特別なイベント前に施術を受ける方が多い印象です。

ホームホワイトニング

歯医者で歯の型取りをして自分専用のトレーを作成し、トレーの中に薬剤を入れたものを自宅で数時間装着することで徐々に白くしていく方法です。

オフィスホワイトニングに比べ弱い薬剤を使用するので、オフィスホワイトニングのような即効性はなく、効果が出るまで数日間繰り返し行う必要があります。

手間や時間はかかりますが、オフィスホワイトニングより後戻りがしにくく、効果が持続しやすいという特徴があります。

デュアルホワイトニング

デュアルホワイトニングとは、オフィスホワイトニングとホームホワイトニングの両方を併用する方法です。

歯医者でオフィスホワイトニングを受けた後、自宅でホームホワイトニングを継続します。

オフィスホワイトニングで得られる即効性と、ホームホワイトニングの持続力の両方が感じられます。

ウォーキングブリーチ

ウォーキングブリーチは、前述した歯の全体を白くする方法とは少し違い、神経が死んでしまって変色した歯のみを白くする方法です。

歯の神経が死んでしまうと、時間の経過とともに歯が変色していき黒ずんでしまいます。神経のない歯には通常のホワイトニングの薬剤は作用しないので、白くしたい場合は上から被せ物をするか、ウォーキングブリーチを行うしか方法はありません。

神経の死んでしまった歯の内部に薬剤を入れて直接作用させます。変色の程度にもよりますが、薬剤を数回交換する必要があります。

ホワイトニングについて患者に説明している医師

歯医者以外のホワイトニング

近年、歯医者以外でホワイトニングを行う、セルフホワイトニングサロンが増えてきています。歯医者のホワイトニングと何が違うのかを解説します。

セルフホワイトニングサロンの特徴

セルフホワイトニングサロンでは、歯医者で使用する薬剤と比べ、安全性の高い薬剤を使用しています。歯の表面についた着色汚れを除去し、歯の本来の白さを取り戻す効果があります。

歯医者のホワイトニングに比べて低価格で行うことができ、施術時間も30分程度のため、忙しい人でも通いやすいです。

サロンスタッフの指示のもと、利用者が自分で歯に薬剤を塗り、ホワイトニングを行います。

注意点と制限

セルフホワイトニングサロンの効果には限界があります。

安全性の高い薬剤を使用しているため、歯医者でのホワイトニングのように歯の内部まで漂白する効果はありません。そのため、歯の本来の色以上に白くすることは難しいです。

また、医療機関ではないため、サロンに歯科医師や歯科衛生士が在籍していることは少ないです。

スタッフが直接お口の中に触れることはできないため、全て自分で行う必要があります。

セルフホワイトニングサロンは、手軽さと低価格が魅力ですが、効果や安全性の面では歯医者でのホワイトニングに劣ります。

受け付けで説明を受けている患者

私がホワイトニングをやってみた感想

私は以前、歯医者のホワイトニングの種類のうち、ホームホワイトニングを行ったことがあります。

効果の感じ方には個人差があるとは思いますが、体験談として参考にしてみてください。

白さの持続効果

私はホームホワイトニングを始めて2週間程度で白さを感じてきました。

ホームホワイトニングの一般的な白さの持続期間は6ヶ月〜12ヶ月ほどと言われていますが、私の場合は1年以上経っても「白いですね」と言われることも多く、実際に歯の色見本(シェードガイド)でも比較して確認しましたが、白さを保つことができていました。

歯を白くしたいのが急ぎでなく、白さの持続を重視するのであれば、私は断然ホームホワイトニングがおすすめです。

注意したこと

ホワイトニングをするにあたって、食事制限があります。

ホワイトニング中は着色性の高い飲食は避けるようにとされていますが、私は毎日コーヒーを飲む習慣があったため、そこが一番の難関でした。

ホワイトニング直後1〜2時間を避け、ストローで飲むという方法も実践しましたが、結局口の中で広がってしまうので、おすすめしません。

一見何も影響がないように見えますが、ホワイトニング後は歯が色素を取り込みやすい状態となっているので、注意が必要です。

トレーに薬剤を入れ2時間装着したまま過ごす、というのもなかなか不快でした。どうしてもトレーの存在が気になってしまうので、個人的には何か集中できることや作業をしている時だとトレーのことを忘れられて良かったです。

また、連続して1週間ほどホワイトニングを行った際に、一時的に知覚過敏の症状が起こるようになりました。そのため、2〜3日おきに様子をみながらホワイトニングを行っていました。ホワイトニングをやめてからは知覚過敏の症状は治りました。

私の場合はそこまでひどい症状ではなかったので、少し日にちを空けてお休みを入れることで継続できましたが、もし症状が強い場合は、無理に続けず歯医者で相談をしましょう。

ホワイトニングイメージ

まとめ

ホワイトニングは種類によって、効果だけでなく方法や料金も変わります。

歯医者に何回も通うのが難しい方もいれば、自宅でホワイトニングの時間を取れない方もいらっしゃると思います。

ホワイトニングの方法や予算、だいたいの通院回数やかかる期間などは、事前に必ずチェックをして、自分の生活スタイルに適したホワイトニングの種類を選択しましょう。

2024-12-20 | Posted in デンタルニュースComments Closed 

 

歯医者での麻酔が切れない?効果時間と対処法

デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。

「歯医者さんで麻酔したけど、思っていたより麻酔が切れない…いつまで効いてるの?」

「麻酔が効いたままだけど、食事はどうしたらいいの?」

歯医者の治療で麻酔をした後、なかなか麻酔の効果が切れなかったり、事前に食事の予定を入れてしまっていたということがあるかもしれません。

今回は、麻酔の効き時間と、麻酔が効いている時の注意事項について解説します。

思っていたより麻酔が切れなくて困っている方や、これから麻酔をする処置を控えている方はぜひ参考にしてみてください。

麻酔の効く時間は2〜6時間

通常の麻酔の場合は1〜3時間

歯科で通常使用されている麻酔は、「浸潤麻酔」と呼ばれています。

浸潤麻酔は痛みを取りたい歯の付近の歯茎に注射をして、麻酔薬が浸透したところの感覚を麻痺させる方法です。

浸潤麻酔の場合、効き目は1〜3時間程度になります。

例外として、アドレナリンの使用ができない患者さん(動悸や血圧の上昇が禁忌な方)が使用する麻酔薬は、通常使用される麻酔薬より持続効果が短く、30分程度の効き目になります。

伝達麻酔の場合は4〜6時間

「伝達麻酔」とは、浸潤麻酔より広範囲に麻酔を効かせることができる方法です。神経の周囲に麻酔することで、下唇や舌などの広範囲に長時間効きます。

歯医者では、親知らずの抜歯をする時にこの麻酔法を行うことが多いです。

伝達麻酔の場合、効き目は4〜6時間程度になります。

私も過去に、親知らずの抜歯で伝達麻酔をしてもらったことがあるのですが、夕方に麻酔をしてから寝る前の22〜23時頃まで麻酔の効果が効いていました。

伝達麻酔をするような外科処置の場合は、大掛かりな処置であることが多いです。私の場合も、歯茎を切って骨を削る必要があるような抜歯でした。

そのような大掛かりな処置の場合は、麻酔が切れた後に傷口の痛みが出てしまうので、麻酔が切れる前に痛みどめの薬を飲んでおいたり、私のように夕方〜夜に処置を行った場合は麻酔が切れる前に早めに寝てしまうのがお勧めです。

麻酔の効果には個人差がある

浸潤麻酔も伝達麻酔も人によって効き目に個人差があります。

そのため、麻酔を打っている側の歯医者でも、麻酔の効果時間を正確に予測することは難しいです。

歯医者で「麻酔は◯時間くらい効いてます」「お食事は◯時間後にとってください」など声かけをされることがあるかもしれませんが、あくまで一般的な目安の時間なので、言われた時間を過ぎても麻酔が切れない場合でも焦らず待ちましょう。

必ず麻酔は切れるので、安心してください。

私は今までの経験で、歯科治療で麻酔をされた方を何人も見てきましたが、早い方だと、まだおうちに帰られる前に麻酔が切れてきたという方もいました。

本当に効き目には個人差があると感じています。

 

麻酔が効いている時に注意すること

食事

歯医者で「お食事は麻酔が切れてから」と言われることが多いと思います。

なぜ麻酔が効いている間に食事をしてはいけないのか?

麻酔が効いている間に食事をとっても、体の内部に何か悪影響が出るわけではありません。

しかし、麻酔をすると治療している歯だけでなく、周りの頬や唇まで感覚がなくなります。感覚がない時に食事をしてしまうと、誤って頬や唇を噛んでしまったり、熱いものに気がつかず火傷をしてしまうリスクがあるため、麻酔が切れた後に食事をするよう勧めています。

とは言え、麻酔がなかなか切れないうちに食事の時間になってしまったり、食事の約束を入れていた場合もあるかもしれません。また、夜遅くに麻酔の処置をした場合、食事せずに寝るわけにもいきません。

その場合は、あまり噛む必要がない柔らかいものや、熱いものを避けてぬるめの温度のものを選ぶようにしましょう。

また、勢いで頬を噛んでしまうことがないよう、気をつけてゆっくり食事するようにしましょう。

アルコールを控える

麻酔とアルコールの場合も、食事と同じように体に悪影響が出るわけではありませんが、麻酔をするような虫歯や抜歯などの治療をした場合は、アルコールを避ける必要があります。

アルコールを摂取して血行が良くなることで、傷の治りが遅くなったり、痛みや腫れを引き起こす可能性があるためです。

付き合いなどでどうしても飲酒しなければならない場合は、少量にとどめる、水分補給をする、無理に飲酒せず治療部位の回復を優先するようにしましょう。

とは言え前述した通り、付き合いの場でも飲酒しなくて済む場合はしない方がベターです。

触らない

麻酔をしたことで頬や唇の感覚がなくなっているので、気になって触ってしまうことがあるかもしれません。

しかし、触り過ぎたり引っ張ったりすると、知らないうちに粘膜が傷ついてしまうことがあります。

その時は痛みがなくても、麻酔が切れた後に痛みが出てしまうので、むやみに触らないよう気をつけましょう。

特に子供の場合は、面白がってわざと頬を噛んでみたり、引っ張ってしまうこともあるので注意しましょう。

まとめ

歯医者で治療をしていると、予定していなくても急に麻酔をする必要があるかもしれません。また、予想してした時間よりなかなか麻酔が切れない場合もありますが、できるだけ麻酔が切れてから飲食をしましょう。

麻酔をすると最初からわかっている場合は、その後は予定を入れない、先に食事しておくなど事前に準備をしておくと、後々困らずに過ごせるのでお勧めです。

2024-12-13 | Posted in デンタルニュースComments Closed 

 

歯周病のクリーニングの頻度はどのくらい?

デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。

「歯周病のクリーニングの頻度ってどのくらいが正しいのかな?」
「今の自分の頻度で合ってるのかな?」
歯科医院で定期的なクリーニングを受けている方は、3ヶ月に1回程度の頻度で通っていらっしゃる方も多いと思います。
私もクリーニングをする際、人にもよりますが、多くの方に3ヶ月ペースで来院してもらっています。
この記事では、どのような基準でクリーニングの頻度が決まるのかを解説します。

なぜ3ヶ月に1回なのか?

前述したように、歯科医院で定期的にクリーニングに通っている方は、「また3ヶ月後に来てくださいね〜」と言われたことがある方も多いのではないでしょうか?
なぜこの頻度で勧めるのか?その理由をお伝えします。

歯周ポケット内の細菌数の変化

歯周ポケット内の歯周病菌に関する研究結果によると、歯周ポケット内の細菌数はクリーニングをしてから3ヶ月で元の細菌数まで戻ってしまうと言われています。

これはいくら気をつけて綺麗に磨いても、歯周ポケット内で起こっていることなので防ぎようがありません。
とは言え、しっかりセルフケアができており綺麗なお口の状態を保てていれば、毎回きっちり3ヶ月でなくても大きな問題はありません。
大切なのは途中で通うことを辞めてしまわず、定期的にクリーニングを受けることです。

健康保険の算定が3ヶ月ごと

健康保険のクリーニングでは、保険点数が決められています。
基本的には歯周病のクリーニングの保険点数は3ヶ月に1回算定できるという決まりがあるので、多くの歯科医院では3ヶ月に1回の頻度でクリーニングを行っています。
恐らく、前述した歯周ポケット内の細菌数の変化などの理由で、この頻度が決められているのでしょう。

1〜2ヶ月で行う場合もある

クリーニングの頻度は、全員がそろって3ヶ月ごとというわけではありません。
ひとりひとり歯周病の程度も違うため、もっと短い頻度で来院するよう指示がある場合もあります。
どのような場合、短い頻度になるのかご紹介します。

重度の歯周病や全身疾患がある方

通常の歯石とりなどの歯周病治療を行っても状態が改善しない場合、歯周外科治療を行うことがあります。
そういった治療をされた方は、3ヶ月以内であってもクリーニングが必要な場合があります。
その他には、全身的な疾患の状態により歯周病の病状に大きく影響を与える場合 、 全身的な疾患の状態により歯周外科手術が実施できない場合、侵襲性歯周炎の場合も、1〜2ヶ月程度の短い頻度でのクリーニングが推奨されています。

口管強、自費クリーニングなどは月1も可能

口管強(こうかんきょう)とは、口腔管理体制強化加算の略で、歯科医院を評価する加算制度です。
患者さんの生涯にわたる口腔機能の管理を評価し、歯科疾患の重症化を予防することを目的としています。
口管強の認定を受けている歯科医院では、健康保険内の治療でも、歯周病のクリーニングの保険点数を1ヶ月に1回算定できるという決まりがあります。
しかし、口管強の認定を受けるには、厚生労働省が定めた基準を満たしていなければならないため、口管強の認定を受けている歯科医院は全国でわずか10%程度とも言われています。
当院では口菅強の認定を受けていますので、歯周病のクリーニングをより頻繁に受診することが可能です。

また、健康保険外の自費クリーニングであれば、保険点数などの縛りがないため、1〜2ヶ月程度の短い頻度でのクリーニングも可能です。

実際に来院される方のお口の状況は?

では、実際にクリーニングに来院される方のお口の中はどうなのか?
本当に3ヶ月の頻度でクリーニングが必要なくらい汚れているのか?
私の経験から解説します。

歯石のつきやすい方は3ヶ月程度でついてくる

患者さんひとりひとり、お口の中の環境やセルフケアの技術は違うので、歯石のつきやすい方は3ヶ月程度の期間でもしっかりついてきます。
日々のセルフケアをちゃんと行っている方でも、どうしても磨き方のクセはあるので、100%綺麗に磨けるわけではありません。
自分ではしっかり磨けたつもりでも、実は磨き残しや歯石がたくさん着いていた、というのはよくあることです。
さらに歯石は歯と同じような色をしており、なかなか見分けがつきません。
歯石の付きやすい位置は、下の前歯の裏側や、一番奥の歯だったりするので、肉眼で確認するのは難しいです。
歯科の実習生や新人のクリーニングで、歯石の取り残しがないか先生や先輩に確認してもらう、なんてこともあるので、素人目に見つけるのはかなり困難でしょう。
また、着色に関しても、付きやすさに個人差があるので、中にはクリーニング後1ヶ月程度でも着色が付いてしまう方もいます。

3ヶ月すぎても綺麗な人もいる

クリーニング後、3ヶ月経っても歯石がほぼ見当たらないくらい綺麗な方もいます。
このような方は、磨き残しの染め出しなどを行っても、100%ではありませんが、ほとんど綺麗に磨けています。
私はこのような方には、きっちり3ヶ月でなくてもご自分の都合に合わせての来院で大丈夫ですよ、とお話ししていますが、このような方は歯に対する意識も高いため、自らすすんで3ヶ月の頻度でクリーニングに来てくださる方が多い印象です。

まとめ

歯石の付き具合、歯周病の進行具合は、患者さんひとりひとりの環境によって大きく変わってくるので、個人差があります。
そのため、クリーニングの頻度が3ヶ月ごとの方も居れば、1〜2ヶ月ごとの頻度を勧める方も居ます。

なぜ自分がこの頻度なのか疑問に思ったら、検査の結果などをしっかり聞いて、自分のお口の状態を把握しましょう。
仕事やプライベートが忙しく勧められた頻度で通うことが難しかったり、1度行かなくなって行きづらいという場合もあるとは思いますが、歯周病は自覚症状がわかりにくく、気がつかないうちに進んでしまう病気です。
見た感じ綺麗だから、自分は気をつけているから、などと自己判断せずに、定期的にクリーニングを受診しましょう。

2024-11-29 | Posted in デンタルニュースComments Closed 

 

歯周病の初期症状とは?原因と予防法も解説

歯磨きの時に血が出るけど、まさか歯周病…?と思ったことはありませんか?
実は、歯ぐきの出血は歯周病の初期症状のひとつかもしれません。
放っておくと歯を失う可能性も。
この記事では、歯周病の初期症状を詳しく解説し、原因や予防方法についてもご紹介します。
歯周病が気になる方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

歯周病の初期症状とは?

歯周病は、歯を支えている骨を溶かしてしまう恐ろしい病気です。
しかし、初期段階では自覚症状がほとんどなく、気がつかないうちに進行してしまうことが多いため、早期発見・早期治療が大切です。
ここでは、代表的な初期症状を5つご紹介します。

①歯ぐきの出血
歯周病の初期段階では、歯磨きや食事のときに歯ぐきから出血する症状がよく見られます。
歯周病の細菌によって歯ぐきに炎症が起き、血管が破れて出血しやすくなるためです。
最初は少量の出血ですが、進行すると出血量が増えたり、長期間続くようになります。
歯周病以外にも、歯ブラシの当て方が強すぎると歯ぐきから出血することもありますが、出血が頻繁に起こる場合は、歯周病の可能性を疑い歯科医院を受診しましょう。

②歯ぐきの腫れ
歯ぐきが赤く腫れ上がり、触ると痛みを感じる場合があります。
これは、歯周病菌による炎症が原因です。
歯ぐきの腫れだけでなく、熱を感じることもあります。

③口臭
歯周病菌が作り出す揮発性硫黄化合物と呼ばれるガスが、口臭の原因となっています。
一般的には、腐った卵や腐った玉ねぎ、生ごみのような臭いがすると言われています。
歯周病以外の原因で口臭がする場合もありますが、歯磨きをしても口臭が消えない、起床時に口の中がネバネバする、などの症状が見られる場合は歯周病の可能性が高いです。

④歯が浮く
歯がグラグラするような感覚は、歯周病の代表的な症状です。
歯周病が進行すると歯を支えている骨が溶けてしまい、歯がグラグラする、噛み合わせが変わった、などの症状が現れます。

⑤歯と歯の間の隙間があく
歯と歯の間が以前よりも開いてきたように感じる場合は、歯周病が原因の可能性があります。
歯周病によって歯を支えている骨が溶けると、歯と歯の間が広がり、隙間ができてしまいます。
また、歯が長くなったように見えることもあります。

歯周病の原因

歯周病は、単に歯を磨かないことが原因で起こる病気ではありません。
様々な要因が複雑に絡み合って発生します。
主な原因として、以下の3点が挙げられます。

①歯垢と歯石
歯の表面に付着した細菌とその代謝物が混ざり合ったものが歯垢(プラーク)です。
この歯垢がかたまると、歯ブラシでは除去できない歯石となります。
歯石は細菌の温床となり、歯周病を引き起こす主な原因の一つです。
歯石に付着した細菌は、歯周組織を破壊する毒素を出し、歯周病を悪化させます。

②細菌
歯垢の中には、歯周病の原因となる細菌がいます。
これらの細菌は、歯周ポケットと呼ばれる歯と歯ぐきの間に入り込み、炎症を起こします。

③生活習慣
ストレス、喫煙、糖尿病などの生活習慣も、歯周病に大きく影響を与えます。
ストレスは免疫力を低下させ、喫煙は血管を収縮させて歯周組織への血流を悪化させます。
また、糖尿病は、細菌の感染に対して抵抗力を弱めるため、歯周病を悪化させるリスクがあります。

歯周病の予防方法

①正しい歯磨き
歯周病の予防の基本は、毎日の丁寧な歯磨きです。
歯ブラシを使って、歯の表面だけでなく、歯と歯の間、歯と歯肉の境目も丁寧に磨くことが大切です。

また、歯ブラシの選び方や磨き方、デンタルフロスや歯間ブラシなどの清掃用具の使用によって、歯垢の除去率は大きく変わります。
歯科医院で正しい歯磨き方法を教わることがおすすめです。

②定期的な歯科検診
ご自身での歯みがきでは、どうしても磨き残しが出てしまうものです。
そのため、定期的に歯科検診を受け、歯石の除去や歯周病のチェックを行いましょう。

歯科衛生士によるプロフェッショナルクリーニングを受けることで、歯周病を予防し、健康なお口を維持することができます。
一般的には、3ヶ月〜6ヶ月に一度の歯科検診がおすすめです。

③食生活の改善
食生活も歯周病に影響を与えます。
特に、甘いものを頻繁に摂取すると、口の中の細菌が繁殖しやすくなり、歯周病のリスクが高まります。
そのため、糖質の摂取量を控え、バランスの取れた食事を心がけることが大切です。

まとめ

歯周病は、早期発見・早期治療が大切です。
歯周病は、自覚症状がほとんどないうちに進行することが多いですが、早期に治療を開始すれば、歯を失わずに済む可能性が高まります。

歯に違和感を感じたり、出血するなど、少しでも気になる症状がある場合は、早めに歯科医院を受診しましょう。
日頃から正しい口腔ケアを行い、定期的な歯科検診を受けることも歯周病予防に繋がります。

2024-11-22 | Posted in デンタルニュースComments Closed 

 

どうして虫歯ができるの?

虫歯の原因菌

歯を磨いているのに、どうして虫歯ができてしまうのでしょうか?
人によっては虫歯が一本もないという人もいます。
その差は、お口の中に虫歯菌がいるかいないかの違いによります。

人間の口の中には数百種類の菌がいると言われています。
この菌の中で、むし歯を作る原因菌として最も病原性が高いものがストレプト・コッカス・ミュータンス菌という菌です。
下の写真がこの菌です。う~んなんだか気持ち悪いですね。

ミュータンス菌は甘いものが大好きで、食べ物に含まれる糖を食べて歯の表面にプラーク(歯垢)という白っぽいねばねばした物を出します。

プラークには沢山の菌が住み付いたマンションのようなもの。なんと1mg中に1億個ほどまでに増殖するのです。
そして、このプラークが形成されてから24~48時間で、ミュータンス菌などのむし歯菌が、食べ物に含まれる糖質によって酸を作り出します。

この酸が歯の表面のエナメル質を溶かしてしまい、むし歯ができるのです。

どのように進行するの?

むし歯は感染症ですので、放置しているとどんどん進行していきます。
むし歯の進行度はCo~C4などという言葉で表します。

C1までは自覚症状はありません。
早いうちに見つけて治療することが大切です。

Co:カリエスオブザベーションの略。エナメル質が白濁しまだ穴もあいていない状態。
C1:むし歯がエナメル質まで留まっているもの。(ほとんど無症状)
C2:象牙質まですすんだもの。(歯がしみる。冷温水痛など)
C3:歯髄(歯の神経)まで及んだもの。(ズキズキと痛む)
C4:歯の頭の部分(歯冠部)が崩壊して、根だけが残った状態。(もう痛みはない)

むし歯にならない為にはどうすればいい??

むし歯ができるにはこの様な式が考えられます。
このどれか一つでもなければ、むし歯にはならないということです。

①歯+②糖質+③むし歯菌+④時間=むし歯の発生

むし歯予防にとって最も大切なのは、適正な方法のハミガキをして、むし歯の原因になるプラークを取り除くことです。

しかし、自分での歯磨きは、どんなに丁寧に磨いても30%程度の歯垢は残ってしまうと言われています。

また、歯石になると自分では取り除くことができません。

定期的に歯科医院に行き、歯科衛生士さんに専用の器具を使って歯垢と歯石を除去してもらいましょう。

2024-11-19 | Posted in デンタルニュースComments Closed