デンタルニュース
ホワイトニング歯磨き粉は歯に悪い? 安全性と正しい使い方を解説
日本橋の歯医者「日本橋グリーン歯科」デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。
「ホワイトニング歯磨き粉を使ってみたいけれど、本当に安全なのか不安…」と感じる方は少なくありません。
実際、患者さんからも「研磨剤で歯が削れませんか?」「使い続けたらしみるようになるのでは?」と質問を受けることがあります。
確かに、使い方を誤れば歯や歯ぐきに負担をかける可能性はあります。
しかし、正しい知識を身につけて適切に取り入れれば、安心して活用できるアイテムです。
ここでは、ホワイトニング歯磨き粉の特徴や注意点をわかりやすく解説していきます。
ホワイトニング歯磨き粉は歯に悪いの?
①研磨剤による影響はある?
歯の表面を削りすぎるリスク
ホワイトニング歯磨き粉の多くには、ステイン(着色汚れ)を取り除くための研磨剤が含まれています。
正しく使えば歯の本来の色を保つ助けになりますが、強い力でゴシゴシと磨くとエナメル質を少しずつすり減らしてしまいます。
硬めの歯ブラシで長時間磨くと、表面が傷つき、かえって黄ばみやすくなることもあります。
実際に、私が担当した患者さんからも「毎日しっかり磨いていたら冷たい水で歯がしみるようになった」と相談を受けたケースがあり、診察で摩耗が確認されたことがあります。
適切な使い方を守れば安心
一方で、研磨剤入りだからといって「すぐに歯を悪くする」というわけではありません。
市販の歯磨き粉は成分量が安全な範囲に調整されており、正しい磨き方をすれば心配は少ないのです。
大切なのは力を入れすぎないことと、磨く時間を長くしすぎないことです。
②知覚過敏の心配について
なぜしみる症状が出やすいのか
ホワイトニング歯磨き粉を使ったあとに「しみる」と感じる方もいます。
これは、エナメル質が薄かったり歯ぐきが下がって象牙質が露出している場合、刺激が神経まで届きやすくなるためです。
知覚過敏にならないための工夫
知覚過敏の予防のためには、ホワイトニング歯磨き粉の使用頻度を調整することが大切です。
毎回ではなく夜だけ使う、柔らかめの歯ブラシを選ぶなどの工夫でリスクを減らせます。
さらに、フッ素や硝酸カリウム入りの歯磨き粉を併用すると、歯がしみるのを抑える働きが期待できます。
実際に「朝は知覚過敏ケア用、夜はホワイトニング用」と使い分けていただいた患者さんからは「白さも保てて、しみる症状も落ち着いた」と喜びの声をいただいた経験があります。
市販のホワイトニング歯磨き粉の仕組み
①漂白効果はあるの?
歯医者のホワイトニングとの違い
市販のホワイトニング歯磨き粉には、歯の内側から色素を分解するような「漂白作用」はありません。
歯医者で行うホワイトニングは専用薬剤で歯の色そのものを明るくしますが、市販品には同じ成分を入れることができないため、あくまで表面の汚れを落とす働きが中心です。
表面のステイン除去が中心
市販品が得意とするのは、コーヒーや紅茶、タバコなどによる表面の黄ばみを落とすことです。
定期的に使うと着色がつきにくくなり、本来の歯の白さをキープしやすくなります。
ただし、もともとの歯の色が黄色みを帯びている場合は、大きな変化は期待できません。
患者さんの中には「ヤニ汚れが薄くなって笑顔に自信が持てた」という方もいれば、「元々の色は変わらなかった」という方もいます。
こうした違いを理解したうえで、使い分けることが大切です。
②成分ごとの特徴と安全性
研磨剤・清掃剤
ホワイトニング歯磨き粉には、シリカや炭酸カルシウムといった研磨剤がよく使われています。
これらは歯の表面に付着した着色を物理的にこすり落とす役割を持っています。
粒子が大きすぎたり誤った方法で磨くと歯面を傷つける恐れがありますが、現在販売されている多くの商品は配合量や粒子の大きさを調整して安全性を確保しています。
そのため正しく使えば、着色除去の助けになります。
フッ素やポリリン酸などの配合成分
最近は、研磨剤だけに頼らずフッ素やポリリン酸を配合したタイプも増えています。
フッ素は再石灰化を促してむし歯予防に役立ち、ポリリン酸は汚れを浮かせて落とす効果があり、歯にやさしく白さをサポートします。
安全性と効果の両面を意識して製品を選ぶことが大切です。
このような症状がある方は注意が必要
①歯や歯ぐきにトラブルがある人
歯周病や虫歯がある場合
歯周病や虫歯がある方は注意が必要です。
歯ぐきが下がって象牙質が見えていると、研磨剤の刺激でしみるリスクが高まります。
虫歯の部分に刺激が加わると痛みが強くなることもあるため、まずは治療を優先することが大切です。
被せ物・詰め物がある場合
人工の被せ物や詰め物は白くならないため、天然の歯だけが明るくなり色の差が目立つことがあります。
その場合はホワイトニング歯磨き粉ではなく、歯医者での治療や被せ物の交換が必要です。
②子どもや高齢者の場合
子どもの歯に使えるか
子どもの歯は大人に比べてエナメル質が薄く、刺激に弱い傾向があります。
そのため、研磨剤入りのホワイトニング歯磨き粉を日常的に使うのはおすすめできません。
子どもの場合ホワイトニングタイプではなく小児用の低研磨・フッ素配合タイプが安心です。
着色が気になる場合は、歯医者のクリーニングで落としてもらいましょう。
高齢者の歯に与える影響
高齢になると歯ぐきが下がりやすく、象牙質が露出して知覚過敏のリスクが高まります。
さらに被せ物や義歯を使っている方も多いため、ホワイトニング歯磨き粉だけで見た目を整えるのは難しい場合があります。
使用する場合は低研磨タイプを選び、毎日ではなく週に数回にとどめるなど工夫が必要です。
ホワイトニング歯磨き粉の正しい使用方法
①安全に使うためのポイント
頻度や使用方法の工夫
ホワイトニング歯磨き粉は、補助的に使うのが理想的です。
例えば、夜はホワイトニングタイプ、朝は通常のフッ素配合タイプというように分けると、白さを維持しながらむし歯予防もできます。
力加減は鉛筆を持つ程度にして、歯と歯ぐきに負担をかけないようにしましょう。
定期的な歯科検診と併用する
歯磨き粉で落とせるのはあくまで表面の汚れです。
歯石や頑固な着色は歯医者でのクリーニングが必要です。
日常のケアとプロのケアを組み合わせることで、白い歯を長く保つことができます。
②もっと歯を白くしたいなら
歯医者でのホワイトニングとの併用
ホワイトニング歯磨き粉を使ってみたけど「もっと白くしたい」という方には、歯医者でのホワイトニングとの併用がおすすめです。
歯医者のホワイトニングでは内部の色素を分解するため、市販の歯磨き粉だけでは得られない白さを実現できます。
白くした後にホワイトニング歯磨き粉を使えば、色戻りを防ぎやすくなります。
生活習慣の改善で変わる白さ
ホワイトニング効果を高めるには、生活習慣の見直しも欠かせません。
コーヒーや赤ワイン、カレーといった色素の濃い食品や喫煙習慣は着色の大きな原因です。
喫煙習慣も歯の黄ばみを進める要因です。
食生活や生活習慣を意識することが、ホワイトニング歯磨き粉の効果をより引き出す秘訣です。
まとめ
ホワイトニング歯磨き粉は「歯に悪い」と一概には言えず、正しい知識と使い方で安全に取り入れられます。
研磨剤や成分には注意が必要ですが、使用方法を工夫すれば十分に効果を発揮できます。
安全性が気になる方も、かかりつけの歯医者でアドバイスを受けながら、自分に合った方法で取り入れてみてください。