2025-05

歯に物が挟まる時の対処法

日本橋にある歯医者「日本橋グリーン歯科」デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。

食事の後、歯に食べ物が挟まって不快な思いをしたことはありませんか?

多くの人が経験するこの現象ですが、そのままにしておくと、虫歯、歯周病、口臭、歯ぐきの痛みなど、様々なお口のトラブルを引き起こす可能性があります。

この記事では、歯に物が挟まる主な原因と、自分でできる対処法について解説します。

物が挟まった歯

歯に物が挟まるのはなぜ?

多くの方が経験がある「歯に物が挟まる」という現象ですが、適切な対処をしないと、様々なお口のトラブルを引き起こす可能性があります。

歯に食べ物が挟まるのは、以下のような要因が考えられます。

①歯並びや歯間の状態

歯並びによる隙間

歯の生え方が不揃いであると、歯と歯の間に隙間が生まれやすくなります。特に、歯が重なっていたり、斜めに生えていると、複雑な隙間ができやすく、食べ物が引っかかりやすい状態になります。

また、受け口や出っ歯といった噛み合わせの不具合も、特定の箇所に食べ物が集中し、挟まる原因となることがあります。

日々のメンテナンスで患者様のお口の中を拝見していると、やはり歯が重なり合っている部分に食べかすなどが残っているケースが多く見受けられます。特に奥歯は、ご自身で確認しづらいため、物が挟まったままになりがちです。

加齢や歯周病による歯間の拡大

年齢を重ねるにつれて、歯ぐきが徐々に下がり、歯と歯の間の隙間が広がる傾向があります。以前はぴったりと並んでいた歯の間に隙間が生まれることもあり、歯に物が挟まりやすくなります。

また、歯周病による歯ぐきの退縮も、同様に歯間を広げ、物が挟まりやすくなってしまいます。

②詰め物・被せ物の不適合

経年劣化や破損

古くなった詰め物や被せ物は、時間の経過とともに劣化したり、使用によるわずかなズレが生じることがあります。このように段差や隙間ができた部分には、食べ物が引っかかりやすく、歯に物が挟まる原因となります。

製作時の精度の問題

詰め物や被せ物を製作する際の精度が低いと、歯との間にわずかな隙間が生じることがあります。例え小さな隙間であっても、食べ物が入り込むには十分な大きさとなり、歯に物が挟まる要因となります。

③歯周病による歯肉の退縮

歯間乳頭の喪失

歯周病が進行すると、歯を支える骨が溶け、歯ぐきが下がってしまいます。これにより、歯と歯の間に隙間が生まれ、食べ物などが挟まりやすくなります。特に、歯と歯の間の歯ぐき(歯間乳頭)が失われると、より大きな隙間ができやすくなります。

根面の露出

歯周病が進行し、歯ぐきが大きく下がると、歯の根元部分が露出します。歯の根元部分の表面は、歯の頭の部分と比べて凹凸が多く、食べ物が引っかかりやすくなります。

④加齢による歯の変化

歯の摩耗

長年の歯の使用により、表面が少しずつ摩耗することがあります。この摩耗によって、隣の歯との間にわずかな段差や隙間が生じ、食べ物が引っかかりやすくなることがあります。

歯の移動

長年歯を使用していると、わずかに移動することがあります。歯と歯の間に新たな隙間ができたり、元々あった隙間が広がったりして、歯に物が挟まりやすくなることがあります。

加齢による歯の隙間は、丁寧にケアをしている方にも起こりえます。

歯磨きの指導をする立場の私たちも例外ではなく、年齢とともに誰しも歯間の隙間が広がるのです。

そのため、常に同じケア方法ではなく、お口の中の状態に合わせてケア方法を調整していく必要があります。

汚れた口腔内

歯に物が挟まった時の対処法

もし歯に物が挟まってしまった場合でも、慌てずに適切な方法で対処することが大切です。ここでは、自分でできる基本的な対処法を解説します。

①デンタルケア用品を使う

歯間ブラシ

歯間ブラシは、歯と歯の間の隙間に合わせて様々なサイズや形状のものが販売されています。

初めて歯間ブラシを選ぶ際は、歯科衛生士に相談して適切なサイズを教えてもらうのがおすすめです。

サイズがよくわからないという場合は、細いサイズから試し、無理なく挿入できるものを選びましょう。隙間の大きさに合わせて、数種類のサイズを使い分けるのも効果的です。無理に太い歯間ブラシを挿入すると、歯ぐきを傷つける原因になります。

歯間ブラシは、歯と歯の隙間に垂直にゆっくりと挿入し、前後に数回優しく動かします。歯の面に沿わせるように、様々な角度から通してみるのも効果的です。使用後は水でよく洗い、乾燥させて保管してください。

デンタルフロス

デンタルフロスは、歯と歯の間の狭い隙間や、歯ぐきの溝の汚れを除去するのに適しています。

糸巻きタイプとホルダータイプがありますが、糸巻きタイプは自分で長さを調整できるため、様々な部位に使用しやすいのが特徴です。ホルダータイプは、奥歯など手が届きにくい部分でも比較的簡単に使用できます。どちらのタイプも、正しい方法で使用することが大切です。

フロスを歯と歯の間にゆっくりと挿入し、歯の側面に沿って上下に優しく動かします。歯ぐきの溝にも軽く入れ、汚れを掻き出すように動かしましょう。使用済みのフロスは再利用せずに捨ててください。

②挟まりやすい場所別のケア方法

奥歯

奥歯は噛み合わせの面が複雑で、食べ物が挟まりやすい傾向があります。

奥歯の歯の間は、他の部分よりも広めなことが多いです。そのため、やや太めの歯間ブラシや、幅広のデンタルフロスを使用すると、効率的に汚れを除去できます。

奥歯は歯の列が湾曲している部分も多いため、歯間ブラシやデンタルフロスを様々な角度から挿入し、丁寧に動かすことが重要です。

前歯

前歯の歯の間は比較的狭いことが多いため、細めの歯間ブラシや、薄いタイプのデンタルフロスを使用すると、スムーズに清掃できます。

前歯は見た目にも目立つ部分です。歯間ブラシやデンタルフロスを使用する際は、歯ぐきを傷つけないように、優しく丁寧に動かすよう心がけましょう。

歯と歯ぐきの境目

歯周病が進行している場合、歯と歯ぐきの間に深い溝(歯周ポケット)ができていることがあります。そのような場合は、歯ブラシの毛先が歯周ポケットに入るように、丁寧に磨く必要があります。

歯ぐきに炎症がある場合は、歯間ブラシやデンタルフロスを挿入する際に、力を入れすぎると痛みや出血の原因になります。

③歯に物が挟まった時の間違った対処法

爪楊枝の使用

爪楊枝は、先端が尖っているため、歯や歯ぐきを傷つける可能性が高いです。また、折れて破片がお口の中に残ってしまうこともあります。

無理に爪楊枝を押し込むと、歯ぐきに炎症を起こす原因となるため、使用に注意が必要です。

強い力で無理やり取る

無理な力を加えることで、歯が欠けたり、詰め物や被せ物が外れたりする可能性があります。

また、挟まった物をとる際に歯ぐきを傷つけ、炎症や出血を引き起こすことがあります。

どうしても取れない場合は、無理に自分で対処しようとせず、歯医者で相談しましょう。

デンタルフロス

まとめ

いつも同じ場所に物が挟まる場合は、歯並びや詰め物・被せ物に問題がある可能性があります。

頻繁に物の挟まりを放置すると、虫歯や歯周病のリスクが高まります。歯医者で相談し、原因の特定と適切な対処を行うことが重要です。

歯に物が挟まった部分に痛みや出血がある場合は、歯ぐきが炎症を起こしている可能性があるため、なるべく早めに受診しましょう。

また、定期的に検診を受け、お口のメンテナンスを行うことで、ご自身では落としきれない歯石やプラークの除去や、虫歯や歯周病の早期発見にもつながります。

メンテナンスの際に歯並びや詰め物・被せ物の状態をチェックしてもらうことも、歯に物が挟まることへの予防のために大切です。

2025-05-02 | Posted in デンタルニュースComments Closed