デンタルニュース

歯石取り後のスカスカ感はなぜ?

日本橋の歯医者「日本橋グリーン歯科」デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。

「歯石取りをしたら、歯と歯の間に隙間ができてしまった…」そんな不安を感じたことはありませんか?
実はこの「スカスカ感」は、決して珍しいことではありません。

多くの場合、歯石や腫れた歯ぐきが覆っていた部分が見えるようになっただけで、口の中が健康な状態に向かっている状態でもあります。

私も歯科衛生士として、初めての歯石取り後に戸惑う患者さんをたくさん見てきました。

「歯が細くなってしまったのでは?」と心配される方もいますがそのほとんどは自然な変化で、時間と正しいケアで落ち着いていきます。

この記事では歯石取り後に隙間ができる理由、そして日常でできるケアや対策を解説します。

歯石取り後のスカスカ感で不安に感じている方は参考にしてみてください。

歯石取後の歯の様子

歯石取り後の隙間が気になるときの事実

①隙間は「歯石が覆っていた部分」が見えるようになっただけ

長年の歯石が歯と歯の間を埋めている

歯石が何年もかけて厚くなると、歯と歯の間を埋めてしまうことがあります。

私が今まで歯石取りを担当した方で、数年ぶりに歯石を取った後「歯と歯の間がこんなに空いているなんて驚いた」と話す方もいました。

でもこれは歯を削ったり歯が細くなったわけではなく、今まで歯石が埋めていた隙間が見えるようになっただけなのです。

私自身もこの現象を何度も経験しており、患者さんには必ず「これは良い変化の証で、口の中がきれいになった証拠ですよ」とお伝えしています。

隙間ができたように感じても、歯が健康になるためのステップのひとつと理解していただくことが大切です。

歯ぐきが炎症で腫れていた場合もスッキリ見える

歯石の下の歯ぐきは、炎症で腫れて厚みを増していることが多いです。

歯石を取ると腫れが治り歯ぐきが引き締まるので、隙間が広く見えます。

実際に「歯ぐきが下がった?」と不安に思う方もいますが、これは歯ぐきが健康な状態に戻る自然な変化です。

②多くは数日〜数週間で落ち着く

歯ぐきが回復して引き締まる

歯石を取った後の歯ぐきは一時的に少し敏感になりやすいですが、正しいケアを続けることで徐々に回復し自然な引き締まりが戻ってきます。

私も多くの患者さんを見てきましたが、ほとんどの方は1〜2週間以内に不快感がなくなり隙間も気にならなくなります。

歯石を取ることでプラーク付着が減る

歯石の表面はザラザラしており、プラークが付着しやすくなっています。

歯石取りの後の歯の表面はツルッとしているので、丁寧なブラッシングで汚れを落とせば、炎症の元となるプラークが減り歯ぐきの健康を取り戻せます。

「毎日のケアが歯の健康にとって一番大切」ということです。

③隙間が埋まらない場合は歯ぐきの後退が原因かも

歯周病による骨の吸収

歯周病が進むと歯を支える骨が溶けてしまい、その結果として歯ぐきも下がってしまいます。

一度下がってしまった歯ぐきを元の状態に治すのは難しいですが、これ以上悪くならないようしっかり歯周病の治療を始める必要があります。

放置せず早めに歯医者で相談することが大切です。

加齢による自然な歯茎退縮

年齢を重ねると、どうしても歯ぐきは少しずつ痩せていきます。

これは自然な現象で誰にでも起こることです。

年齢のせいだと諦めずに正しいケアを続けることで、退縮のスピードをゆるやかにできるのがポイントです。

加齢により痩せた歯茎

隙間が気になるときにできるセルフケアと歯医者での対応

①正しいブラッシングで歯ぐきを守る

歯ブラシの毛先を45度に当てる

歯ブラシの毛先を歯と歯ぐきの境目に斜め45度に当てて軽く小刻みに動かすと、歯ぐきの溝の汚れをしっかり落とせます。

私も患者さんに指導すると「磨きやすいし、歯ぐきが気持ちいい」と言われることが多いです。ぜひ一度試してみてください。

力を入れすぎない磨き方

歯ぐきの下がりにとって強く磨くことは逆効果です。歯ぐきを傷つけてしまい、かえって隙間を広げる原因になります。「歯ブラシの毛先が広がらないくらいの力で」とアドバイスしています。

力を抜くだけで、歯ぐきの調子が良くなる方が多いです。

②歯間ブラシ・フロスで清掃力アップ

歯間ブラシはサイズ選びが重要

歯間ブラシは、自分の歯の隙間に合ったサイズを使うことが大切です。

サイズが大きすぎると歯ぐきを傷つけることがありますし、小さすぎると汚れを十分に落とせません。歯医者では患者さんの口に合わせて痛みがなくスムーズに入るものを選び、使い方も指導しています。

「使いやすいサイズがわからない」と悩まれる方も多いので、遠慮せず歯医者で相談してほしいです。適切なサイズの歯間ブラシは、毎日のケアをぐっと楽にしてくれます。

また、正しいサイズで毎日使うことが隙間のトラブル予防につながります。

フロスは歯ぐきに沿わせるように動かす

フロスは単に上下に動かすだけでなく、歯の曲面に沿って動かすと、歯と歯ぐきの境目の汚れがよく取れます。

最初は少しコツがいりますが、丁寧に説明すると「これなら続けられそう」とおっしゃる方が多いです。

使い方に自信がない方は、ぜひ歯医者で使い方を聞いてみてください。

③歯科医院で受けられる改善アプローチ

歯ぐきマッサージや再生療法の相談

歯ぐきの血行を良くするマッサージや、状態によっては歯ぐきの再生を促す治療もあります。こうしたケアを行うことで「歯ぐきが元の状態に近づいた」「違和感が減った」と喜んでいただける方もいらっしゃいます。

定期的なクリーニングで炎症を防ぐ

3〜4か月に一度の歯医者のクリーニングで、歯石や汚れをためないことが何より大切です。私も患者さんに「定期的に通うことで、歯ぐきのトラブルが格段に減りますよ」と伝えています。継続したケアが隙間の悪化を防ぎます。

歯磨きをする女性

歯石取り後の隙間で起こる3つのリスク

①食べ物の詰まりから虫歯・歯周病が進行

隙間に汚れが溜まりやすくなる

隙間が広がると食べかすや汚れがたまりやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが高まります。

「食べ物がよく詰まって困る」という患者さんには、より丁寧なブラッシングや歯間ブラシの使用をおすすめしています。

炎症が再び広がる可能性

隙間に入った汚れを放置すると歯ぐきが再び腫れ、炎症が広がります。

これは歯周病の悪化につながり、歯を支える骨までダメージを受けることもあります。早めの対処が大切です。

②見た目の変化や口元の老け見え

黒い三角形が目立つようになる

隙間が広がると、歯と歯の間にできる黒い三角形(ブラックトライアングル)が目立ちやすくなります。

私もクリーニング後にこの変化に気づいて落ち込まれる患者さんを何人も見てきました。

口元の見た目は自信にも直結するため、気になるのは当然です。

ただ、この黒い三角形は適切なケアで改善するケースもあります。場合によっては、歯科での審美的な処置を相談することもできますので、気軽に歯科衛生士や歯科医師に相談してみてください。

笑顔の印象が変わる

隙間が目立つことで、笑顔が暗く見えたり年齢より老けて見えたりします。

見た目での印象は、歯ぐきのケアや歯並びの相談も含めトータルでのケアが大切です。

③歯の動揺や喪失のリスク

歯周病が進行すると歯を支える骨が減る

歯周病が進むと骨が溶けて歯がグラつきます。

私の経験上、早期に治療を始めた患者さんは歯を守れていますが、放置すると抜歯の可能性も出てくるので注意が必要です。

噛み合わせの変化が起こる

歯周病が原因で隙間ができている場合は、歯を支える骨の土台が弱くなっており歯が動きやすくなっている可能性があります。

歯が動くと噛み合わせが崩れ、他の歯にも負担がかかりやすくなります。結果としてさらなるトラブルを招くこともあるため、早めの相談をおすすめします。

歯周病が進行した歯茎

まとめ

歯石取りの後に感じる「歯がスカスカして隙間が目立つ」というのは、歯石や炎症で覆われていた部分が見えるようになっただけのことが多く、慌てる必要はありません。

数日から数週間で歯ぐきが健康な状態に戻り、違和感は軽減する場合も多いです。

ただし、隙間が埋まらない場合や隙間の広がりが進行している場合は、歯周病や加齢による歯ぐきの退縮が原因のこともあります。

その場合、正しいブラッシングや歯間ブラシ・フロスの使用でセルフケアを続け、定期的に歯医者でのクリーニングや相談を受けることが大切です。

放置すると虫歯や歯周病の悪化、見た目の変化、さらには歯の動揺や喪失などのリスクがあるため、早めのケアと適切な対応を心がけましょう。